事故の当事者と電話で対応していると「非常に厄介で解決が難しいな」と予感させる事故が少なからずあります。そのような事案を「ご安心下さい。休み明けに担当者を決めて総て円満に解決致します」と大見得を切り、正式の担当者に「先送り」すれば良いのですが、受け手の担当社員、大変だろうなと気の毒になります。仕事とは云え心からいつも同情していました。
 このような仕組みはいろいろなところで実施されていますが、電話で顔の見えない相手に対して、休み明けまでの対応を的確にアドバイスするのはそう簡単なことではありません。リップサービスだけで安心?を与えるのですから‥ 
ま、一種のゴマカシです。

ここでは某休日コールセンターで事故の当事者から相談を受けたものの中から相談が多かったケースを中心に、その一部をQ&Aの形でお話してみたい。

被害者からの要求は千差万別
不注意で事故を起こした相手に損害賠償請求を起こすのは当たり前の話だ。人身事故では原則として被害者から請求がなくても損害を補償する責任がある。
その過程でいろいろな要求・要望が出てくるのも当然の成り行きである。この要求が上手く対応できないと「苦情」につながることになる。また時としてオソロシイ「脅迫」に発展することもあるのだ。
一度苦情に発展するとその後いくら修復しようと努力しても、感情的なものが出てくるので円満な示談解決が出来なくなることがある。人間は所詮感情の動物だなと思う。
Q1:対物事故の特徴と問題点は何か?
Q2:人身事故を起こしたときの対処はどうするの?
Q3:事故報告は何時の時点でしたらよいのか
Q4:保険会社の対応が悪いのでクレームを付けたいが
Q5:不満を監督官庁に持ち込めば改善されるか
Q6:事故の担当は無責任なので替えてもらいたいが
Q7:契約者が脅しを受けたときの対処如何
Q8:軽微な損傷なので警察に届出せずに済ませたいが
Q9:契約の窓口である代理店は事故のとき力になるか
Q10:無料で相談や解決に応じてくれるところはないのか
◆無駄な保険料は支払うな
◆オレオレ詐欺にあわないように

<お断り>
これからの記述内容はホケン屋だった元コールセンター相談員が感じたままを自由な立場で述べたものであり、内容の正確性や完全性・妥当性を保証するものではない、また、利害関係等考えられるすべての関連事項についての責任は一切負わない。

Q1:物損事故の特徴や問題点は何か。
事故の発生頻度は圧倒的に物損が多く、事故件数の8割方を占めているが、相手のクルマにぶつけるとお互いの過失にもよるが、クルマ社会の現代では直ちに「事故ったクルマの代わりを手配しろ」ということになる。そして事故車は修理に出される。ここでよくトラブルが発生する。
まず「代車」を出す出さないから始まり、代車のグレードの問題、また貸与期間など実にさまざまな要因が絡み合っているからだ。いわゆる高級外車にぶつけるとことだ。代車の手配はレンタカーが中心だが、保険で認めるのは同じグレードの外車ではなく国産車のレンタル代なのでトラブルに発展しやすい。
また、よくあるのは双方に過失が生じた場合の代車の是非についてである。
一般的にホケン屋の世界では双方に何がしかの過失が生ずると判断される場合、代車は出さないのが原則だ。これが損害賠償の法理論から云って正しいか否かについては問題なしとしないが、実務上は100対0の場合で、真に代車が必要と判断される場合にホケンで面倒見る事になっているのだ。
まずここでトラブルが発生しやすい。
その他新車の要求、修理の方法などもトラブルに発展することが多い。特に「新車の要求」や「格落ちの損害」について保険では100パーセント認められないので十分注意が必要だ。
これ以外に車両単独事故、車上あらし、盗難事故など様々なものがあるがこれらについては割愛する。

