都内で初めて 池袋本町・文成小でり災証明発行訓練
都内で初めての「り災証明発行訓練」が9月4日、池袋本町の文成小学校を会場に行われ、近隣の町内会や文成小学校PTAなどの区民のほか、区職員ら250人が参加した。
この訓練は、国立大学法人京都大学等が開発する「被災者台帳を用いた生活再建支援システム」を、自治体に実装化するための実証実験として、文部科学省と東京都とJST/RISTEXが共同で実施する研究事業の一環として行われたもの。このシステムは、京都大学、新潟大学、事業者等による研究チームが、平成19年の新潟県中越沖地震の際に柏崎市で運用し、その有効性が実証されている。
豊島区では、東京湾北部地震(M7.3想定)において7,000棟を超える全壊・焼失が想定されている。災害発生時には、速やかに住家被害調査を終え、概ね1カ月程度でり災証明の発行を始めることとされているが、大量に発生する被災住宅の調査を迅速・公平に実施し、り災証明を円滑に発行するためには、調査スタッフの確保や効率的なシステムの構築が不可欠である。試験したシステムは、簡易なチャートを活用して建築に関する専門知識がない職員でも公平公正に被害調査を実施できるように工夫され、調査票のスキャナー読み込みにより入力作業の大幅な縮減を図り、GIS(電子地図)を活用して被害調査結果と住民記録、課税台帳とのデータ照合を効率的に行うことができる。
参加者は、自宅が被災したという想定のもと、区職員や研究者から住家被害調査の説明を受けた後、区職員、消防署職員、東京都主税局の職員が受付ける窓口で「り災証明書」の発行を体験した。ほかに、区職員や主税局職員から、り災証明を受けた後に受けることができる各種生活再建に関する支援策についての説明を受けた。体験者は、「り災証明書の申請は初めてでしたが、スムーズに発行された。いい経験になった」と語った。
豊島区では、7月に「豊島区震災復興マニュアル(都市・住宅復興編)」を策定し、9月1日には、先の震災から浮き彫りになった帰宅困難者対策など喫緊の課題に迅速かつ的確に対応するために必要な防災関連指針の再構築を行う専管組織として防災計画担当課を新設し、区長を本部長とする震災対策推進本部を設置した。こうした震災対策を進めていることが評価され、今回、都内初の実証試験地として選ばれたもの。
東京都は、今年度中に被災者台帳を用いた生活再建支援システムの東京都版カスタマイズを完了させ、都内自治体への導入を働きかけることを予定している。
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