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比谷公会堂でショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会が開かれた

わが国では滅多に無いプロジェクトだ。
この連続演奏会の立役者は指揮者の井上道義氏であるが、去る11月4日日曜日の午後カミさんと聴きに出かけた。

この音楽ホールは大変懐かしい場所で、若い頃、なけなしのカネを支払い、コンサートを数回聴いた記憶がある。
忘れられないのは世界的な指揮者であるカラヤンが振ったベートーヴェンの第7交響曲、ムソルグスキーの展覧会の絵、マルコムサージェントのヘンデルの「水上の音楽」等でその時の感動はいまだに忘れない。オーケストラはN響かベルリンフィルだがそれははっきり覚えていない。
そのほか渡辺弘とスターダスターズのシンフォニックジャズなども聴いた記憶があり、若かりし頃のペギー葉山女史が歌っていたのを鮮明に思い出す。かつてこのホールは、わが国唯一の本格的なコンサートホールだったのだ。

私はショスタコービッチの音楽は退屈で、面白くもおかしくも無いので、カネを支払ってまで聴きたくない。
演奏会そのものよりも、このホールが今一体どうなっているのかに興味がありそれを見に行ったのだ。

演奏会の模様
当日のプログラムは有名な第5番「革命」と6番の2曲でオーケストラは本場のサンクトペテルブルグ交響楽団。

正直言ってこの演奏はつまらなかった。
まず、このオケは大編成だったが、技術的には全く
ヘタクソである。
特に管楽器がお粗末極まりなかった。音は外すし揃わないし聴いていてはらはらした。第5番の前半はヒドイ演奏だった。
これならわが国のアマチュアか地方のオケのほうがはるかにましだと思った。


マエストロはいつものように軽快でわかりやすい棒捌きを見せていたが、オケの反応は全くダメで「笛吹けど踊らず」の印象だった。
第6番はバレエ音楽のような軽快で分かりやすい曲だったが、出来はまあまあだった。
私はショスタコーヴィチはほとんど聴かない。大体が退屈でつまらない音楽だと思う。唯一聴くのは「森の歌」という通俗的なオラトリオだけだ。これは赤っぽいのがイヤだが、文句無く楽しめる。

料金はSでもたった3000円で破格に安いが、安かろう悪かろうでは困る。この料金設定は指揮者の強い希望だという。



日比谷公会堂のスケッチ画
「お絵かき教室」の写生会の下絵としてスケッチしたもの10/16


会場写真
印象としては思ったより近代的だが、音響は残響がほとんど無く不満が残る。当日は一階の後部だったので天井が低く特に音響が悪かったのかも知れない。
しかし、歴史を感じさせる建物であり、雰囲気は非常に良く、ここでもっと数多くのコンサートが開かれてもおかしくないと思った。
立地や周辺の環境は抜群だ。


全景

急な入り口階段

一階ロビー

売店

一階からのステージ
改修されているがイスは良くない

二階から見たステージ

二階ロビー

二階ロビー


通路兼喫煙所

二階のパネル

パネル

指揮者、井上氏のお話は何を意味しているのか?
休憩の最中に彼が一人でステージに登場してこんな話をした。コンサートの途中で指揮者が聴衆に向かって話をするのは異例である。一体彼が何を言いたいのかさっぱり判らない、ピントが外れた話だと思った。
曰く
「今演奏した第5番は相当キライな曲だ。(笑い声)今後演奏はしないかも… この企画は昨晩から始めたが日本ではなじまない。後ろのほうのイスがギシギシ音を立てて不愉快なら2階に少し空きがあるから移ってもらってもよい。
財政的に厳しく、チケットが3000円では赤字だ…援助もあるが最後は自分で背負い込むことになるのでカンパしてほしい。
リピーターとして後日、第7番の演奏を聴いてほしい。その時、昨日演奏した第一番を日本の子供のオーケストラで再演する。この子供オーケストラは今度「火の鳥」を海外で演奏するが、ヴァイオリンの女の子など暗譜で演奏できる。ここに居るサンクトペテルブルグ交響楽団の連中を驚かしてやる」云々…

◆私には何か彼のボヤキに聞こえた。「子供のほうがまだマシだ…」と云っているようにも聞こえだ。
当日の演奏にひどいミスが目立ち、ギクシャクしていたのはオケに意地悪でもされたのかと思った。
これは私の単なる勘ぐりかもしれない。

ロシア人とは、彼等の母国の音楽のことで「けんか?」しないほうが得策だと思った。


ロシアの交響楽団の演奏会は他にも何回か聴いたことがある。玉石混交だ。
ヘタクソな演奏は何も今回に限ったことではない。レニングラードのオケが毎年のように暮になると出稼ぎに来日し「第九」の演奏を行っている。
数年前に常連のアニハーノフの指揮で聴いた時、確か文京シビックホールだったと思うが、「第九」の前にモーツアルトのジュピターか何かを演奏した。その時のオーボエは真にひどかった。音程がめちゃくちゃで素人以下というより音楽になっていなかった。聴いていてハラハラし、うんざりした。

カネ返してくれー!」と怒鳴りたくなった。リートの具合らしかったが、演奏中なのに隣の奏者がしきりに注意していた…ぶざまな風景だった。
勿論素晴らしい演奏を披露したこともあるだろうが、この日の演奏に限って云えば、後半の「第九」も含めて真にお粗末だった。


付録 日比谷公園再発見
当日は秋晴れで汗ばむほどの陽気だった。演奏会まで時間が十分あったので園内を少し散策した。

入り口近くのレストランの中庭で結婚式が行われていた。また、噴水近くの広場では山梨県主催のワイン祭りが行われ、大勢の人々がグラス片手に楽しんでいた。コンサートを控えていたのでさすがに飲まなかったが、秋空の下で皆ニコニコ顔だった。

この公演はその昔は練兵場で戦時中は畑になり、戦後アメリカ軍に接収されたが、返還後、整備され今日のような都民憩いの場になったらしい。ニューヨークのセントラルパークと比肩されるような公園だが、ここははるかに安全であり本当のオアシスだと思う。


レストラン
 
公園事務所

ワイン祭りの会場

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