2004年 第1回定例 一般質問
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 私は、自由民主党豊島区議団を代表いたしまして、平成十六年第一回の一般質問をさせていただきます。

 その前に、今回のイラクへの自衛隊派遣に際し、隊員の皆さま方に心から感謝と激励の気持ちを表したいと存じます。

 過去、日本の国際貢献というと「金は出すが汗はかかない」というのが、世界の共通した認識でありました。自分だけが平和で、力を出し惜しんでいる中で、この度の大所高所にたった上での勇気ある決断に、派遣自衛隊員の「イラクのために身をもって任務を遂行する」という崇高な覚悟を耳にするとき、我が日本の代表たる自衛隊員に、圧倒的な国民の激励と感謝の気持ちで隊員を守り、胸を張って堂々と無事任務を全う出来るよう祈念するのが我々の義務ではないでしょうか。我が国の国益に基づき、かつイラクの安定復興に寄与するために派遣された自衛隊の方々一人ひとりに対しまして、日本国民として敬意を表します。必ずや、無事なお姿で帰国されるのをお待ちしております。

 いつも一般質問にあたりまして、キャッチフレーズをつけさせていただいておりますが、今回は「愛するこのとしまを 感じて 信じて」と題して、発言いたします。

 高野区長が二期目に入り、「順調な一年が経過しようとしています。」というのが普通でありますが、区長のご努力やご奮闘は十分承知しておる中で、大変厳しい区政運営が続いております。

 さて、一月の政府月例経済報告では、「景気は設備投資と輸出に支えられ、着実に回復している。先行きについては、世界経済が回復する中で、日本の景気回復が続くと見込まれるが、一方、為替レートなどの動向には留意する必要がある。」とありました。また、「景気動向を大きく左右する個人消費も持ち直しの動きが見られるとともに、設備投資は企業収益の回復や資本ストック調整の進展などを受けて増加している」とあります。 

 小泉首相も、先日の施政方針演説において、日本経済は、回復の兆しがあるとのことですが、引き続きデフレ克服と、経済の活性化を目指すとしております。また、地方分権を進めるために打ち出された、「三位一体の改革」即ち、「国から地方への税源移譲」「国庫補助負担金の削減」「地方交付税の見直し」について、補助金の一兆円削減、所得譲与税の創出、地方交付税の一兆二千億円減額がなされております。

 といいましても一庶民といたしましては、完全失業率が高止まりで推移していることや、給与など所得も増加していない厳しい状況が長期にわたって続いており、景気回復基調の実感にはまだまだ乏しく、全体的には、依然として景気低迷から脱し切れていないと云うのが率直なところでございます。

 加えて世界経済、とりわけ日本経済に大きく影響を及ぼすアメリカ合衆国の景気動向ですが、ブッシュ大統領が二月二日、議会に提出した「二〇〇四年一〇月〜二〇〇五年九月」の予算教書について、「財政赤字最悪五千二百十億ドル」と大きく新聞報道されました。

 日本円にして実に五十五兆円の赤字が見込まれていると。気の遠くなるような話でございますが、やがて日本経済への影響を考えますと、小泉内閣が進めている各種構造改革の取り組みを一層加速・拡大して行かなければならないと思うのであります。

このような内外のきわめて不透明な経済状況の中で、高野区政二期目の最初に取り組まれた予算編成でありますが、予算案の会派説明、予算内示会、そして、十三日の議員協議会の状況から、高野区長のご苦労は、察するに余りあるものがございます。

 恐らく、区民の方々も区財政がこれ程、財源が不足し、公共の土地を売却せざるを得ない状況であるとは思ってもいないのではないでしょうか。不用、不必要なものであれば売却も当然でありましょうし、また、売却金を、次のステップとして貯めていくのであれば理解も得られるが、夢とロマンを抱き区政を進められている高野区長の胸中を察します。

 二月五日の予算内示会の冒頭、高野区長のコメントがありました。直接的な表現はありませんでしたが、編成にあたっての苦悩・苦渋のあとが伺える内容として、受け止めさせていただきました。

 予算編成にあたっては、先ほど述べました国内外の経済情勢などをしっかりと把握しておかなければならないと言われておりますが、このような不安定な内外情勢は、区財政にも大きく影響を及ぼすのであります。かつて経験のしたことのない逼迫した財政状況、しかも想像を遙かに超える長期化の中での予算編成であったわけであります。

