2008年5月

第2767号 2008年5月21日号


地域・おもしろマーケティング大賞
 南大塚・高知堂


 豊島区中小企業診断士会・商店街連合会共催「地域・おもしろマーケティング大賞」における受賞店は前号で既に紹介したが、その中から今回は先ず、「地域特別賞」を受賞された南大塚商店街の文房具店、「高知堂」(南大塚3-44-16)を取材してみた。

 「高知堂」は、JR大塚駅南口より徒歩四分、明治二十八年、文京区白山に創業し、戦後の昭和二十四年からこの地で営業開始。創業以来百数十年の歴史を持つ老舗の文房具店である。南大塚の商店街では最も古い店の一つだ。創業者が高知県出身であったことから「高知堂」という屋号がつけられたという。現在は久下芳範(70歳)さんが五代目を継いでいる。

 店舗は二つのフロアーに分かれ、一階は文房具一般、二階には書道用品やデザイン用品が並ぶ。品数はかなり豊富だ。個人の文房具店でこれほどの品揃えは珍しい。特にカラフルなラッピング用紙は、その豊富さは一見に値するものがある。


 要望があればラッピング指導もしてくれるという。お客の殆どが地元の人たちで、主にビジネスマンや学生が多い。近年、安売り店や大型店の進出で多くの個人商店が苦戦を強いられているが、「高知堂」は長年にわたる固定客を大切にし、地域に根差した地道な営業活動を続けている。大型店のような華やかさはないものの、取材中も三々五々と常にお客が出入りして絶えない。品数の豊富さと専門商品への特化がお客を掴んでいるものと思う。

 だが、お店を取り巻く大塚駅周辺は、昔ほどの賑わいはない。二十数年前、地下鉄丸ノ内線が大塚駅へ乗り入れる話があったとき、一部の反対運動があって計画は見送られた。そのため今では、豊島区内のJR駅で地下鉄が接続してないのは、目白と大塚ただ二駅のみになってしまった。その点では時代に乗り遅れた感は否めない。

 一方そんな中で、昔の賑わいを取り戻そうと、地域を上げて奮闘している姿がある。商店後継者の若者衆達が、周辺の三つの商店会(盛和会・サンモール大塚・商興会)に働きかけ、「南大塚ネットワーク」を立ち上げた。地元の「天祖神社」の縁日に合わせたイベントや大塚阿波踊り等、様々な活動を繰り広げている。当店の六代目を担う長男の久下高史(40歳)さんもその一人だ。

 時代の流れと共に、商店街を取り巻く環境は確かに厳しいものがある。しかしながら、地域を上げての取り組み、大型店に真似ができない専門商品への特化、豊富な品揃え、培った接客技術等で差別化を出していけば、これからも個人商店は逞しく生き抜いていけるのではなかろうか。


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