市民運動の貴重な資料 立教大、埼玉大と共同管理
埼玉大学(上井喜彦学長)の共生社会教育研究センター所蔵の60~70年代市民運動資料が立教大学(大橋英五総長)と共同管理することとなり、9日午後、両校の総長・学長らが出席して立教大学池袋キャンパスで同資料に関する覚書の調印式が行われた。
資料は日本における60~70年代の高度成長期の社会の負の側面を伝える貴重なもので、次代に引き継ぐべき第一級の資料で、住民運動・市民運動にかかわるミニコミなどの資料、「べ平連」関連資料や川崎製鉄大気汚染裁判資料などのテーマ・団体別資料、さらには宇井純氏の所蔵資料や鶴見良行氏の研究資料など含む35万点をこえる膨大なものである。
埼玉大学では、これら貴重な資料を将来にわたって安定的に保存し、一層の活用を図るため、かなり厳しい条件で共同先の大学を探していた。昨年4月から立教大学との協議を重ねてきた。
立教大学はこれまで経済学部、社会学部、法学部、コミュニティ福祉学部、21世紀社会デザイン研究科等の学部・大学院で市民・住民活動のあり方についての研究を積み重ねてきており、現在も21世紀社会デザイン研究科にはNPO研究の第一人者であり、実践的活動も精力的に行っている中村陽一教授が、また社会学部には環境社会学を専門とし、新潟水俣病に関する大きな業績を発表している関礼子教授が在籍しているなどこの資料にかかわる研究スタッフが充実しているなどが埼玉大学がパートナーとして立教大学を選んだ理由となっている。
調印式をおえて、両大学では「資料のデジタル化を急ぎ、出来るだけ早く公開できるようにしていきたい」と話している。
資料の立教大学への移送は数回に分けて行い、2012年3月をめどに完了の予定で、第一期は今年度中とし、およそ半分を移送するとしている。
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