新世紀 [喜劇・笑劇部門] 感想

 感想を書いていて、最近の感想は辛口になってきたなぁ、と思う。私のイヤラシイ性格が、ここに来て出てきたのかも知れない。お笑いは好きだが、書けない者のひがみだと思って貰えれば、間違いありません。

○Entry.01『朝野十字(1)最初の解決』朝野十字さん
読者を意識し、話しに誘いこんだ書き方が、効を奏していると思う。誰でも理解できるお笑いが、少し残念ではあるが、これは作者の狙いかも知れない。茂里姉妹が第3話位で、キュティーハニーに変身でもしそうな感じがするのは、私だけであろうか。作者が楽しんで書いているのが伺える。

○Entry.02『ロマネスク教育学』秋月池涯さん
論文形式の小説というのは、日記形式と同じで、私は書きやすいが、これは人によって違うだろうか?そういう点では、論文にする必要性を考えると、マイナス評価になってしまう。ただ途中で論文形式から逸脱している様な書き方になっているのが、気になる。学校に関する小説は色々あるが、喜劇・笑劇だとすると、清水義範氏の二番煎じになっている様で、ちょっと残念な気がする。途中の学生に対するテスト結果もしかり。ただ、登場する先生方の性格は楽しかった。野球バカがいると思えば、キミドリだというきっと外国にも行った事がなさそうな、英語の先生などの楽しい登場人物が、ちょっとしつこいと思えるほどのボケとツッコミが、笑いを誘ってはくれた。

○Entry.03『む・ら・む・す・め』東条良平さん
昼休みに読んでいたら、時間になってしまい。途中で読むのを止めるのが残念だった。家に帰ってまた始めから読みなおしたが、やっぱり面白い。設定自体も可笑しいが、話しの展開も良いのではないだろうか。だがもうちょっと、ムフフの所が長くても良かったと思うのは、おじさんの勝手な都合。むすめ達はせいぜいが20代後半位と思っていたのに、高校生位という事で、はじめは吃驚したし、全員が美人というのも面白い。男性(あっちの方まで)を立てるアマゾネス軍団の話しが、どうなるのかと思っていたが、途中で登場する五郎の言葉が、主人公達オトコの、今後の運命を暗示していて、ニヤリとさせられた。ラストで男達が、籠に入れられてしまうのが異様ではあるが、彼女達の松茸狩りの成果だから、話しとしては、いいかも知れない。

○Entry.04『翼の無かったエンジェル』吾心さん
話しとしてはとても面白い。笑いの質が純粋な人間喜劇だというのには、驚いたが、アメリカのホームコメディドラマ風でもあり、ボケとツッコミの多い現代においては、逆に新鮮だった。ただ、卵を産んでしまった女性と、その廻りの人達の慌てる様子の面白さが、少ないからだろうか?スキンを哺乳便の変わりにするのにも、もう少し書き込みが欲しいところである。例えばどうやって、作ったミルクを中に入れるのかとか、枚数がまだあるのだから、もう少し書いても良かったのではないだろうか?とはいっても、今まで3000字以上のものを、書いた事がないと聞いた事があるから、その点は私と変わらない。やっぱり長い物は難しい。

○Entry.05『出版社をつくろう』ツチダさん
ゲームをしていく過程の話しだが、私には面白さが感じられなかった。多分、プレ○テ等のゲーム自体をしないという事と、ゲームの内容の為だと思われる。ゲームの面白さ自体が伝わってこないのが一番の原因の様な気がする。例えばテレビゲームなら、右右左下Aボタン等の操作自体が入ってくるなどの、読者を引き込む工夫が必要ではないだろうか。途中に何度も出てくる毎月の結果の数値を読む気にはなれない。テレビゲームなのかボードゲームなのかも定かではないし、だから何だ。と言われれば、それまでの様な気がする。まぁ。嵌まる人には嵌まる作品なのかも知れない。

○Entry.06『わしは神さま』七瀬創司(EM)さん
神様と女神様とのボケとツッコミだが、ノリが少ない。全知全能の神の「部分」だという設定とこれからどうなるのかと、ワクワクしながら読んだが、神のボケぶりのみの笑いでは、やっぱり弱いのではないだろうか? 設定自体は新鮮だし面白いが、それだけの様な気がした。

○Entry.07『GOROUJIN』りんねさん
レンジャー物のパロディだが、主人公達が老人というのが面白い。実は老人達を主人公にして書こうと思っている小説があったのだが、先を越されたという感じだ。土玉という、地球とは少し違った所を舞台にしているのだが、その土玉の説明がちょっと長いかなという感じはした。読者はこの作品を、作り物として読んでいるのだから、本当っぽく感じる必要性がないのでは?「双対楕円宇宙生成説」は多分創作だろうが、映画は随分昔に見た記憶がある。確か右と左が逆転している世界だった様に記憶している。がまったく違う映画だったりしてね。