巣鴨・駒込の園芸の歴史 郷土資料館で収蔵資料展
池袋西口の豊島区立郷土資料館にて、秋の収蔵資料展「江戸園芸資料これくしょん」が来年1月8日まで開催されている。
かつて、豊島区の駒込・巣鴨周辺は、江戸時代後半から明治時代にかけて、多くの植木屋たちが活躍していた。郷土資料館では、昭和59(1984)年の開館以来、常設展のコーナーで「駒込・巣鴨の園芸」を取り上げる他、特別展や企画展を開催するなど、園芸資料の収集・展示に力を入れている。
今回の収蔵資料展では、これまで収集してきた園芸関係資料のうち、“江戸園芸”に関係する資料を中心に構成。
見どころは、貴重な原資料を多く観ることができるところ。色鮮やかな浮世絵や江戸切絵図、繊細なタッチで描かれた園芸図譜など、いずれも江戸時代に刊行された貴重なものを展示。「駒込・巣鴨の植木屋たち」「伊藤伊兵衛と江戸園芸」「江戸園芸花ざかり」の3つのコーナーに分けられている。
中でも、豊島区登録有形文化財にもなっている近藤清春画「武江染井翻紅軒霧島之図」(ぶこうそめいほんこうけんきりしまのず)は、保存状態の関係上、現物を見学することが難しい作品。享保期(1716~35)末年に駒込で活躍した伊兵衛家の植木屋経営の様子が描かれている。資料の横には、作品の一部分をクローズアップしたパネルが解説とともに数点展示され、初めて資料を観る人にも分かりやすいように配慮されている。この他にも、浮世絵や江戸切絵図などが展示され、江戸時代における植木屋の活躍の様子を思い描くことができる。
収蔵資料展を企画した学芸員の秋山さんは、「今回の収蔵資料展では、初めて江戸園芸に触れる方にも分かりやすいように展示を工夫した。現物の資料の訴える力を観て感じてもらいたい。」と話してくれた。
なお、11月19日には、今回の収蔵資料展の展示解説が行われる。第1回目が午前11時から、第2回目が午後2時からとなっており、30分程度を予定。より一層江戸園芸への理解を深めることができる機会となっている。(事前申し込み不要)
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