 さて、財政運営の基本は、「入りを図りて出るを制す」と言われております。正にその通りであります。しかし、現実はなかなか難しく簡単な話ではないのはよく判っているつもりでございますが、平成十六年度の予算案が結果的には、三十九億円の財源対策をせざるを得なかった訳でありますので、その辺のことをお聞きしたいと思います。

 まず、「入り」の分野でございますが、区の歳入予算の二大財源、特別区民税と都区財政調整交付金であります。特別区民税につきましては、予算内示会で水島助役より十五年度の収納状況や景気動向を勘案し、との説明がありました。十六年度都区財政調整の当初フレームでも対前年度比マイナスの一.〇%と見込んでおりますので、それほど過小見積もりはしていないのかな、と考えております。

 しかし、都区財政調整交付金につきましては、見積もりが堅すぎるのではないかと思うわけであります。

 そこで、質問の一つ目は、都区財政調整交付金についてであります。都区財政調整制度につきましては、我が会派の篠議員が専門家であるわけでございますが、私なりの視点で質問させていただきたいと思います。

 平成十六年度都区財政調整当初フレームでは、冒頭申し上げた企業収益の改善等を反映して、調整三税の一つ、市町村民税法人分が、対前年度比百七十三億五千二百万円の増、四.一%のプラスとなっており、交付金の総額が対前年度比八十億六千九百万円の増、一.一%のプラスとなっているのであります。二十三区の基準財政収入額も一.七%プラスの百五十五億千二百万円の増、また、基準財政需用額も一.四%プラスの二百三十四億二千万円の増と、それぞれのびておりまして、普通交付金は、一.一%プラスの七十九億八百万円の増となっているわけであります。

 このような状況の中で、本区の十六年度予算案の普通交付金は、二百三十一億円、対前年度比六.八%のマイナス、十六億七千三百万円の減となっているのであります。確かに平成十四年度が十六億六千三百万円の当初予算割れ、十五年度が十七億四千五百万円の当初予算割れと、二年連続して大きく予算割れしたこともあり、助役から十六年度に向けては、より精査するとの表明があったわけでありますが、十五年度の再調整で九億四千万円追加算定されると言うことも聞きますと、もう少し積極的に予算計上してもいいのではないかと思いますが、如何なんでしょうか。今回の積算方法も含めて見解をお聞かせ下さい。

 次に、質問の二つ目は、「入り」と「出」の両方、いわゆる財源対策の三十九億円の対応についてであります。

 予算上は、財産収入に計上されているわけでありますが、所得譲与税交付金が説明通り四億円から五億円見込めるとした場合、三十四億〜三十五億円が財源対策額になるわけであります。これを単純に用地売却益で補填するようなことは、避けていただきたいというのが、率直な思いであるわけであります。

十三日に具体的候補地と今後の考え方が示されましたが、改めて執行機関の十六年度の予算執行にあたっての決意のほどをお聞かせ願いたいと思うのであります。

 質問の三つ目は、「出」の部分、人件費についてであります。

 予算案を見ますと、対前年度比五.九パーセントのマイナス、十四億五千二百万円の減となっており、職員数で百五人の減少、再任用職員は三十人増えていますから、差し引き七十五人の減ということになりましょうか。

しかし、区民の目からしますと、それでもまだまだお役所は人が多い、無駄が多いというのが率直な意見でございます。確かに恒常的に忙しい職場もありますけれども、なんとなくのんびりした雰囲気の職場も結構あるのではないでしょうか。区民にはそのようなところが非常によく目に映るわけであります。民間事業所では、不用な財産を処分したりしますが、まず、人員整理です。一人でも少なく、というより一時間でも少ない雇用時間、雇用日数などで、何とか歯を食いしばって、ぎりぎりのところで頑張っているわけであります。職員の全てがこうしたことについて、本当に危機意識を持っていたかというと、非常に疑問であります。区長は十七・十八年度の新規採用をゼロにすると云うことですが、これも区長の強い指示で腰を上げたと聞いております。このような状況からすれば、まだまだ努力する余地があるのではないでしょうか。

 平成十三年度からの四年間、定員適正化計画で二百五十人削減を目標に努力され、結果としては計画を上回る削減を実行したと聞いておりまして、そのご努力は大いに評価しているところであります。しかしながら、財政健全化計画の最終年度に特別な財源対策をせざるを得ないこと、それも、学校跡地の売却という、衝撃的な事態であるわけであります。行政のあり方は、人、金、物が三位一体として進めることは当然と思います。昨年の第四定例会での一般質問で、我が自由民主党の本橋議員が、志木市が取り組んでいる行財政運営の抜本的な改革について質問しております。

