2013年2月

第2978号 2013年2月20日号


「区民の安全安心が基本」
 第1回区議会 高野区長招集あいさつ


 豊島区の来年度予算などが審議される平成25年度第1回豊島区議会が開会、初日15日に招集あいさつに立った高野之夫豊島区長は、平成25年度施政方針について、平成25年度予算案について、平成25年度の事業展開について――述べ、事業展開を8つに分けてわかりやすく要旨次のように語った。

■防災、震災対策

 昨年3月「総合的な震災対策の推進に向けた基本方針」を策定しました。

 当面3か年の重点施策について定めるもので、震災対策の強化に向けた具体的な取り組みを10の柱に区分し、全体として40の取り組み項目を位置づけたこの基本方針を着実に実施してまいります。

 昨年11月、池袋とその周辺地区において、発災から安全確保後の帰宅支援まで

 一連の帰宅困難者対策訓練を行いました。併せてこの訓練では、全国63の自治体の中から本区の提案が総務省消防庁で採用された、多様な手段を活用した滞留者への情報提供を行う実証実験訓練も実施しました。

 大都市であるがゆえに防災無線だけでは災害情報を有効に提供しきれない、という問題点のカバーなど、今後、想定できる全ての伝達手段を活用した多様化の有効性についての検証を踏まえ、震災時の司令塔となる新庁舎の竣工に向けて、災害情報の収集、整理・分析を迅速かつ正確に行い、適時適切に情報を伝達する機能を備えた総合的な災害情報システムを着実に整備してまいります。

 また、防災対策の基本的な事項を定めた「防災対策基本条例」と、復興施策の根拠となる「震災復興の推進に関する条例」を有効に活用できるよう、総合的な災害対策への取り組みを一層強化していきます。

 また、共同住宅管理の側面から震災に強いまちづくりをより一層推進するために、特定緊急輸送道路の沿道建築物について、昨年から耐震関係費用の助成を行っていますが、耐震改修費用の助成額を拡充します。

 自助共助力の育成では、地域防災組織の育成強化を図るほか、災害弱者と呼ばれる高齢者や障害者が、安全に避難でき、安否の確認ができるよう要援護者名簿の整備を進め、地域防災組織等に情報を提供していきます

。  適切な初動対応では、多数の負傷者が発生した場合に対応する医療救護態勢を確立するため、資器材などの整備を充実させるとともに、帰宅困難者対策協議会の充実強化、一時滞在施設の整備を行います。

■子育て

 保育需要については、現在、急増期を過ぎたものの、依然として増加傾向が続いており、待機児童の解消は、優先的に取り組むべき喫緊の課題であります。

区立や私立保育所の改築・改修などの施設整備事業を着実に進めるとともに、その他の施策を積極的かつ機動的に展開するなど、保育計画を着実に遂行し、待機児童の解消に努めてまいります。

 まず、巣鴨第一保育園の分園の新設、駒込第一保育園の新築、池袋第五保育園の改修に加え、池袋本町臨時保育事業や、改築事業補助を行った私立の認可保育所であるみのり保育園としいの実保育園の定員増や歳児構成の見直しを行います。

また、山手線沿線で初めてとなる駅直結型の認可保育所である大塚駅南口ビル内「りとる・ぱんぷきんず」の新規開設に対して運営費等の補助を行うとともに、
 「すくすくルーム」の増員を図ってまいります。

 これらの措置により、平成25年度当初には30人の受入枠を拡大します。

 さらに、今回の予算措置によりまして、25年度中にさらに94人、26年度中に30人の定員増を図ることができるものであります。

 また、人口の転出入による流動性が高く、また、核家族化の割合が高いという本区の特性から、親の孤立感や負担感が大きくなっていることが、子どもの虐待や健全な発達に影響することが懸念されています。こうした課題を踏まえながら、「新子どもプラン」及び「子ども・子育て支援事業計画」の策定に着手します。

 子どもの居場所づくりに関しては、区立池袋小学校校舎内に「子どもスキップ池袋」を、区立豊成小学校校舎内に「子どもスキップ豊成」を開設します。残る区立千早小学校についても平成26年度以降早期に実施します。これにより、すべての小学校でスキップが完成します。

 すべての子どもが健康でいきいきと育ち、また、親は、安心して子どもを産み育て、子育ての喜びを共有できるように、地域や民間団体等との連携や協働を図りながら、これらの施策を推進してまいります。

