2008年7月

第2773号 2008年7月9日号


地域・おもしろマーケティング大賞
 ベーカリー フジワラ 池袋本町


 「おもしろ大賞」部門における「特別賞」に続き、今回は「優秀賞」を受賞された「手作りパン工房 Backer fujiwara」(池袋本町3-1-1)を訪ねてみた。

 当店は池袋本町通り商店街の一角にあり、同地区からは既に紹介した「栗原米店」も含め、受賞店が二つも出たことは、同商店街にとっても喜ばしいことではなかろうか。

 店の売り場は二坪程度と狭く、お客が1~2名入ればすぐに一杯になる。その奥にある工房も狭く、3人の若い女性のパン職人が、肩を擦り合うようにして忙しく働いている。品揃えは豊富で三、四十種類はあるだろうか。当店の自慢は、イーストフードなどの発酵促進材は一切使わず、自家製天然酵母を使用していることだ。そのためか、地元のファンが徐々に増えているという。特に「エビグラタンパン」が人気だそうだ。

 当店はこの地に営業開始してまだ四年の新しい店である。オーナーは藤原敏夫さん、当年とって33歳の若さだ。「東京で自分の店を持ちたい…」と、郷里の広島を出、青山のパン工房で長年修業を積んで、この頃やっとその夢が叶った。「早く軌道に乗せたい…」と、奥様と二人で一生懸命頑張っているそうだ。若者らしくITにも精通し、ホームページを開いてオンライショップも手掛け、時代を先取りした営業も展開している。昨年、奥様に長崎店を出店させ、この七月で開店一周年を迎える。まさに順調なスタートと言えるだろう。名立たる老舗が受賞店に名を連ねる中で、この若い当店が「優秀賞」に選ばれたのは、恐らく将来性を買ってのことだろう。これからが楽しみだ。

 ところが、オーナーの藤原さんに将来の夢を伺ってみると、意外と地味な答えが返ってきた。

「店舗を増やす考えは全くありません。この二坪の店と、長崎店をしっかり守っていくことだけです」と、きっぱり。

 経営の規模を大きくすると目が行き届かなくなり、味のレベルを保つことが難しくなるという。「一度買ってくれたお客さんが、また来てくれた時が一番嬉しいです」と、自分の味がお客さんに認められた時、パン職人として最大の喜びを感じるそうだ。経営のことよりも、あくまでもパンの味にこだわりを持つ藤原さん。このひたむきな姿勢が、開店四年目にして、早くもフアンを掴んでいるゆえんかもしれない。

 「屏風は広げ過ぎると倒れる」という諺がある。商売も広げ過ぎて倒れる例が世間には一杯ある。パンの味にこだわり、それだけをしっかり守っていこうとする職人気質の藤原さん。初心を忘れず、この経営理念を是非貫いてもらいたい。「手作りパン工房 Backer fujiwara」の将来が楽しみだ。 (山口)


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