Q2:人身事故を起こしたときの対処は如何にすべきか
人身事故を起こすとまず最初に出てくるのが被害者に対する治療代の問題だ。相手にケガを負わせた場合は、直ちに救急車を手配し病院へ搬送し治療を受けてもらう必要がある。一見外傷がなくても検査をしてみる必要があるのだ。これは加害者として当然取るべき最低の措置である。
自動車事故の場合、治療費は自賠責保険から賄われるので自由診療である。そのため高額になる。(自動車事故の場合でも健保は適用できるが、とっさのことなので自由診療が殆どである)当面の治療費や入院の保証金は当事者が立替える以外にないが、カネの持ち合わせがない場合もあり、このような場合トラブルに発展することがある。なお、保険会社が病院と交渉して先延ばしを了解してもらうことが出来るので相談してみるとよい。
事故直後に示談したり大金が必要だということはなく、老人からカネをむしりとる卑劣極まりない「おれおれ詐欺師」の云うことは総てデタラメだ。
その他ありとあらゆる要求が出るが、事故との因果関係や過失相殺、賠償金の妥当性について即断を下すのは非常にリスクが大きいので、この時点でヘタな約束はしないことが大切だ。
物損事故も含めて事故現場で「全額賠償する」などと約束したり、一筆入れたりすると後でとんでもないことになる。クルマ同士の事故で双方が動いていれば追突、センタラインオーバー、信号無視、以外殆どの場合、双方に過失が生ずるからた。

Q3:事故報告は何時したらよいのか。
保険証券やパンフレットには事故を起こしたら直ちに所要事項を報告するようにコメントしてあるはずだ。これが理由も無く遅れると不利益を蒙ることがあるのだ。
但し、事故直後には色々なことに対処しなければならない。
まず警察を呼び実況見分をしてもらう必要がある。勿論けが人がいれば救急を最優先しなければならない。
事故報告は今はどんな保険・共済でも24時間受け付けているので、これ等の措置が済んで相手の情報を正確に把握してから落ち着いて行うことが望ましい。
不正確な情報やウソを報告することは厳禁だ。このページの先頭に戻る

Q4:保険会社の対応が悪いので文句を言いたいが
苦情とは「自分が他から受ける損害や不利益などに対する不平や不満」のことである。しかし、実務の中では「要望・要求、理不尽な要求、脅しに近い要求」などと「苦情」が一緒くたに処理されているのが実態だ。また、苦情は電話の向うで怒鳴ったり喚いたりするケースと捕らえられ勝ちだが、穏やかな口調で大変厳しい指摘をしてくる苦情もある。
現在、あらゆる企業にとってコンシューマーからの苦情対応は大変重要な課題であり、対応を誤ると経営責任にも及ぶ問題にもなりかねない。このことを否定するつもりはない。
しかしこの商売はクレームが発生するのがある意味では当たり前なのだ。ホケン屋は事故の中味をよく調べ、客観的な立場で可能な限り適正な保険金を支払うだけの義務しか負っていない。勿論神様ではないから判断ミスを犯すこともあるが、すべての責任はホケン屋にありといわんばかりの無茶苦茶な論法は成り立たない。
わからずやの言いなりにホケンをほいほい支払っていたら一体どうなるのか。そんなことは説明するまでもないことだ。ホイホイ払いの結果ホケン屋が心ならずも巧妙な保険金詐欺の手先になってしまった例は枚挙にいとまが無い。こうなると大変な社会的批判と制裁を受けるハメになるのだ。
このことは最近のマスコミ報道を見れば明らかだ。
◆相談員の目
私はかつてコールセンターで、山ほどの苦情を受けたが、中には理解に苦しむようなイチャモンや文句も結構多いのだ。このような「分からず屋」の世迷言にはうんざりさせられた。
事故処理という商売は難しい。何しろ事故に遭遇すると多くの場合、精神状態は当たり前ではなく、更に事故の当事者即ち加害者、被害者の利害は反するからだ。
事故に伴う補償は究極的には民事の損害賠償の問題に帰結するのであり金銭で解決する以外には方法がない。しかし、客の中には我々に対して「元に戻してくれ!」と怒鳴り散らす分からず屋も多い。「冗談じゃねぇぞ!」と反対に逆切れして怒鳴りたくなったことが何度もある。これは本音だ。
事故に関わるその他もろもろの感情的な問題は、総て事故の当事者、即ちホケンの契約者と被害者の問題だ。ホケン屋には何等関わりがないことだ。だがこの辺のことをキチンと理解せずに「悪者は総てホケン屋だ」と決め付ける人物が如何に多いかそのバカらしさをイヤというほど体験した。
電話を通して感じたことは日本人の国民性はウエットで浪花節根性丸出し、幼児性から抜け出していない大人が多いことだ。このような連中にはキチンとした理屈が通用しないのだ。話はかみ合わずいつまでも平行線だ。
つまらない苦情に真剣になって対応していたのでは身がもたない。適当にあしらわないと馬鹿馬鹿しくてやっていられないというのが実感だった。