■健康

 予防接種、健診事業、成人保健、母子保健、在宅医療、がん対策事業を推進するとともに、環境衛生や食品衛生の向上に努めてまいります。

 がんは、区民の死亡原因の約30%、第一位ではありますが、早期に発見し、適切な治療を行えば生存率を大きく上昇させることができます。検診未受診者への受診勧奨の強化や検診申し込みの簡素化を図ることで、受診率の向上を図るとともに、基礎自治体では全国初の取り組みとなる先進医療費利子補給事業を創設することで、治療効果が高いものの保険診療の対象外である先進医療技術による治療を安心して受けられる環境を整備いたします。

歯と口腔の健康づくりは生活習慣病、認知症の予防に繋がるなど、全生涯を通じて健康を維持するためには、欠かせることができないことから、昨年、歯と口腔の健康づくり推進条例を制定したところですが、計画的・総合的な施策展開が図れるよう「豊島区歯と口腔の健康づくり推進計画」の策定に着手いたします。また、節目に実施している無料の歯周疾患検診の対象年齢に65歳を追加し、60歳以上については5歳ごとに受診いただけるようにするとともに、検診実施期間を拡大することで、受診率の向上を図ります。

 区民のみなさんの安全・安心を健康面で向上させるために、予防接種やがん対策、在宅医療の推進を健康施策の柱として積極的に取り組んでまいります。

■教育

 平成22年3月に策定した「教育ビジョン2010」の最重要課題である学力向上は、「豊島区未来戦略推進プラン」にも位置づけ、国や東京都及び区独自の学力テストの結果、小中学校共に3年連続の高水準を維持する成果を上げてまいりました。

 教育委員会は学力向上と授業改善の施策を一層充実させようと、去る1月19日、齋藤滋宣(さいとう しげのぶ)能代市長と須藤幸紀(すとう ゆきのり)教育長を招聘して、学力向上シンポジウムを豊島公会堂で開催しました。席上、両教育委員会が「教育連携協定書」を取り交わし、私と齋籐市長が自治体の後見人として調印に立ち会いました。自治体間の教育連携協定は全国的にも注目を集め、マスコミでも大きく紹介されました。全国学力テスト4年連続第1位を占める秋田県能代市とは、昨年11月に10名の教員を派遣して、能代市内の小・中学校の訪問やシンポジウムの参加などの交流を行ってまいりました。当日は、能代市への視察団から報告があり、教員の指導力や授業レベルの高さに学んだことや家庭教育の重要性などについて報告され、600名を超える教育関係者や保護者に大きな感動を与えました。

 包括協定の締結によって、教職員の相互交流・訪問が実現し、学力向上のため相互の良さに学ぶ機会を得て、授業や教育活動の改善・充実が図られることにより、着実な学力向上が期待されるところです。

 次に、ICTなど教育の情報化に関する環境整備につきましては、千川中学校で実施した「21世紀型スキル」の育成プロジェクトでの教訓から、校内有線ランからどの教室でも使える校内無線ラン化を推進するとともに、学習用パソコンのリース替え時期に合わせて順次タブレット型パソコンの導入を行ってまいります。さらに、重点となる学校図書館司書の配置につきましては、蔵書の整理が進み、図書の貸し出しも増えるなどの成果が確認されたことから、全小中学校31校に配置します。これにより、児童・生徒の読書力や調査力が高まり、学力が向上するものと期待しています。

 また、目白小学校の改築工事につきましては、旧校舎の解体が終わり本格的な躯体の建設工事が進んでいます。池袋第三小学校及び池袋本町地区校舎併設型小中連携校につきましては基本設計がほぼ終わり、今後、実施設計に移行してまいります。21世紀の知識基盤社会、国際化・情報化社会の荒波の中をたくましく生き抜く子どもたちにふさわしい学習環境の整備を支援してまいります。

 また、いじめ対策や児童・生徒の安定した人間関係を構築するために、区内小学校5・6年生と全中学生を対象に、「ハイパーQ-U」という心理検査を実施できるよう準備をしているところです。学校での人間関係や学級満足度を分析把握することで、早い段階からいじめを予知・発見し、解決に導いていけるよう支援してまいります。

 今後とも、「豊島区の学校で教育を受けたい、子どもを育てたい。」と思える魅力のある「教育都市としま」の実現に向けて、教育委員会と連携を密にしてまいります。

  ■福祉

 福祉については、「個人の尊厳が守られ、すべての人が地域でともに支え合い、心豊かに暮らせるまち」の実現を基本理念に、高齢化の進展などに対応した福祉基盤を整備するとともに、セーフコミュニティの観点から高齢者や障害者の安全・安心の確保に区民のみなさんとの協働により全力で取り組んでまいります。

