2013年 第1回定例 一般質問
全 文 掲 載

 私、吉村辰明は自民党豊島区議団を代表いたしまして昨年に引き続き平成25年第一回定例会の一般質問をさせていただきます。

 平成24年第一回定例会の一般質問から、早くも一年が経過いたしました。毎年、この場で昨年起きました大きな出来事に触れておりますが、今回は12月16日に実施されました衆議院選挙についてであります。幸い私たち自民党は294名という多くの議席を頂き、そして新たに政権を担うことになりました。言うまでもありませんが、この度の選挙で議席を得た議員の皆様にはその重責を認識し、山積しています多くの課題に向かって活躍していただきたいと切望いたしております。このことは国政・区政の違いはありますが、私自身に向けての言葉でもあると受け止め、改めて身を引き締め区議会議員として頑張っていこうと思います。

 昨年は日本だけではなく、韓国・中国・ロシア等世界で政権交代があり、これまでの枠組みや世界的な流れの変化を予見させるものがあります。この変化が世界の平和と繁栄につながることを願っております。
 また、首都東京では永きにわたる石原都政から猪瀬直樹氏が第18代の東京都知事に就任いたしました。選挙公約は地下鉄の一元化、火力発電のリプレース、オリンピックの誘致などこれまで副知事として進めてこられた政策が中心であります。 

 そして、東京都知事は三代続いて小説家の知事が就任したことになります。都民の方の選択の中に、実業家的な現実主義より物書きの方の理想主義タイプを選んでおりますことは大変興味深いものがあります。
 東京都と特別区は、自治権拡充の長い歴史、そして現在も都区役割分担や財調問題等の課題があります一方、防災・オリンピックなど協力すべき分野が多々ありますが、猪瀬都知事の特別区へのスタンスが明確に見えてきません。
 そこで、区長会として猪瀬都知事に対する姿勢や、ここまであまり進展しなかった都区の役割分担等について、猪瀬都知事とどのように向き合うのか期待をこめての思いをお聞かせ下さい。

 さて、現在、わが国の経済状況でありますが、ご案内のとおり円高・デフレの進行・雇用不安が続き、出口の見えない状況が続いており、日本の経済は減退の一方であります。また、東日本大震災の被災と復旧・復興も進んでおらず、それに輪をかけて隣国との領土問題などもあり、危機的閉塞状態になっており、このままの政治・経済では、日本の沈没・日本人のプライドも失ってしまうと多くの方が感じていたのであります。
 新たに誕生しました安倍政権は、こうした状況を脱却するため2パーセントの物価上昇、10兆円を超える大規模な補正予算など経済の再生・デフレ脱却を最優先の取り組みとし、被災地の復旧・復興の強力な推進を唱っており、内閣支持率も高い数字となっております。
このように国内外の環境は刻々と変化し、区政もこの変化に的確・迅速に対応していくことが必要であります。
 その意味も含め、第一回定例区議会は、今後の区政の方向を決める予算や事業を定める、極めて重要な定例議会であります。特に、平成25年はまさに激動の時期であり、区政の将来を左右するターニングポイントになるかも知れません。
 今年は巳年、巳は脱皮を繰り返す再生を表しております。豊島区の場合は再生でなく更に飛躍するとの思いを込めまして、今回のサブタイトルを「縁(えに)しのこの街を、勁(つよ)く 美しく 創り展(ひら)く」といたしました。
 区長と教育長の明快なご答弁をお願い申し上げます。