Q5:不満を監督官庁に持ち込めば解決出るのではないか。
中にはこのような文句を直接監督官庁に持ち込む不心得モノもいる。持ち込んでも解決は出来ない。金融監督庁は民事の損害賠償事件の裁定をするところではない。その役割を担っているのは裁判所だ。
現役の頃MOFから呼びつけられたことがある。部下の処理中の案件が苦情として大蔵省の保険課に持ち込まれたのだ。当然当方にも言い分は山ほどあり、殆どはキチンと説明できることだ。説明を聞いた後で係官はうんざりした顔で曰く「何でもよいからとにかく苦情を役所に持ち込まれないようにしてくれ」とだけコメントした。
具体的な指摘や指導は一切無くいい加減なものだった。役人の指導とはこの程度の内容である。役所へ火の粉が降りかかるのだけはやめにして欲しいという実に情けない態度だった。
どうしても話し合いが出来なければ法的な手段に訴えれば済む話だ。裁判に持ち込まなくても解決の道はいくらでもあるのだ。こんなのは監督官庁の指導に恐れおののくと判断した単なる「嫌がらせ」に過ぎない。

◆相談員の目
相談する方にもエチケットがあってしかるべきだ。相談を受ける我々は事故の当事者に対してお気の毒だと思い、なんとか力になろうと出来る限りの体験や知識を使って相談に応ずる。大半の人は「休日なのにご苦労さん。親切にアドバイス有難う。気持が落ち着いた、また相談に乗って欲しい‥」などと感謝の言葉を口にする。だが中にはのっけから怒鳴ったり、わめいたり、揚げ足をとったり、サケに酔っ払ったり‥ けんか腰で電話をしてくる輩もいる。
相談をするにはそれなりの準備や言い方があるはずだ。当方の問いかけには最初から聞く耳持たず感情むき出しで怒鳴られたりしたら親身になって応じようとする気持は萎えてしまう。
それが人情というものだ。このことはどんなことでも共通している。このようなことをわきまえない、とんでもない相談者が少なからずあるのには本当にあきれた。
こんな馬鹿で幼稚な日本人は昔はいなかったと思うのだが‥相手が弱者とみるやいなやイバリちらす、全く間違った消費者根性が見え隠れしている。
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Q6:事故の担当者は無責任で動いてくれないので替えてくれ
担当者に対する苦情は実に種々雑多だが大別すると
@担当の対応や態度が悪い。
A説明が十分行われていない。処理が遅い。
B約束を守らない
などによって起こることが多いが、事実であれば本来このようなことはあってはならないことだ。
約束を守らないなどは下の下で今流に云えばウソをついたことになり、論外である。ビジネスとしての体をなしていない。信用は正に地に落ちる。また、大きな社会的批判の対象になることは最近の一連の事件報道を見ても明らかだ。だから各企業ともユーザーからの苦情に対しては非常に気を使い少しでも減らそうと努力を重ねていると思われる。そして苦情をデータとして集め分析して今後の顧客サービスの向上に役立てようと努力を重ねている。しかし、所詮は人間がやることでしかも事故という異常事態を処理するのであり、100%の顧客満足を得ることは困難だと思う。
ただ、客のクレームの中に「担当社員は電話のとき、お怪我の具合は如何ですか‥の一言もなかった」又は「プライバシーの総てを話したのに誠意が感じられない」というのを聞いたことがある。ハッとさせられる点だ。
初めて電話を受ける場合には必ず「事故にあわれて大変でしたね‥心からお見舞いします‥」物損の場合でも「お怪我はありませんでしたか‥」「その後のお加減は如何ですか‥」と相手を思いやる気持を示すべきなのだ。個人情報の漏洩はあってはならないことだ。守秘義務があり守らないと犯罪になる。
◆相談員の目
「態度がワルイ」だとか、「説明不十分」だとか、「処理が遅い‥」などは相手の云うことを額面どおり受け止めるべきかどうか多いに疑問がある。
苦情申し立て者の一方的な言い分ではないのか?私は数多くの罵詈雑言を受けていたがいつも疑問に感じていた。
このような指摘は極めて感情的な主観的な感じ方に過ぎないからだ。
もう一点言わせていただければホケンの担当者は実に多くの事故案件を抱えているのだ。すべての案件を合計すればおそらく一人数百件の事故を受け持っているだろう。
一件処理すればまた新しい事故が発生し、いつでもペンディングとして抱えておりエンドレスなのだ。中には数年前の事故が未解決のまま、残っている場合もあるのだ。
いやな事故のことで気が休まることはなく、他の業種に代わるまで続くのだ。
だからこの仕事は社員から嫌われている。当事者は自分だけの担当だと思っているかもしれないが彼は専任ではないのだ。
自らが担当者に協力し解決しようとする努力なくしては上手く行くはずが無い。
不注意で事故を惹き起したのは文句タラタラの本人であり、会社の担当者には何等責任は無いのだ。
この点を履き違えた「自己中の客」が多いのにはほとほとあきれた。自分さえよければ他人のことはどうでもよしとする身勝手な世相をよく反映している。