 その中身は職員もその痛みを伴うものであります。区民サービスは下げるが職員の待遇は現状維持では、区民の納得を得られるものではありません。しかし、過去に戻ることは出来ません。

 さて、私なりの提案をさせていただきます。

 まず、業務の民間委託化であります。これまで、保育園や窓口等についての検討はなされておりますが、区政全体にわたりどうかということです。例えば、内部的事務に於いても、全てが正規職員ではなく、確か、どこかの市でも実施していると記憶しておりますが、市内に住んでいる退職した行政経験者の能力を活用し、しかも、その手当は現職の二分の一程度でお願いしているとのことであります。此によれば、住民サービスの向上と地域雇用の創出にも成るのではないかと思います。こうした試みについてはどのようにお考えでしょうか。

  次に先に申し上げましたとおり、職員の危機意識が不足しているように思います。判っていても自分自身の状況を変えないのでは、他人事だと認識していると思ってしまいます。こうした事態の中で、行政、即ち働いている職員の全てが負うことも必要ではないでしょうか。その為には、今、一律的な定期昇給のあり方や、給料そのもののあり方についても検討する必要があると思いますが、如何でしょうか。

 これらのことも含め、今後、職員数についてはどのようにされるのか、区長の積極的なお考えをお聞かせいただきたいのであります。

次に、都市再生についてお伺いいたします。

 高野区長は、新年名刺交換会の年頭挨拶の中で、未来へ向かう豊島区政のキーワードは、「都市再生」と「文化」であるとおっしゃっていました。

 このキーワードのひとつである、都市再生が、平成十六年度の予算の中で、どのように具体化されるのか、大変期待していたところであります。

 先にお示しいただいた、平成十六年度予算案の重点施策などを拝見いたしますと、この財政難にもかかわらず、国や都の事業や補助金、さらには都区財政調整制度を巧に駆使して、各地域で課題となっていた事業を、財源を含めて組み立てられ、実現を図られております。

 日頃、金のないときには知恵と汗を出せといっておられる、高野区長の実行力に対し、改めて敬意を表するものであります。

 そこで私は、ますます激しさをを増す、都市間競争や高齢化社会への対応のためにも、

確実に進めなければならない、この都市再生に関する問題について、何点か質問いたします。

 まず、都市計画道路についてです。

 地図を見れば一目瞭然ですが、豊島区内の要所、要所に都市計画道路が配慮されていることが見て取れます。これらは、正に都市の機能、活動を支える動脈であり、その整備の進展は、街づくりと住民の生活に、窮めて大きなインパクトを及ぼすものと考えています。

 この都市計画道路の整備については、昨年末、平成十六年度以降の、優先整備路線の選定を中心とした、「区部における都市計画道路の整備方針案」が公表され、十五年度末には、最終のとりまとめが行われると、伺っております。

 優先整備路線案の中には、私の地元、西巣鴨交差点付近の明治通りも含まれていると聞いていますが、これら新たに優先整備路線として位置づけられた路線の整備が、今後、交通や周辺の街づくりに対して、どのような効果を及ぼすのか、それぞれの路線についてお答え下さい。特に西巣鴨地区は沿道のマンション三棟、大正大学等、共に建造物はセットバックしており、すぐにでも事業化を進められる状況にあります。また併せて、事業区間の終点にあたる「堀割」も狭隘な交差点で、交通事故も多発しており、ここも含む整備を検討していただくよう地域では期待しているところであります。

 また、選定された路線とは反対に、選定から漏れてしまった路線では、地権者は引き続き、いつになるのか判らない、中途半端な状況の中で、暮らしていかなければなりません。

これらの区域の中については、一定の建物の規制緩和が図られると聞いておりますが、これらの緩和により、どの程度、不利益が解消されるのか、お考えをお聞かせ下さい。

 次に、駅を中心とした街づくりについて質問いたします。

 豊島区内には池袋以外にもJR山手線には四駅、そして私鉄、地下鉄線各駅を中心として、それぞれ個性あふれる商店街が形成されています。

 特に大塚駅と東長崎駅では、駅舎の改良と自由通路の整備が事業化され、動き出しています。まず大塚駅周辺地域は、戦前には区内最大の繁華街であり、三業地を抱え、都内屈指の歓楽街として知られていましたが、戦後の発展は副都心池袋に譲る格好となり、かつての賑わいを取り戻そうという街づくりの取り組みが進められています。現在、JR大塚駅には南北の駅前広場を結ぶ通路がなく、人の流れが分断されてしまう状況にあり、街づくりの大きな阻害要因となっております。