 最初の質問は、平成25年度予算と財政運営についてであります。
 先ほど申し上げましたとおり、日本を取り巻く経済状況は円高・デフレ状況による不況化が続いており、豊島区の中小企業や個人商店も地を這うような状況であり、それらの方々と会うたび、一日も早い景気回復をと言われておりました。
 また、先日、開催されました商店街連合会や東京商工会議所豊島支部の新年会で、新政権による経済対策や雇用政策への期待の声が多く聞こえました。これまで、区は不況対策として商店街の活性化や商工融資等の取り組みをされてきましたが、何と言っても景気は最終的に国の経済政策にかかっております。
 先ほど申しましたとおり、新政権はこれまでのデフレ政策から2パーセントの物価上昇、大規模な補正予算・デフレ脱却を最優先の取り組み、日本経済の活性化・雇用の創出をうみだすとし、景気回復・上昇を強く打ち出しております。
 このように、安倍政権は、前政権には為し得なかった、経済政策を含む、多くの改革を成し遂げようとしています。
 特にその中には、地方への「地域の元気臨時交付金」などをはじめ、地方自治体に直結する見直し等も少なからずあります。
 そこで、新たな施策が区財政にどのような影響を与えると考えられるか、お伺いいたします。
 平成24年度の一般会計予算は991億9,100万円であり、財源不足を補うために財政調整基金の取り崩しを行い、3年ぶりのマイナス予算で特別区債残高は更に縮減させており、厳しい歳入環境の中、区民需要に可能の限り応えるための予算を編成されました。一方、今後については更に厳しい財政状況が続くとして、安定的・健全な財政基盤の構築を目指すとしております。
 平成25年度の予算規模は、一般会計で1,022億4,800万円、4会計合計では、1,549億6,800万円であります。
前年度と比べれば、一般会計は30億5,800万円、3.1パーセントの増加であり、人件費を抑えながら、事業費、投資的経費ともにに伸ばした予算となっております。
 今回も、財源対策としての財政調整基金の取り崩しは引き続き行なわれました。しかし、その額は前年度より半減し、10億円を切った額となっております。
「景気の底入れ」ともいわれますが、未だ大きな回復を遂げていない中で、130億円台という、久しぶりに大きな投資的経費を計上する予算であり、さぞ、ご苦労、ご努力のあった予算編成だったのではないかと認識しております。
 そこで、平成25年度予算の方針と特徴について区長のお考えをお聞かせ下さい。
 更に、これからの財政の舵取りであります。安倍政権による経済再生が進んでもその成果が地方の財政に現れるのには時間が掛かります。厳しい財政状況も想定されます。そこで、今後の財政見通しについてお聞かせ下さい。
 財政指数はいくつかありますが、財政調整基金に注目しております。平成25年度の財政調整基金は約42億円となり、同時に提出されています平成24年度の補正予算を加えれば58億円になるとされておりますが、この数字はまだ安定的財政運営にとっては不安要因ではないかと思います。
 例えば、江戸川区は危機的な財政状況、特に財政調整基金の枯渇が安定的財政運営の根幹を揺るがすとして216事業の見直しに着手しております。
 そして、その見直しの基準を他区のレベルを超えている事業としております。
 入るものがなければ、出を少なくすることは当然ですが、各事業には背景や歴史もあり何をどの位削減するかが大変であります。
 そこで、区長の事業基準のお考えをお聞かせ下さい。
 また、区長は、常日頃より財政は行政の根幹であるとお話されております。
 そこで、最後に区長の安定的な財政運営についてお考えと取り組みについてお聞かせ下さい。
  また、今後、景気の回復の足取りが聞こえてきますと、ややもすると行政全体が気持ちも含め膨張することを繰り返しております。高野区長はこれまで行政改革に大きな成果をあげており、かつ、行革は不断に実施すべきと言われております。
 そこで、平成25年度予算編成における行政改革効果はどの位か、また、今後の行政改革の取り組みについてお考えをお聞かせ下さい。
  
 次に東池袋の再開発についてお伺いいたします。
 昨年12月28日の日本経済新聞に「渋谷に負けるな 変わる池袋東口」という題名で記事が掲載されておりました。
 ご覧になられた方もいると思いますが、簡単に内容を言いますと池袋の駅東口に集客スポットが続々と誕生して、今後、豊島区庁舎の移転など大型の再開発もあり渋谷に対抗して「若人も大人も集う 回遊性の高い街に」を合い言葉に、先端を行く街づくりを進めていると掲載されておりました。
 具体的に、アニメイトや駐車場跡の開発、更に現区庁舎の跡地利用など回遊性の高い街をコンセプトに再開発が進んいるとしております。
 再開発については、六本木、汐留、東京駅、さらに山の手線の品川・田町間の「田町車両センター」(20ヘクタール)の跡地に40年ぶりの新駅とオフィス街や商業施設の建設が予定されるなど、高層ビルを建設するような大規模なものが主流のように感じられます。現在池袋東口で次々に生まれている開発は、都心部の開発とはスケールや携わる関係者の数も大きく異なると思いますが、池袋には池袋としての魅力や価値を高めていくために、大切にしていかなければならぬ開発の新しい機運であり、池袋を大きく成長させる契機になるものと考えます。
 そこでお伺いしますが、池袋に再開発が起きてる背景についてどのように捉えているのかお聞かせ下さい。
 これらの新たな商業ビルは民間の自由な建設に委ねられているのか、また、民間任せとなっていないか、区として街づくりの観点から一定の関わりを持っているのかお聞かせ下さい。