Q7契約者(加害者)が脅しを受けたときはどう対処したらよいのか。
実はコールセンターで事故相談を受ていると「今被害者から脅されている。どう対処すべきか?」という質問を受ける機会はかなり多い。
しかし、脅しといってもピンからキリまである。個人によって感じ方はさまざまだからだ。コワイと感ずれば立派な脅迫だと思われるが、脅迫とは「相手の生命や財産などに害を与えるといって何かの実行を迫ること」である。そしてこのことが立証され認められれば刑法の脅迫罪が成り立つのだ。
このような相談を受けた場合は毅然とした対応をお願いせざるを得ない。そして、「事故の報告はキチンと済ませてあるので休み明けには保険会社が対応する」と明言するようにアドバイスする。なおも脅迫めいた言動をとった場合には警察に相談する以外に有効な手はないのだ。警察に相談すると「民事不介入」を理由に真剣に取り合ってくれない場合も多い。警察の言い分は「言葉だけではなく本当に暴力でも振るってケガでもしたら暴行傷害罪で逮捕できるがさもないと難しい」として逃げてしまうのが殆どだ。ケガをしてからでは遅いのだ。
脅してあわよくばカネをせしめようと考えているヤカラはこの世の中にゴマンといる。特に当事者ではなく第三者が介入してきたような場合は十分警戒しなければならない。このような相談を受けたときは、相手に対して「○○会社のS相談員に相談した」とはっきり相手に私の名前を伝えるようにとアドバイスした。
このようなワルは保険会社の担当が決まる前に、何がしかの金銭や不当な約束を取り付けたがるのだ。
また、後日の為に出来れば録音しておきたいところだが、ダメであれば具体的な内容を時間や脅しの回数も含めてメモの形で残しておくことも有効だ。
私は脅されてひどくおびえていた加害者や脅しが余りにもヒドイと感じた場合には所轄警察に対して電話し、相手に対して注意するように依頼したことが何度かあった。我々のような立場の者から電話されると反発する警察官もいたが協力してくれた人もいる。
◆相談員の目
電話相談で色よい回答が得られないと「電話では話にならないお前がすぐに飛んで来い!担当者の自宅の電話を教えろ!責任者または社長を出せ!(社長の電話を教えろ!)加害者に直接要求するがよいな!」などなど電話口で大声で怒鳴り一歩もひかない「分からず屋」 が少なからずいる。
こうなると苦情とは言えず一種の脅しに近いものだ。
こんな事にハイハイと応ずるとでも思っているのか。そんなことはあるまい。
私はこのような輩にも終始出来るだけ丁寧にわかりやすく対応したつもりだが、余りにも乱暴で無礼な者に対してはこちらから一方的に電話を切らせていただいた。
電話相談ではキチンとした状況判断が困難であり、対応出来ることと出来ないことがあるのは当たり前で、間違った断定を下すのは非常に危険なことなのだ。
当方とて人格がある人間なのだ。しかも不法なことは何一つとしてしていない一市民なのだから無法な罵詈雑言を浴びる理由は全く無いのであり、ヘタをすると刑法の侮辱罪か名誉毀損になりかねないのだ。
現役の時代数多くの「本物の脅し」にあったが退役後もコールセンターでまた「電話による脅し」を受けるとは思わなかった。考えると実に因果な商売だ。
今大きな社会問題になっているのは理由も無く人に暴力を振るったり、平気で人を殺したり放火することだ。理由はたいがいムシャクシャしたからだ‥という。
誠に身勝手なものだ。ホンの些細なことでキレてしまい前後の見境無く凶行に及ぶ人物が激増しているが、電話相談を受けているとこの殺伐で異常な社会の有様をよく映し出していると思う。このページの先頭に戻る