 これを解消する南北自由通路と駅前の整備は、地元住民の方々や特に癌研病院跡地に繋がる大塚駅北口の商店街の長年の願いであり、大きな期待がかかっているところです。

 また、東長崎駅周辺地域は、駅前は南口、北口ともに駅前広場がなく、駅への車の進入も困難な状況となっており、駅改札は橋上構造となっており、鉄道利用者及び自由通路利用者は階段での昇降のみで利用しにくく、南北の地域分断の原因となっております。特に高齢者、障害者や小さな子供を連れた方などは大変な思いをして上り下りしている様子を見かけますし、多くの方は東長崎の駅を避けて、少し離れても千川駅や椎名町駅を利用されていると聞き及んでおります。地元東長崎にお住まいの方々の切実な願いが実現するはこびとなったところです。この駅舎と自由通路にエレベーター、エスカレーターが設置されることにより通勤、通学や南北口から通路を通過し、買い物などに利用される方々は大変便利になることでしょう。

 そこでお伺いいたしますが、地元の方々が大変気になる、大塚駅、東長崎駅それぞれの事業の今後のスケジュールと、事業に関連する街づくりの課題についてお聞かせ下さい。 次は、東池袋の街づくりに関連いたしまして、東池袋四丁目地区再開発ビルに整備される交流施設について質問いたします。

 先般、議会に説明のありました「池袋副都心再生プラン(中間のまとめ)」の中で、この交流施設は、新中央図書館とならんで、豊島区の文化の創造、発展のステージとして、池袋副都心の賑わいを演出するものと位置づけられております。

 この交流施設が整備され、区に引き渡されるのは平成十九年度であり、これから三年あまりを要する訳でありますが、開設後のこの施設がどのように活用されるのか、大きな関心を持って注視しております。

 折しも、今議会で論議される平成十六年度予算の編成方針の中で区長は、「ユニバーサルデザインの文化都市としま、想像への道を切り開く」ことを高らかに宣言し、「文化特区としまの創造」を標榜されております。

 これは、区政を貫く理念の中心に文化を据えるという、高野区政ならではの画期的な視点に立つものであり、高く評価したいと思いますが、この交流施設の運営を「ユニバーサルデザインの文化都市としま」の創造にどのように繋げていこうとされているかお聞かせ下さい。

 施設の完成はゴールではなく、スタートであります。いわゆる箱物、即ちハードをつくり上げることに意味があるのではなく、そこでどのようなソフトが運営されるのが評価され、問題とされなければなりません。区民の文化振興や活動に十分に活用されてこそ、これを整備する意味があるのです。

 さて、私は、文化を考える上で重要なのは、何よりも人材育成の視点であると考えております。その観点から、次の時代を担う子どもたちや若者を育成するためのプログラムや、事業に重点を置いた運営が出来ないものかと考えますが如何でしょうか。併せてお答え下さい。この交流施設が、単に池袋地区の魅力と賑わいに寄与するだけでなく、豊島区全体の文化都市づくりに貢献することを期待しております。

 次に、公共施設の利用者申込みについて質問します。

 豊島区の公共施設への申込みについては、一番の最長が公会堂、区民センター六階の文化ホール、南大塚ホールなどが六ヶ月前からの受付開始となっているほか、勤労福祉会館
は二ヶ月前から、ただし、中小企業の勤労者の方を対象とする福利厚生事業は三ヶ月前からです。社会教育会館は一〜二ヶ月前、区民集会室については一ヶ月前となっています。区民保養所の山中湖秀山荘や猪苗代四季の里についてもしかりです。

 しかしながら、東京芸術劇場大ホールは十八ヶ月前から、中ホールは十四〜五ヶ月前、小ホールでさえ十二ヶ月、会議室については三ヶ月前ですが、ホールと一緒に使う場合は同時に受け付けることになっているようです。

 近隣区では文京区シビックホール、北区さくらホールについても十二ヶ月前より受け付けていますし、他の施設にしても比較的早めに受付をするところもあるやに聞いております。

 かつてと異なり、区民の活動は様々な分野で広範にわたってきており、仕事の傍らをぬって準備を進めているという人も数多くおります。比較的早めに予定を立てながらではないと、地域での活動などが困難な状況になってきております。また、公会堂などでは、集会やコンサートの開催にあたって、講師や出演者への依頼も、早めにしなければならないケースも増えてきております。全国規模の大会を開催しようと思えば、チラシやポスターの制作、またその周知作業など相当の日数が必要なため、より早めの会場の手配が必要になるはずです。

