コレクションの再開
若い頃レコードのコレクションをしていた時代のことはすでに述べたが、当時レコードは非常に高価でなかなか手が出なかった。年に数枚買うのが限度であった。それでもコツコツと買い貯めて廉価版を含めると数十枚程度のコレクションがあった。

しかし、最初の転勤のときに総て処分してしまった。荷物になるという理由が大きかったが、その頃クラシックを始め音楽を自宅でゆっくり聴くという気持になれず、本箱の下にほこりまみれになっていたこともある。
30歳近くになり会社業務が非常に多忙になった。付き合いも多くなり、たまの休みはくたびれ果てて何をする気も起きなかった。家でゴロゴロしたり小さい子供の相手をして過ごすことが多くなっていた。音楽会にも全く行かなくなってしまった。今思うと私は真の意味で音楽好きということではなかったのかも知れない。一時興味を持っていたオーディオへの情熱もすっかり薄れ、音は何でもよいと思うようになっていた。音楽は時折聴くFM放送がテレビ番組で十分だった。
その後、一時期カセットテープにFM放送からエア・チェックし聴いていた時代もあったが、音は総てウルサイ!と思うようになった。
ところが50歳を過ぎた頃から忘れていたクラシック音楽にまた関心を抱くようになってきた。生活が落ち着き、転勤生活が終わったこと、CDのメディアが数多くなり、価格も下がってきたこと等が大きく影響していると思う。また、その頃車に積んだカーステレオで眠気覚ましに音楽を流すことが多くなったのも回帰の原因だ。

最初に買ったCDはブラームスの交響曲全集でショルティが指揮したシカゴ交響楽団演奏のものだ。CD4枚もののアルバムである。4曲の交響曲以外に2曲の序曲は入っている。
レコードに比べると非常にコンパクトで軽く場所も取らないので技術の進歩に驚いたものだ。当時はまだ高かったが物によってはセールで安くなるものも出始めた。安売りの流れがこの業界にも浸透してきたのだ。


その頃CDプレーヤーを初めて購入した。メーカーはケンウッドのものであり、ポータブルプレーヤーだったが再生専用のものでずっしりと重く、今のマシンとは全く異なる製品だった。手持ちの安物のアンプスピーカーで音を出すと大変素晴らしく、アナログレコードで体験した針音や歪は全くなく驚いたのを覚えている。

増えていったCD
この頃から安いCDが大量に出回るようになった。これ等は正規のレコード店で売られるのではなく、駅の一隅などで大量に安く売られていた。
一種の海賊版だが演奏家の著作権が切れているものばかりだから合法なのだ。
例えばカラヤン・ベルリンフィルのコンビによる古い録音の物などが大量に出回ったのだ。これは買い物だ。確かにジャケットなどはチャチなもので、曲や演奏家の解説もなく本当にカラヤンの指揮したものかどうかも分からないのだが‥

正規のCDが3000円以上するのにこちらの方は1000円程度と半値以下だった。これ等の商品は通常のレコード会社の製品ではなく余り聞いたことがない会社が売り出していた。一見すると粗悪品というイメージだったが、中味を聴いてみると特におかしな点はなく普通に鳴った。曲目もポピュラーなものが多く10数枚は買った。これ等はその後正規のレコード会社から復刻版として商品化され続々と売り出されるようになっている。
名盤が多く、今でも当時のものを聴いている。

輸入盤で40枚組の歴史的オペラの録音を集めた激安セットがTという店で売られていた。 なんと1組6000円で、1枚あたり150円だ。
1900年から40年位の録音が中心で、音は悪いが、伝説的な名歌手の歌声が詰まっていて、オペラ好きにとっては、夢のような商品だ。クラシック離れが進み、若い層は演奏会からも遠ざかっていると聞いている。この業界は不況の上に、PCの普及もあり、正規のメディアを音楽CDに録音できるので極めて厳しい環境に置かれていると思う。私は図書館などでCDを借りてPCでコピーすることは行っていない。

コレクションの現状や整理

コレクションは一体何枚ぐらいになるのだろうか。
整理が悪いのでいたるところに並んでいたり山済みになっている。
どんな作曲家の如何なるジャンルの曲が何曲あるのかもさっぱりわからない状態だった。これではダメというので片っ端からリストアップしてみることにした。方法はエクセルを使ってPCに入力する方法を取った。しかし、300枚程度を入力した時点で放り出してしまった。整理する場合の基準がはっきりせず、入力項目が多すぎていやになってしまったからだ。