Q8:お互いに軽微な損傷なので警察の届出はしないで済ませたいが。
よく軽微なクルマだけの損傷だから「警察に届けないでお互いに示談にしよう」という甘言に乗り、後でベラボウな請求を受け困惑するケースがあるが、これは絶対に避けなければならない。
事故直後に届け出せず、その後人身事故に発展したり、紛糾してから警察に行くとこっぴどく怒られるのが関の山だ。道路交通法では人身・物損を問わず事故は総て届け出が義務づけられているのだ。この辺のことを安易に考えたり、交通違反等を繰り返し免許の持ち点数が少なくなり、免許取り消しになるのではないかと怖れて届け出せず対応しようとするととんでもないことになるのだ。実際このような相談を数多く受けたが、事情は理解できてもアドバイスする側としては届出を強く勧めざるを得なかった。交通違反の持ち点が少ないというのは事故るチャンスも多いということだ。これもまた身勝手な主張なのだ。

実際に体験したことだが、打撲程度の軽症や鞭打ち症の場合、事故直後は気が張っているため異常は無くても後日発症するケースはいくらでもあることだ。頭を打った場合は特に要注意であり必ず直ちに病院でレントゲン検査を受けなければならない。
事故証明書が無ければ人身事故については保険が適用できないので自腹を切ることになりかねない。被害者にとっても大変不安なことだ。このような悲劇を実際数多く体験してきた。
自動車事故は大小を問わず総て警察に届け出すべきだ。
前述の脅迫の場合も警察への届出が抑止力になるのだ。ワルは警察やホケン屋の介入を嫌うのだ。

Q9:契約の窓口である「代理店」は事故のとき何をするのか
自動車保険では通販型の商品を除くと、契約を締結するとき殆どの場合は会社の代理店が行っている。経営形態は個人、法人と様々だが、保険商品が売れると保険会社からそれなりの手数料を貰っている。自分のお客さんに事故が起きた場合は親身になって動き、力になるのは当たり前のことだ。特に会社が休みの時には先ず代理店が出来る限りの手を尽くすべきなのだ。事故がおきたらまず身近な代理店によく相談し対応についてアドバイスを貰うべきである。
会社の担当者は数多くの事故を抱えており、痒いところへ手が届くようなサービスは事実上出来ないが代理店なら出来る筈だ。
ある時、相手被害者の某社代理店から電話があった。彼は当事者の過失割合について私の見解を聞いてきた。私のような休日相談員はコールセンターに雇われたアルバイトみたいなもので、何等決定権は無く権限も無いので、突っ込んだ話は避けたが感心した。客の為に何とか有利にことを運ぼうとする熱意が電話の向こうからひしひしと伝わってきた。またある整備工場の代理店は直ちに事故現場に出向き契約者のクルマの応急修理を行い当面の走行に差支えがないような措置をしていたが、こんな代理店に契約を頼めばイザというとき安心だ。 プロ根性をはっきり持っている人を選ぶべきだ。
まさか保険契約をお付合いでする人はいないと思うが、単なる保険料が高いとか安いとかの比較ではなく事故処理能力の優れた代理店に頼む方がイザというとき安心だ。このデフレの世の中に自動車保険の買い物は年間数万円から10万円以上もする非常に高い買い物だ。事故のときを考えて慎重に選択しよう。