 このような区民を取り巻く環境の変化を鑑みれば、区の公共施設の申込期日を、思い切ってより早く受け付けることが必要と考えます。

 このことが公共施設の使用率のアップにも繋がり、有効利用が図れるものと考えます。

 これまでにも、折に触れて、この問題を取り上げてまいりましたが、残念ながら、遅々として実現出来ていません。かたや使用料の改定が定期的になされる状況にありますが、こうしたサービスの改善について、早急に取り組んでいただきたいと存じますが、実現に向けた明快なご見解を伺いたいと存じます。

 さて、いよいよ教育問題ですが、近年、学校を発生場所とする犯罪が増加しています。凶悪犯が増加するとともに、外部のものが学校へ進入した事件が、平成十四年には二千百六十八件と、平成十一年に比べて二倍を超える状況にあります。文部科学省では、学校における事件・事故が大きな問題になっている近年の状況を重く受け止め、学校安全の充実にハード・ソフトの両面から取り組む「子供安心プロジェクト」を推進しています。このプロジェクトの中で、「学校への不審者進入時の危機管理マニュアル」の作成や、「学校施設整備指針」における防犯対策関係規定の充実、防犯や応急手当の訓練により、教職員や子どもの安全対応能力の向上を図る「防犯教室」の開催の支援など、様々な施策を推進してきていると思います。ぜひとも関係者には、「私たちの学校や地域では事件は起こるまい」などと楽観せず、最大の危機感を持っていただき、その上で、様々な対策を意図的に講じていかなければ学校の安全は確保出来ないという認識の下、緊張感を持って子どもの安全確保に取り組んでいただきたいと思います。

 また、子どもの健全な育成が学校、家庭、地域社会の連携・協力なしになし得ないと同様、「安全・安心な学校づくり」、「安全・安心な子どもの居場所づくり」も地域ぐるみの取組なしにはなし得るものではないと思います。

 そして、更に信頼される学校づくりには、学校は保護者や地域社会に積極的に情報を公開し、双方向のコミュニケーションや共通理解を得る努力が不可欠であります。特に、各学校が地域の実態等を踏まえた特色ある教育を展開するためには、学校は教育目標や教育計画だけでなく、その目標の達成状況、例えば、子どもたちに目指す学力が身に付いたかなどについても保護者や地域社会に説明し、その理解を得る責任があることを、しっかりと認識する必要があると思います。校長や教員には説明責任を果たす力量の向上が不可欠でありますが、このような力量は、組織としての学校づくりを進める中、おもに日々の職務によって形成し得るものであり、また、学校が日常的に地域に開かれ、外から常に観られる環境にあることも必要であります。このため、学校と学校外との双方向のコミュニケーションを拡充することが必要でありますが、いかがなものでしょうか。教育長のご見解を伺いたいと存じます。
 最後に入学式・卒業式における国旗・国歌への対応についてお伺い致します。

 依然として、一部の教員が国歌斉唱時に起立しないなど、実施態様にさまざまな課題がみられるようです。

 国際都市・東京の未来を担う子どもたちにとって特に重要な教育とは、自らの国や地域の伝統・文化について理解を深め、尊重し、国や郷土を愛する心を育む教育であります。真に自らの国や郷土を愛することの出来る人間は、同時に他の国や地域の伝統・文化にも敬意を払い、そこに暮らす人々を尊重することが出来るものであります。

 世界青少年意識調査によると、日本の青少年の国を愛する心は大変低いところにあります。国を愛する心なき青少年に対する国民の危機感は強く、内閣府の世論調査によれば、国民の七十五%が「国を愛する心の教育は必要」と考えています。アメリカニューヨーク州の教育法では、「愛国心高揚の義務」を教育基本法にも課していますし、ワールドカップを共催した韓国でも「青少年基本法」で国家への誇りを持たせることを規定しています。

 国旗や国歌に関する指導は、日本を愛し、日本に誇りを持ち、胸を張って国旗を掲揚し、国歌を斉唱するとともに外国の国旗や国歌、文化や伝統も尊重するという国際的な視野を持った日本人を育成するためであります。

 一部の教員が、国歌斉唱時に起立・斉唱する義務はないことの確認を求める訴えを提起するなど、未だ適正実施に反対する動きも聞き及びますが、区民の信頼に応えるため、毅然とした態度で取り組んでいただきたいが、教育委員会の思いをお聞かせ下さい。

 以上、長くなりましたがこれも区民の歌の題名にありますように「としま未来へ」の思いを込めたものであります。

 長時間にわたり、ご静聴ありがとうございました。

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