2008年12月

第2792号 2008年12月03日号


安心安全の街づくり
 豊島区 高野区長招集あいさつ


 平成20年度第4回豊島区議会(吉村辰明議長)が11月28日に招集され、初日、高野区長は招集あいさつで、①安心安全の街づくり、②子どもたちがつくるいのちの森・植樹祭、③文化政策、④狭小住戸集合住宅税、⑤地域の力との協働によるまちづくり、⑥中小商工業融資の拡充について述べた。そのなかから①安心安全の街づくり、②子どもたちがつくるいのちの森・植樹祭、⑤地域の力との協働によるまちづくり――を掲載する。


安心安全の街づくり

 区ではこれまで、警察署や消防署との協力関係を強化し、地域の皆さんと力を合わせることで、治安対策に大きな実績を積み重ねてまいりました。そして今回は、昨年12月の「不当要求拒否宣言大会」に続き、生活安全条例を改正し、暴力団対策について、さらに踏み込んだ対応を進めたいと考えています。

 昨年の長崎市長のけん銃殺人事件や、佐賀県での入院患者射殺事件など、最近の暴力団員等による一般市民への凶悪犯罪には目に余るものがあります。また、先週発生した元厚生次官宅襲撃事件も、まだその背景は明らかになっていませんが、社会として決して許してはならない凶悪な暴力犯罪であります。

 こうしたことから、今年5月、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」が改正され、入札参加や許認可の強要を含め、地方公共団体の責務として暴力排除が定められたところであります。

 池袋の繁華街においても、暴力団を背景に活動する、いわゆる“フロント企業”による違法行為の摘発が後を絶ちません。

 今定例会に提案した生活安全条例の改正案は、区、区民、事業者等それぞれの責務を定めるとともに、店舗・事務所・共同住宅等の所有者に対して、暴力団等の居住・使用を制限する責務を定めることを柱としています。

 暴力団排除に関する条例の制定は都内初、そして、共同住宅等の所有者にまで努力義務の規定を広げるのは、全国でも初めての内容であります。

 また、同条例に規定する区の責務に対応する具体策として、区が行うあらゆる調達契約等からの暴力団排除に向けた要綱を制定すべく、年度内の実施に向けて準備を進めているところであります。

 さらには、区が管理する公共住宅や公共施設における、暴力団の利用制限についても、早急に検討を進め、実施に移してまいりたいと考えております。

 豊島区は、「日本一安心・安全なまち」を目指し、率先して暴力団対策を強化していく所存であり、改正後の「生活安全条例」については、平成21年1月1日からの施行を考えております。

 そしてもう一つ、1日264万人が利用する巨大ターミナルである池袋駅周辺における災害時の混乱防止対策も重要な課題であります。

 駅周辺は、建物の倒壊や大規模な火災という面からは比較的安全な地域ですが、膨大な滞留者の収容という面からは、オープンスペースが少なく困難な課題を抱える地域でもあります。

 首都直下地震が発生した場合、池袋駅では、16万5千人が滞留し、そのうち8万5千人が帰宅困難者になることが予測されており、帰宅困難者の居場所やトイレ・飲料水の確保、大きな混乱を防止するための一斉帰宅の抑制など、数多くの課題を抱えています。

 来年1月の「池袋駅周辺混乱防止対策訓練」の実施に向け、東京都と協力して、鉄道事業者、隣接する百貨店、警察・消防などによる協議会を立ち上げ、今年6月から地震発生直後の混乱防止に関する「池袋ルール」を検討してまいりました。

 そして、このルールに基づき、来年1月23日には、協議会を中心として池袋駅、隣接する百貨店、そしてサンシャインシティ周辺において、1,000人規模の訓練を実施し、事業所ごとの初動対応や、情報センターとなる連絡調整所における情報収集、計画的な時差帰宅のあり方などについて、対策の有効性や改善点について、検証を加える予定であります。

 買い物客の時差帰宅訓練を実施するのは、全国的にも初めての試みであり、安心して訪れることができる池袋駅を目指す、大きな一歩となるものと考えています。


子どもたちがつくる命の森・植樹祭

 みどりは、都市の安全、環境、景観をかたちづくるとともに、四季の移り変わりを伝え、心身への癒しをもたらすなど、私たちの命を守る存在でもあります。

 また、自らの手で木を植え、樹木と触れ合うことは、子どもたちに命の大切さを伝え、人としての成長を学ぶことにもつながります。

 先の定例会でも申し上げましたが、私は、環境都市づくりを進めていく上で、高密都市であればこそ、これまでとは一線を画すような、みどり倍増に向けたプロジェクトに挑戦しなければならないと考えております。

 その第一弾として、新緑の美しい来春において、地域、学校、子どもが一体となった、「子どもたちによる命の森・植樹祭」を開催すべく、準備を進めているところであります。

 来春5月4日が「みどりの日」でありますが、「植樹祭」は、それに先立つ4月28日を中心として、子どもが木を植え、その成長を見守ることができる小中学校において、全ての児童・生徒による植樹を行うという、かつてない規模のプロジェクトであります。