 そこで、現在の庁舎や南池袋など魅力に充ちたこの土地を含め、駅止まりといわれた池袋東口をどのような街にしていくのかをお聞かせ下さい。
 次に、池袋駅についてお伺いいたします。
 池袋駅は、東西に百貨店が立ち並び、地下から地上への出入りには百貨店の一階部分を通らなければならない構造となっています。東日本大震災では、地域や百貨店から人が溢れ出し、池袋駅周辺で帰宅困難者となりました。
 駅前の百貨店は、建築後50年を経過したものもあり、一部には耐震補強を行ったとお聞きしておりますが、避難路の確保など、いざ災害が発生した際には問題も多いと考えております。
 現在、国土交通省では、多くの人が利用する百貨店や病院など大型施設に対して耐震診断を義務化することが検討されています。
 また、先週のプレス報道によりますと、渋谷区が震度6強の公会堂の建て替えのため、定期借地権の活用など民間からの提案を募集するとのことであります。
 豊島区では民間活用によって新庁舎整備は解決しておりますが、今後、池袋では百貨店の耐震工事や更には建て替えといった計画も浮上してくるのではないかと思います。
 そこで、いつ起こるかわからない災害に備え、管理者が多岐にわたっている池袋駅について、区がリーダーシップを発揮してどのように池袋駅の安全を確保していくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 今年の3月16日に東急東横線・副都心線・東上線・西武線・みなとみらい線の5社の相互運転が始まります。
 池袋から横浜に38分で行けることになり、交通の利便性が飛躍的に拡大いたします。
沿線の各都市では、通過駅の危機と同時に、この機会を利用し客を呼び込みたいとしております。横浜は中華街等の魅力をアピールしたり、川越もいろいろイベントを考えていると聞いております。
 池袋もターミナルという利点を最大限活用し、先の街づくりと連動した魅力ある訪れたい街をつくる必要があると思いますがいかがでしょうか。
 そこで、まず、5社の相互運転に対して豊島区としてのどのように位置づけられているかお聞かせ下さい。
 池袋のPR等を積極的に取り組むことが必要と思いますが、その取り組みはいかがでしょうか。
 また、こうした観光客の誘致等は民間も巻き込み行うことが必要と思いますが、その点についてどのようになっているのかお伺いいたします。
 
次に、団塊対策についてお伺いいたします。
 私は、世代が同じこともあり、これまで何回か団塊対策について一般質問をいたしております。
言うまでもなく、団塊世代は長年に渡って日本を支えてきましたが、今は中高齢者になっており、暴走老人の一歩手前であります。
 団塊世代は1947年から1949年生まれで800万人、日本の総人口をこの3年で7%を占めております。
 この世代は人数が多く小さい頃から競争状態が続いておりました。また「ジーンズ」「同棲」など新たな文化をつくり、企業に入社すると企業戦士として働き、自負心が強く、男が主役という価値観を持つ一方、身体と顔はオジンだが心は少年で、バイクに乗ったり、バンドを組んで演奏したり、気持ちは青年であります。
 これらの方々は、既に60歳の定年を迎え、今第二の定年といわれる65歳になっております。
 そして、それらの方々のうち女性の場合は、地域と向き合ってコミニティの一員として溶け込んでいます。しかし、男性の65歳以降の第二の人生の具体的な対応が決まっていない方々が非常に多くおります。
 今後の人生にどう向き合うかは自己の責任でありますが、まだまだ、気力・体力もあり、しかも、長年企業で働いた経験もあり、何かしたいと思う方がたくさんいます。
 そこで、区として団塊世代の実態についてどのように把握されているのかお伺いいたします。
また、現在、団塊世代向けの取り組みについてどうあるべきかお聞かせ下さい。
 団塊世代の方々の中には、まだまだ経験等を活用した就業を希望する方もあり、新宿区の「新宿わくワーク」や、世田谷区の「シニアワークせたがや」など区で高齢者向けの無料の職業紹介所ありますが豊島区でも検討してはいかかでしょうか。
 最後に定番の教育についてお聞きいたします。
 第二次安倍内閣の発足に当たって首相は、「再生」「復興」が重要なテーマであり、とりわけ「教育再生は経済再生と並ぶ、日本国の最重要課題であります」と明確に述べています。そして、教育再生実行会議をいち早く発足し、いじめ・体罰をはじめとする様々な課題について、教育改革を推進するとしています。
 私もかつて学校教育に関与した者として、関心をもって、見守ってまいりたいと思います。
 さて、質問の最初は、道徳教育についてであります。
 二〇〇五年五月に佐賀県で発生した西鉄バスジャック事件ほか、当時、少年による重大事件が相次いだことから、道徳教育の充実のため作成・配布されたのが、道徳教科の副教材「心のノート」でした。著名な心理学者、河合隼雄氏の監修により、文部科学省が作成したものです。全国の小中学校で活用されていましたが、二〇〇九年、民主党の事業仕分けで、個別配布が打ち切られました。しかし、この度の衆議院選挙では、自民党の公約に「道徳教育の充実」を掲げていることもあり、文部科学省は、今年度の補正予算でこの「心のノート」の作成、個別配布を検討しています。
 「衣食足りて礼節を知る」という言葉があります。未来の日本を担う子どもたちに、礼節を教え、道徳心を育むためには、国を挙げて取り組まなくてはなりません。
 現実の社会環境の中、学校の役割は更に大きく・重たくなっています。何か、事件があるごとに、公共性の欠如、道徳教育の不足等が言われております。「心のノート」は、かつての修身を教えるものとの声もありますが、私は、道徳は、学校だけではなく、家庭や社会でも教えていくことが大切と考えております。
 そこで、教育長にお聞きします。豊島区の道徳教育の位置付けはいかがでしょうか。また、今後、どのように取り組みをされるのかお聞かせ下さい。そして、これまで「心のノート」は豊島区の場合、どのように活用していたのかお聞かせ下さい。