やはり、出来るだけ一箇所に集め、作曲家別またはアルファベット順に並べて仕切りをつけておかないと整理した事にならない
先日総てのコレクションの枚数をカウントしてみたら大よそ750枚であり700枚がクラシックであった。曲数は優に1000曲を超えるはずだ。勿論コレクションとしてみた場合、特に多いという部類には入らないと思うが、私にとっては唯一のコレクションなのだ。
作曲家別に仕分けるとモーツアルトが断然多い。次にベートーベン、チャイコフスキーと続いている。

上記コレクションの合計は約500枚

ジャンルではオーケストラ曲が約7割を占めている。これで大体の好みが分かろうというものだ。売られているクラシック音楽のCDは総てが作曲家別になっているわけではない。いろいろな人のものがオムニバスで収められた商品も多い。これ等のCDが200枚程度あることも分かった。なお、同一作曲家のCDが複数あるケースも多く、特に多いのはベートーヴエンの第九交響曲でDVDをあわせると全部で6枚保有している。
私は名曲の一部を細切れのように収録したアルバムは決して買わないことにしている。

愛聴盤
周り近所に迷惑がかからないように通常音は最小限に絞り、他のことをしながらBGMとして流しているが、これはと思ったものはヘッドホンで聴くようにしている。夜は騒音にならないよう特に気をつけており、深夜スピーカーから音を出すことはない。

殆どのクラシック音楽はBGMに適している?
先日、FMシンフォニーホールという放送を聴いていたら解説の作曲家、吉松隆氏が面白いことを云っていた。その時は東フィルがチャイコフスキーの交響曲「悲愴」を演奏した。吉松氏は数ある交響曲の中で傑作を唯一つだけ上げろといわれたら自分は悲愴交響曲だ‥という。
そして、総てにおいて非の打ち所が無い作品だが、あえて欠点を上げるとしたら、BGMとして流すことが困難だという。余りにも音の振幅が大きく曲想が深刻だという。

特にこれが好きといったものはなく、一方キライで聴かないというものもない。録音の良し悪しは全く関係ない。あえて言えばライブ録音のCDが好きだ。可能な限りライブのモノを買うようにしているが数が少ない。しかしスタジオ録音を好まなかった演奏家が居る。
例えば指揮者のカルロス・クライバーやチェリビダッケ、ムラビンスキー等の演奏はライブのものが多く大変面白い。聴衆のざわめき、セキ払い、終わったあとの拍手、ブラホーなどと叫び声などが入っているものが好きだ。演奏会の雰囲気が伝わってくる。多少のミスなどは物の数ではない。 CDで聴く音楽は生演奏とは全く異なる次元のものだが、特にスタジオ録音は完全に作られた音と演奏だ。例えば第一楽章と第四楽章が別の日に行われることすらあり、ライブのような自然な流れが阻害される場合もあるのだ。

また、如何によく聴こえるかについて録音技師や関係者が念入りに打ち合わせ協奏曲のソロなどは必要以上に際立たせることがあるので面白くない。
なお、同じような理由でNHKのFM放送の「ベストオブクラシック」や日曜日の午後、取り上げられている「クラシック・スペシャル」の録音やウイーン樂友協会からの生中継なども非常に興味がある。
市販のスタジオ録音のCDにはない雰囲気があり想像を膨らませることが出来る。

コレクションの中で非常に聴き応えがあるのはウイーンフィルの全集CDである。これは「ウイーンフィル世界の名曲」と銘打ったシリーズもので出版物として発行されたものだ。とにかく内容が素晴らしい。演奏家は超一流しかも選曲もよく、当然演奏は極上だ。総てウイーンフィルによるもので、しかも中にある解説がスゴイ!
通常ジャケットに付いている紙切れではなくA4サイズ10数枚、写真や譜面入りの立派なものだ。A社が書籍店でシリーズとして発売したもので、当時私も非常に興味を持ったが、既に所有しているものもあったので買うことにはためらっていた。
しかし、その後、幸運にもこのシリーズをある方から頂いた。大変素晴らしいシリーズだ。このシリーズは創刊号から50号までありそのバックナンバーは以下の通りだ。

最近はDVDに興味が移りつつある。臨場感があって見ていて面白い。演奏家の身振りや表情が大変面白く、オペラやバレエはDVDの独壇場だ。最近、CDの購買意欲は以前ほどではなく、最新録音盤より「歴史的録音」という昔のモノラル時代の復刻版に興味を抱くようになっている。

CDジャケットに見る名画?の世界


これはどこかの美術館の絵を切り抜いたものではない。CDのジャケットに載っていた絵の一部だ。商品を選ぶときは当然曲目や演奏家が第一だが、ジャケットの意匠も影響するのではないか。仲には見ていて美しいと思うものもある。これもコレクションの一つの楽しみ方だと思う。
(04/03/05)もどる

My CD・Collection

(BGMはシューマンの「美しい5月」です)