長崎『五若会』30周年
長崎神社の例大祭が毎年九月、第二日曜日に行われる。今年も間もなくその日がやってくる。今週末の十二日(前夜祭・青少年囃子部)から始まり、十三日(宮出し)、そして十四日の例大祭。いま関係者はその準備に追われている。
この祭りの一番の見どころは、五若会の会員たちが担ぐ「五若神輿」であろう。
「五若神輿」は昭和九年、当時の氏子有志により豪華な総けやきの白木造りで新調され、以後毎年渡御を行ってきた。だが、太平洋戦争の勃発と同時に神輿を出すことができなくなり、中断してしまった。
しかし昭和五十年代に入った頃、「五若神輿を出そう」という声が高まり、それに押されて昭和五十一年、三つの町会(南長崎三丁目南部・四丁目・五丁目)が集まり「五若会」が結成された。翌年、二十三年振りに渡御が復活し、以来今日まで続いている。会員数は現在約四百五十数名を有し、地域をあげてこの伝統行事に取り組んでいる。
五若会は地元に関係ある人(住人・勤務者)だけが入会する資格を持つ。五若神輿渡御の特徴は、地域外の「神輿同好会」の担ぎ手を一切受け入れていないことだ。「地域の者だけで純粋に伝統守っていこう」という結成以来のこだわりがあり、それが自慢でもあるという。五若神輿への思い入れが伝わってくるようだ。
昨年、五若会は三十周年を迎えた。その節目にあたり、これまでのベテラン会長に代わって若手の小出幹雄さん(五十歳)が三代目の会長に選ばれた。
「私のような若い者には荷が重いですよ」と言いながらも、小出さんは就任二年目を迎える今年の祭りに、熱い思いを寄せる。
「先輩が築いてきた伝統を守っていくこと、そのためには会員を増やし、五若会をさらに活性化していきたい」と抱負を語ってくれた。
五郎久保稲荷神社(南長崎5-12-7)に祭られている「五若神輿(写真)」は、いま、宮出しの時を待っている。
(山口)
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