 次に、いじめの問題についてお伺いします。
 大津市の中学生のいじめによる男子生徒の自殺により、元同級生の三人のうち二人が暴行などの容疑により書類送検されました。残り一人の少年は、年齢が十三歳であったため、刑事罰の対象とならない児童相談所に送致されました。このいじめについて、警察による、学校・教育委員会への立ち入り調査、家族・家庭情報の流出、教育長の殴打事件、県知事への脅迫や隠ぺいなど、これでもかと多くのことが起き、当時の野田総理大臣がいじめ防止を呼び掛ける事態も起きました。それでも、いじめが全国で起きております。
 品川区でも昨年九月、いじめによる中学一年生の自殺が発生し、教員の「人権意識の欠如」や「情報の隠ぺい体質」などが指摘されております。残念ながら、いじめはなくならないのが現状です。そこで、まず、大津市ほかの事件を受け、学校・教育委員会・自治体を含めた豊島区のいじめ対策の状況がどのようであるか、教育長のお考えをお聞かせ下さい。

 次に、私は、いじめの芽は早くから摘み取り、学校・家庭・職場どの場面であっても、いじめをさせない、許さないということを社会全体で共有することが大事であると考えます。その形の現れの一つとして、昨年、岐阜県可児(かに)市では、「可児市こどものいじめの防止に関する条例」を制定いたしました。その前文には、「いじめを防止し、次世代を担う子どもが健やかに成長することのできる環境を実現することは、社会全体で取り組むべき重要課題」と記載されております。条例は、いじめ防止の基本理念を明らかにし、いじめ防止のための施策を総合的に推進するために制定したとしております。
 条例を制定すればいじめはなくなる、減るという単純なものではありませんが、可児市でのこうした条例制定の動きについて、教育委員会として、教育長はどのようにお考えになるかお聞かせ下さい。
 また、こうした取り組みは、先のセーフコミュニティの推進の方向と一致すると考えますが、いかがでしょうか。お聞かせ下さい。
 次に、食物アレルギーについてお聞きいたします。
 去る一月九日、調布市の小学五年生の乳製品アレルギーのある児童がチーズ入り給食後にアナフィラキシーショックにより死亡するという事故が起きました。心から哀悼の意を表し、亡くなられたお子様のご冥福をお祈り申し上げます。 
 さて、アナフィラキシーとは、アレルギー反応により、じんましんなどの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、ゼーゼー、呼吸困難などの呼吸器症状が、複数同時にかつ急激に出現した状態を言います。その中でも、血圧が低下して意識の低下や脱力を来すような場合を、特にアナフィラキシーショックと呼び、直ちに対応しないと生命にかかわる重篤な状態であることを意味します。
 また、アナフィラキシーには、運動や物理的な刺激(寒さ、日光、熱、発汗等)などによって起こる場合があることも知られています。
 文部科学省では、二〇〇八年ガイドラインを出し、学校でも対策が取られておりましたが、ある調査では、学校の食物アレルギーの発症は、年間二〇〇件以上あるとのことです。
 食物アレルギーは生命に関わる疾患であり、教職員の緊急時の対応や児童生徒のアレルギー症状の予防等、学校給食において食物アレルギーに関する対応策を講じることは児童生徒の安全を確保する観点から大変重要です。 そこで伺います。豊島区内の公立小中学校の食物アレルギーの実態とその対応はどのようになっているか、現状をお聞かせ下さい。また、今後、この事件を受けてどのような対策を講じるおつもりか、お聞かせ下さい。
 最後に、義務教育をめぐる環境は、私が思うだけでも、少子高齢化・家庭力の低下・社会価値観の変化・子供の学力・いじめ・不登校・情報化など、枚挙に暇(いとま)がないほど多くの課題が山積しております。この一月、二期目に入りました三田教育長におかれましては、今後どのようなビジョンをもって豊島区の教育行政を運営されていこうとしているのかお考えをお聞かせ下さい。
 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
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