アマチュア合唱団を聴く     2009 本文へジャンプ
昨年度2009年は32回の音楽会を聴いた。毎年少なくなっている。料金も年金生活者にはバカにならない。
もう少し安くならないものか。

プロの演奏会は20数回だったが、特に感動したり印象に残ったものはなかったので、今年度はアマチュアの合唱団演奏を中心に、その中から感じたことを少し書いてみたい。
音楽仲間、友人、親戚の演奏会では3公演が印象に残った。
いずれもレベルは非常に高くとても楽しむことができた。

白門グリークラブ 第16回演奏会

かつての会社仲間で友人のIさんは学生時代実力と伝統がある中央大学白門グリークラブで活躍していた。

現役時代超多忙なので演奏会活動から遠ざかっていたが、数年前からOBとして本格的に関わるようになったとのことだ。

この合唱団のレベルは高く定期演奏会以外にも積極的に活動しているが、4月の定期を聴く機会があった。

終始美しい男声合唱のハーモニーを堪能させていただいた。
演目は実にバラエイィに富んでおり飽きることがなかった。
特に後半演奏されたフォーレのレクイエムや有名オペラの合唱曲などは小編成ながら室内オーケストラとの共演で大変素晴らしく感心した。 錬度が非常に高い。

4月19日 北とぴあ  さくらホール

演奏会ステージの様子

バッハ ロ短調ミサ曲演奏会

義妹のY子さんはすでに50年もの合唱経歴を持ち、有名合唱曲、ミサ、オラトリオなど数多くのレパートリーを持っている。パートはアルトである。
長年にわたって厳しい指導で知られている郡司 博氏の薫陶を受けており、所属合唱団ともども実力は十分である。

私のように数年前から一流のホールに立ちたいとか、健康のためだとか、ストレス発散だとか、歌った後ビールが旨いだとか、遊び半分でやっているのとはわけが違う。
同じアマチュアでも色々あり、天と地の違いがあると思われる。

今年度はバッハの「ロ短調ミサ」と秋にはハイドンのオラトリオ「天地創造」にも出演している。いずれも長大で難曲である。
このミサ曲はバッハ晩年の作品で、云わば大バッハの集大成でもある。合唱は想像を超える難しさだろう。
指揮のジェフリーリンク氏の音楽づくりとも相まってその歌声は強く印象に残つた。どうがんばっても私には無理である。

4月30日  サントリーホール
ヴェルディ レクイエム 演奏会

音楽を通して知り合いになったKさんは非常にレベルが高いアマチュア合唱団団員である。
パートはテノールであるが私が数年前、初めて「第九」を歌ったとき、親切に初心者の私に色々教えてくれた恩人でもある。
キャリアは長い。確か「第九」だけでも50回以上歌った経験をお持ちだったと記憶している。
若い頃から取り組んでいたことになる。

今回は「ヴェルレク」を歌うという情報を貰っていたので楽しみにしていた。
稽古は年明けからと聞いていたので本番の11月までみっちり積んだと思われる。
演奏会全体が素晴らしい出来で、緊迫感の中にヴェルディの美しい音楽が鳴り響き、前年この曲を歌った私としては大変感動もした。

合唱団はアマチュアだが日フィル専属で技術的にもレベルが高く、さすがに良く訓練されていた。
Kさんからのメールで最後のリベラメが終わった時、厳しい稽古を思い出し思わず涙した…とあったがお気持ちは良く理解できた。


◆11月1日 東京芸術劇場


その他印象に残った音楽会
今年度は少し毛色が変わった演奏会にも出かけた。簡単に概要を記しておきたい。

◆リスト音楽院管弦楽団演奏会
かつてブダペシュトを旅したときにこの音楽学校のまん前を通ったことがある。このコンサートは武蔵野音大との交流により実現したものである。
ハンガリーの音楽の歴史古くレベルは非常に高い。音楽院のプロの卵たちというが演奏のレベルは高く十分楽しめた。指揮者はカールマンベルケシュと云い、ハンガリーで活躍中のプロの音楽家であった。リストのピアノ協奏曲第一番も演奏されたが、ソリストは福井直昭氏で武蔵野音大教授でもあった。
わが国で最近、各音大の演奏会が相次いで開かれているが、一部を聴いてみると、いずりれもプログラムは凝っており、演奏技術は高いと感ずる。

ピアノ300年記念コンサー
もう一つピアノという打楽器の歴史を生の演奏で紹介するコンサートを聴いた。
非常に面白い企画だった。身近なピアノだが知らないことが沢山あったことを思い知らされた。チェンバロ⇒フォルテピアノ⇒モダンピアノと進化を遂げてきた歴史を実際の楽器を使って生の演奏で聴かせた。
数人の演奏家が出演したがいずれも好演だった。やや前口上が長かったがコンサートの性格上やむをえなかったと思われる。

◆パイプオルガンコンサート

自宅の近くに東京芸術劇場があるが、ここは都内でも有数の劇場で、ホールは演目により大小取り混ぜてある。

大ホールは2000人近くを収容できるコンサートホールであるが、ここのパイプオルガンはいろいろな機能を有する優れた楽器だ。

このオルガンを使ったコンサートが二月に一回程度の割合で開かれている。しかも内外の一流の演奏家による無料のコンサートだ。聴きに行かない手はない。

時間はお昼休みの45分間だが、ぶらりと出かけて聴くことがある。なかなか楽しい。
正直言うとオルガン音楽は嫌いではないが長時間聴いていると飽きるので、この程度だとじっくり聴くことができる。

オルガン音楽のコンサートは極めて少ないので時々あの荘重な音色に浸かってみるのもよい。
聴いてみて感ずるのは、やはり大バッハの作品の数々が実に優れていることであり、また教会と密接に結びついた音楽だということである。

私は無料というのは気が引けるので、毎回必ず何がしかの募金に応じているが…

2009年「第九」演奏会
毎年暮には必ず「第九」の演奏会を聴いている。「また第九か…」と言いたくなるが、されど「第九」である。

今回はGerhart BOSSE(ゲルハルトボッセ)指揮する東京シティフィルハーモニック管弦楽団の演奏だ。私はかつてこのオーケストラの定期会員だったこともある。
暮も押し詰まった27日に東京芸術劇場、マチネーの公演だった。

指揮のBOSSE氏は1922年生まれということで、おん年87歳の高齢だが、実に豊富な経験と世界的な名声を博しているマエストロである。ライプチッヒ生まれであるから当然ドイツ音楽は最も得意とする分野であり、指揮ぶりはオーソドックスで、お年に似合わず活気に満ちていた。私は彼の永く深い経験に裏打ちされた音楽造りが好きで、過去何回か聴いている。

しかし、オーケストラの技量が彼の意図するところをきちんと表現できず、管楽器、特にホルンが第三楽章の肝心なところで再三にわたり実にみっともないミスを犯し聴き苦しかった。
どこのオーケストラでもたまに音程を外すことはあり、それはご愛嬌ですむが、連続して何度も音をはずすとハラハラして聴いていられない。プロとしてまことにお粗末で残念なことだ。

ソリストや専属合唱団の出来はごく普通で、可もなく不可もなしといったところだった。

現在、在京のプロのオケで聴衆にはっきりわかるようなミスを繰り返すケースは殆ど経験しないが、今回は全く頂けない演奏だった。

一体これでもプロなのか? 聴衆をなめてはいかんよ。
音楽云々以前にもっと演奏の技量を磨いていただきたい。 マエストロもがっかりしたに違いない。

-はっきり言ってこんな「第九」は二度と聴きたくない-.