 31校の小中学校には、平均で約300人の児童・生徒が在籍しておりますので、一人ひとりが1本の植樹をすることで、全体では約1万本の規模となるわけであります。

 これまでに、日本を代表する植物生態学者である宮脇(みやわき) 昭(あきら)氏からアドバイスをいただきながら、区立小中学校の視察・調査を行い、学校関係者のご理解・ご協力をいただきながら、具体的な検討を進めてまいりました。

 学校は、防災など様々な面で、地域のシンボルであり、子どもたちの思い出の場所でもあります。その緑化に取り組むことで、子どもをはじめ、広く区民の皆さんと、みどりの大切さを共有する機会にしたいと考えています。

 また、続く5月30日、31日には、帝京平成大学のホールを会場として、1,000人規模の環境と緑化について考える「区民フォーラム」の開催を検討しているところであります。

 環境都市づくりは、私たち一人ひとりが意識をもって行動することなくして、実現することはできません。来年の「植樹祭」と「フォーラム」が、区民主体の環境ムーブメントを展開する契機となるよう、広く地域の皆さんの参画を得た実行委員会を立ち上げて取り組んでまいります。

 今定例会には、来年のプロジェクトの準備に必要な補正予算を提案させていただいております。全庁をあげて「植樹祭」の成功に向けて取り組んでまいりますので、区議会の皆様のお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。


地域の力との協働によるまちづくり

 10月下旬から11月中旬にかけ、私は、東・西・南・北・中央の区内5地域において、まちづくりの現場で活動されている方々から、直接声をお聴きするため、「地域ビジョン懇談会」を開催いたしました。

 町会をはじめ、商店街、街づくり協議会、教育・福祉、そして文化・スポーツや大学、さらには区民ひろば運営協議会など、幅広い分野から延べ150名の方々にご参加をいただき、地域やコミュニティが抱える課題、各団体の活動状況、そして、今後のまちづくりのあり方等について、貴重なご意見をうかがうことができました。

 今回の「地域ビジョン懇談会」は、広聴活動の一環としての位置づけに加え、今年6月に取りまとめた「池袋副都心グランドビジョン」に相当する総合的なまちづくりのビジョンを、区内の各地域でも創り上げていきたいとの思いから出発したものであります。

 特定のテーマを置かず、それぞれの“地域”そのものを題材としたことから、意見交換というよりも、それぞれのご活動に即したご意見を、幅広くお聴きすることが中心になりましたが、区政へのご指摘や要望にとどまらず、“地域”が抱える課題や将来を真剣に考えるご意見・提案を数多くいただくことができ、現場における行政の縦割りを廃した、まちづくりの重要性を改めて痛感したところであります。

 また、既に9地区で立ち上がっている、区民ひろば運営協議会からの参加をお願いしたことで、区民ひろばに対する感想や意見も多く出され、その活動内容や意義を伝える機会ともなりました。

 参加者からは、異なる立場からの様々な意見が聴けて参考になったとの声や、地域に関する情報共有やヨコのつながりのためにも、こうした懇談会は継続して欲しいとのご意見もいただきました。

 懇談会の開催地域の広がりや参加者数、参加方法など、まだまだ改善や工夫を必要とする点もありますが、総合的なまちづくりを話し合う新たな試みとして、「地域ビジョン」の検討と並行しながら、今後も継続していきたいと考えています。

 今、地域のコミュニティは大きな転換期を迎えています。

 町会活動の振興や加入促進、マンションと地域社会との交流拡大に取り組むとともに、新たなコミュニティを生み出す仕組みとしての「地域区民ひろば」、そして今回の「地域ビジョン懇談会」など、将来を見据え、多様な取り組みを展開することで、地域の力との協働を広げながら、個性あるまちづくりを進めたいと考えています。

 さらに、先週には、区内大学との「連携・協働に関する包括協定」と「としまコミュニティ大学」の開校から一年ということで、立教大学を会場として、6大学の学長・総長の皆さんと一堂に会し、「学びつづけるまち 豊島」をテーマとして、懇談会を開催しました。

 区立小中学校と各大学との教育連携は着実に成果をあげてきており、現場で直(じか)に子どもと接する体験を持つことで、学生の学習姿勢に大きな変化が生まれていることなど、地域と大学が連携することの意義や効果について、活発に意見交換することができました。

 6大学との協働事業である「コミュニティ大学」も順調な滑り出しを見せており、今後は、大学図書館と区立図書館との連携や、大学と地域相互のニーズを効果的にコーディネートすることで、新たな政策連携の芽を育てる仕組みづくりに、協力して取り組むことで一致したところであります。

 大学は、地域が誇るべき知的財産であり、まちづくりのパートナーでもあります。今後とも、地域と大学双方に効果が実感できる連携事業を継続的に展開し、6大学との関係をさらに厚みのあるものとしてまいります。


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