豊島の“匠”一堂に 豊島区伝統工芸展
十月三十日から三日間、「豊島区伝統工芸展」が区民センター一階総合展示場で開催された。
主催は豊島区および豊島区伝統工芸保存会(内田敏郎会長)。地域の中で育ち、連綿と受け継がれてきた伝統工芸。その匠の技に触れてもらい、伝統工芸品の素晴らしさを広く知ってもらおうと、平成五年より毎年開かれている。今回で第十六回目を数える。
今年は伝統工芸保存会会員の中の十業種十九名が出展し、会場には製作実演や展示、即売も行われ、多くの見物客で賑わった。
この展示会では毎年テーマを決めて、通常製作しているものとは異なる新しい作品を披露するコーナが設けられている。昨年のテーマは「私の逸品」、今年は「夢の続き」。テーマは毎年早い時期に決められるそうだが、一年間構想を練った匠たちの自慢の作には、なかなかの見応えがある。
また、豊島区とは姉妹都市になっている宮城県の伝統工芸を紹介する、特別展示コーナも設けられた。昨年は鳴子こけしが紹介されたが、今年は「雄勝硯」。硯工人山崎勝氏により、粘板岩の原石を削っていく過程などが製作実演された。
見物客は、普段触れられない匠の技を間近で堪能することができ、その鮮やかな手つきを熱心に見入っていた。
いま伝統工芸は、高齢化、後継者不足、需要の伸び悩みなど、様々な問題に直面している。しかし、長い歴史の中で育まれ、連綿と受け継がれてきた貴重な技術を、決して絶やしてはならない。伝統工芸の素晴らしさを広くPRし、若い世代が安心して後継者となれる環境作りが、今こそ求められている。
さて小紙では、豊島区の伝統工芸に広く関心を持ってもらい、かつ理解を深めてもらうため、「豊島区文化観光課」「豊島区伝統工芸保存会」の協力を得て、保存会の会員の工房を訪ね次回より順次紹介していく。担当する記者は山口皓三。問合せは(090-1219-1082)
»» BACK
|