2008年7月

第2774号 2008年7月16日号


地域・おもしろマーケティング大賞
 (株)丸治 巣鴨地蔵通り


 前回と同じく、「おもしろマーケティング大賞」において「優秀賞」を受賞された、巣鴨地蔵通り商店街の「(株)丸治」(巣鴨4-21-11)を訪ねてみた。

 「㈱丸治(マルジ)」は、生活衣料の専門店。ここは「巣鴨のお地蔵さんの赤パンツ」で有名になった「マルジの赤パンツ」の店である。店頭にはパンツを筆頭に、赤を基調にした様々な商品が並べられ、同商店街でもひと際目立つ存在だ。赤帽子、赤靴下、赤猿股、赤トランクス、赤腹巻など、品数は豊富で、殆どが当店のオリジナルである。

 昭和二十六年、北海道から出て来た先代が、巣鴨の地に十坪の「㈱丸治」を創業。今は本店の一号館をはじめ、四号館まで四つの店舗が立ち並ぶ。二代目になる工藤敬司さん(五十八歳)が代表を勤め、弟の秀治さん(五十四歳・写真)が常務取締役を勤めている。

 忙しい中、秀治さんが取材に応じてくれた。見るからに「やり手」という感じの人だ。丸治は、「お客様の声を聞く!」、これを何よりも大切にしているそうだ。

 今から十五年前、「赤いパンツないの?」と、お客さんから何気ない質問があった。その声がパートの従業員から上がり、「まさか売れるとは…」と、半信半疑ながら陳列してみた。ところが、意外にも僅かではあるが売れた。折しもその頃、「赤は健康に効く…」と、某東洋医学者の発言があり、それがきっかけとなって赤パンツが急に売れ行きを増し出した。

 やがて時は申年を迎える頃、「申年に子供から赤パンツを贈られると、下の世話にならなくてすむ」という言い伝えが広まり、それが人気に火をつけた。瞬く間に全国的に赤パンツブームが巻き起こり、あっという間に丸治の看板商品にまでなってしまった。

 丸治はそれを貴重な教訓とし、以来、パートを含む全従業員に対し、お客の声を日報で上げさせることを義務付けた。それが功を奏し、数々のヒット商品が生まれた。現在、オリジナル商品は百種類を超えるまでになったという。丸治のイメージキャラクターになっている「若ガエル」も、そうした中から生まれたものだ。店頭に赤パンツを履いたカエルを置いていたら、お客さんが「赤パンツで若ガエルわねぇ!」と、呟いたことがヒントになったという。

 さてその昔、グリコの創業者が「クレームこそアイディアの宝庫」と言ったことがある。「お客の声を聞く」という姿勢は、これと共通するものがある。何気ない声を聞き逃していたら、いまごろ丸治は、ただの生活衣料店で終わっていたかもしれない。「日本に一つしかない商品を作っていきたい」、そう語る工藤秀治さんの目には、商魂逞しい輝きがあった。(山口)


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「お詫びと訂正」
 六月二十五日付の巣鴨地蔵通り商店街の「伊勢屋」の記事において、以下の間違いがありました。深くお詫びを致すと共に、次の通り訂正させていただきます。
斉藤運重さん→佐藤運重さん
塩大福の値段、百三十円→百二十円


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