都市計画7路線整備 岡本東商不動産分科会長に聞く
これまで数10年にわたって手が付けられなかった豊島区の池袋本町や長崎、巣鴨の都市計画道路7路線が東京都の木密地域不燃化プロジェクトによって今後10年間で整備が完了するという発表にその計画地の住民はもとより産業界も今後のすすみ方に注目している。今回は東京商工会議所不動産分科会長で、不動産鑑定士でもある(株)八洲不動産サービス代表取締役の岡本重史氏にお話を伺った。
――今回の都の決定についての感想を。
「正直びっくりしました。それだけ豊島区というのは、木造密集地が多いて、安全に暮らせない街であるということですね。それが今後10年かかるにしても、一気に様変わりする可能性が出たということでは非常にありがたいしこれを何とかきっちりものにするためには行政、民間あげて豊島区全体で本気でこれに取り組んでいかなければいけないと思います。そのなかで、鈴木会長(鈴木正美東京商工会議所豊島支部会長)が言うように地元企業に仕事が回ってくればこれ以上のことはない」。
――整備にあたって不動産鑑定士、また不動産業として望むことは。
「仕事柄いろいろの地域を見て回ることが多いですが、たとえば文京区ではすべての坂に銘板があり名前と由来が記してある。江東区に行くと橋にはすべて看板があり誰でもその名を知ることができる。荻窪ではクリスマス時期になると各住宅にリースが飾られる。また吉祥寺の街にはいたるところに花が見られる。そういうふうに街全体が一体性というか、調和というか、街づくりのコンセプトがしっかりしている。豊島区もこの都市計画道路整備にあわせた沿道の整備は地元の人たちと話し合ったうえで、ぜひコンセプトを持った街づくりをお願いしたい。この道路整備が将来の豊島区の街づくりのきっかけになってほしいですね。私は仕事柄あちこちの街を見ますが、豊島区の気質として自分が一所懸命やっているからこれでいいんだというのが多いようですね。もっと効率よく、もっとアイデアを出して、もっと新しいことをやっている市区町がたくさんあるんですよ。他を見ながら自分を正すというか、高める姿勢がもっと必要なんじゃないかと思いますね」。
――行政が整備をすすめていくうえで特に気を付けてほしいことは。
「アイデアって若い人、柔らかい発想から出てくると思いますから、そういう意見を取り入れやすい組織を作って街づくりをすすめていただきたい。行政の誘導したようなすすみ方ではないようにしてほしいですね。そうでないと新しい発想の街づくりにはならないと思いますね。いま求められているのは将来を見越した新しい街づくり、ぜひそういった姿勢で新豊島に街づくりをすすめていただきたい。いろいろな意見をもった若い人たちの意見をどんどんださせて、そのうえで街づくり計画を決めてほしい」。
――区民の協力が不可欠では。
「豊島区の体制として人員が全然足りないのが心配、区民の協力が不可欠になるでしょうね。それで豊島区あげてと言っているわけです。とくに池袋本町は新しい道路が十字に走り、延焼遮断帯機能によりコミュニティが分断される形になりますが、皆で知恵を出し合ってこれを機に地域のつながりが深まるような街づくりをすすめる必要があると思います。そのためにも地域住民あげての計画の推進が不可欠です。そのときどこが主体となって街づくりを進めていくのか。行政と町会、関係住民それだけでは済まないでしょう。今の段階ではわかりませんね」。
――東商豊島支部はどうかかわってゆくように。
「東商がそのお手伝いする組織としては適役だと思いますね。会員は区内の様々な職種を網羅していますし、私はたまたま不動産分科会に属していますが、これには宅建と全日という不動産組織の方も入っていますから、かなりの働きが期待できると思いますよ。また建設分科会には都市計画から建築、耐震診断など、情報分科会では防災や消防についての知識や情報の専門集団がそろっています。この三つが主体となって商業、工業、交通運輸などの分科会の会員が協力すれば強力ですよ。豊島区のあらゆる業種の人たちがそろっているわけですから、骨組みの計画は区がつくるにしても、我われの力は豊島区の将来のためにかなり役に立つはずですよ。いずれにしろ今回の都市計画道路7路線整備は豊島区の将来の街づくりを大きく左右する大事業でありますので、我われ東商豊島支部は鈴木会長を先頭に『全員行動・全員協力』のスローガンのもと全力を挙げて協力してゆきます」。
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