◆相談員の目
実はコールセンターで一番数が多い相談は、保険金請求書を始め書類作成に関することだ。なるほどこの請求書の記入は超難しい。

<関係書類のイメージ>

用紙を見ると例えば請求内容欄には保険金、損害賠償額、内払金、仮渡金とあり、請求者、保険契約者、加害運転者、被害者、保有者、支払指図書‥と記入個所が続いている。(全社共通の自賠責保険の場合)更に事故発生状況報告書、を作成し、医師の診断書、診療報酬明細書、休業損害証明書等も取り付ける必要がある。いずれも人身事故損害の賠償額積算には欠かせない立証資料なのだが用語が難しく、素人には一体何のことだか分からないだろう。物損の場合も似たり寄ったりだ。
このようなことは本来代理店が丁寧に説明し、作成の手助けを積極的にすべきものだ。自分の客の為にこんなことも出来ない代理店は保険商品を売る資格は無い。
いずれ淘汰されるだろう。

Q10:加害者の言い分にどうしても納得できない。
    無料で相談に乗ってくれ解決してくれる第三者機関はないのか。

交通事故を巡る紛争は各種の相談機関を利用するとよい。
特に示談交渉で納得が行かず不安がある場合には、交通事故紛争処理センターや日弁連の交通事故相談所に相談するとよい。
その他各地方自治体の法律相談窓口などに行って相談してみるのも一つの方法だ。

@財団法人交通事故紛争処理センター
東京本部以外全国主要都市7箇所に支部があり、弁護士による無料法律相談、示談斡旋、紛争解決のための審査を実施。被害者が斡旋案に同意すればセンターの裁定には保険会社も従うことになっている。
A財団法人日弁連交通事故相談センター
東京本部以外に全国20数ヶ所にあり、弁護士が相談、示談の斡旋、審査などを無料で実施。予め電話で相談の日時を確認し、関連書類を持参の上訪問する。

なおこれでも納得できなければ裁判所に申し立て、民事調停または民事訴訟、即ち裁判で決着を図る以外にないが、殆どの場合、判決に至らず訴訟中に和解勧告が行われ示談するようだ。このページの先頭に戻る

貴方は無駄な損害保険料を支払っていませんか? 
 ホケンの再点検をしてみよう!

自動車保険でも火災保険でも云えることだが、契約に際しては会社側に商品の内容をよく説明してもらい十分納得の上で契約すべきだ。
毎年送られてくる「満期はがき」により、代理店から薦められるがままに漫然と更新してはいませんか?
前に述べたように、ホケンは非常に高額な買い物だ。しかも支出は毎年のことだ。
今のホケンはいろいろなリスクをカバーできるように設計されているが、中には殆ど起こらないような危険についても「特約」という形で知らないうちに付保されていることがあるのだ。
中には商品のオマケのように毒にもクスリにもならないようなものもあるが、いずれも保険料に跳ね返ってくる。この際無駄な支出は極力避けよう。
自分の車の使用環境や考えられる危険を十分考えて、ムダなモノは省く一方、イザというとき「シマッタ!」ということがないように真に必要なものはキチンと付けることが大事だ。 これが賢い消費者だ。

最近「おれおれ詐欺」というのが流行り、多くのお年寄りが被害にあっているという。
孫と称する詐欺師が「俺だけど今事故って大変だ!金がいるので振り込んでくれ!」と老人に突然電話しビックリ仰天したお婆ちゃんがうっかり指定口座に大金を振り込んでしまう事件だ。
いまや全国各地で多発し、被害総額は何十億円の単位だという。
弱者から虎の子の財産を巻き上げる実に悪辣なやり方で、今のこの国の世相をよく反映した憎むべき犯罪だ。何でこんな単純なことに引っかかるのだろうと思うが、「孫が事故」というのはお婆ちゃんにとっては大変なショックでありこのような対応になってしまうのかもしれない。
だが、自動車事故を起こしても直ちに示談金が必要というのはありえないことだ。
治療費は保険会社が立替えて支払ってくれるのが通例だし、壊れたクルマは修理の後に始めて工場から請求書が上がってくるのだ。カネは要るとしたら事故後直ちにではなく、ケガが完治し、示談が成立した後である。しかもこれらは保険会社が総て保険金で対応してくれるのだ。
自動車事故の場合は事故直後には「カネは不要」だということを声を大にして云いたい。
 (04/01/19)
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要求・苦情・脅迫

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