 コミュニティ・ソーシャル・ワーク事業は、豊島区社会福祉協議会と連携し、地域で活動されている民生・児童委員や町会のみなさんとともに、支援を必要とする人々を、地域の絆で支え合うための事業として、これまで3圏域で展開してきましたが、来年度は、4圏域に拡大し、区民のみなさんにとって、身近な存在であり、セーフコミュニティのキーステーションでもある、区民ひろばを拠点として展開してまいります。

 今後は、この事業を本格的に展開し、27年度までには区内8圏域に拡大し「区民だれもが必要とする、多様できめ細かい福祉サービスを受けられ、地域の中で孤立することなくつながりをもって生活できる」ようにするための地域保健福祉システムの構築を目指してまいります。

 あわせて、一人暮らしの高齢者が4割を占める豊島区では、熱中症を予防するためにも孤立化を防ぐ必要があります。見守り訪問事業により戸別訪問を行うとともに、より精度の高い情報を調査・共有することで高齢者アウトリーチ事業の充実を図ります。

 また、住み慣れた地域で暮らし続けるためにも、増え続ける特養入所待機者への対応が必要です。旧中央図書館跡地では、特別養護老人ホームを、千川小学校跡地では特養、都市型軽費老人ホームに加え保育所等を整備し、平成27年春頃の開設を目指してまいります。

一方、生活保護受給世帯の増加の伸びは鈍くなってきているものの、引き続き適切に対応する必要があることから、地域の実情に合わせた適切な対応を行うためにも、地域に密着した展開を行っていきます。さらに、ケースワーカーをはじめ環境整備についても拡充させていきたいと思います。また、自立支援についても、引き続き充実を図ります。

■新庁舎等の整備

 新庁舎は、質の高いサービスを提供する拠点として、また、区民生活の安全を守る防災の拠点として機能するとともに、文化創造都市、環境都市、福祉増進都市、生涯健康都市、教育都市のシンボルとして将来の都市づくりの先導役を果たします。

 新庁舎が入る再開発建物の建設工事は、昨年の2月に着工し、9月には杭工事も終了し、現在は、高層直下部分の2階部分の柱や床などの躯体の工事を行っています。いよいよ、地上部分に工事工程が進んだことで、一部とはいえ建物の姿を目にすることができるようになり、着実に工事が進んでいることを実感しています。

 6月までには高層直下10階までの躯体工事が進み、本年末には、ほぼ30階までの骨組みが姿を現します。

 一方で、総合窓口や案内システムの構築、「環境都市・文化創造都市のシンボル」にふさわしい「豊島の森」や「区民交流スペース」の活用計画をはじめ、災害情報システムの構築などを全庁的に進めます。また、27年の移転に向け、新庁舎室内実施レイアウトをはじめ、OA設備工事などの設計、什器転用などの引越し計画の作成など、庁舎整備と移転プロジェクト全般の調整を図りながらプランの具体化に取り組んでまいります。

 また、(仮称)西部地域複合施設については、地域のみなさんともきめ細かに調整しつつ、解体工事に取り掛かっていますが、いよいよ6月から着工いたします。

 敷地北側の緑が豊かな粟島神社側と南側の千早公園を自由に通り抜けられる建物内のフォーラムでつなぐことで、地域の交流や活動を活発にするとともに、地域防災の拠点としての機能も充実させるなどの行政機能の他に、ミュージアム、図書館、地域文化創造館など、新たな地域文化の創造発信の拠点としても、地域のシンボルとなるような親しみの持てる施設に整備してまいります。

■文化・産業振興

 「文化政策」の分野では、地域の総合力を結集し、あらゆる政策にわたり文化活動を進め、文化の力で街のイメージを大きく変えるような取り組みを展開することで、オンリーワンの文化都市を実現してまいります。

 豊島区にはトキワ荘以外にも横山光輝さんの仕事場があり、トキワ荘から転居した手塚治虫さんが暮らし、鉄腕アトムが生まれた並木ハウスなども現存しています。このように豊島区は、昭和初期から現在に至るまで、多くの著名な漫画家が一時代を過ごし、現在も読み継がれている様々な作品が生み出された地でありまして、区の歴史はマンガの歴史も背負って今日まで来たと申し上げても過言ではないと考えています。

 昨年11月、池袋保健所の隣に「アニメイト池袋本店」がオープンしましたが、豊島区には、トキワ荘から始まり、最先端のアニメにまで脈々とつながるマンガ文化の伝統が息づいています。トキワ荘は、時として郷愁の中の風景として取り上げられることも少なくありませんが、豊島区のマンガの歴史を新しいアニメという文化と融合させながら、若い方たちに浸透させることで、多くの世代に愛される文化として根付かせたいと考えています。

 (次号へ続く)


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