千原昭彦色彩ペン画展 区民センター交流サロン
東池袋の豊島区民センター2階「としまふれあい交流サロン」にて、「絵画で旅する日本の町並み~千原昭彦色彩ペン画展~」が開催されている。6月30日まで。
千原昭彦さんは、巣鴨生まれの76歳。建築設計の仕事をしていた52歳のときに感音性難聴になったことがきっかけで絵を描き始めた。日本の町の中で長い年月、人々の生活に寄り添ってきた建物の存在感に魅力を感じ、江戸の五街道の宿場町はじめ全国の古い町並みをめぐり、建物から滲みでてくる光と影、町の歴史を描き続けている。同じ町を複数回訪れることもあり、これまで描いた町並みは大小合わせておよそ500点にのぼる。2004年には「ちはら 町並み美術館」を開館し全都道府県の町並みを展示、訪れた方に絵とともにその町の自然や歴史を伝えている。
千原さんの絵は、0.1ミリのドローイングペンと水彩絵の具を使った彩色ペン画。以前はその場で絵を制作していたが、長時間屋外にいるのは体力を使うということもあり、最近はその場では簡単にスケッチし、撮影した写真をもとに細かい部分を描き加え1か月程度かけて仕上げている。鬼瓦や遠くにあるものは望遠レンズで撮影し、コケや泥が跳ねた跡まで忠実に再現している。建物や道に当たる光と影のコントラストが美しくなるように仕上げているという。
区民センターでの展示は平成25年、26年に続き3回目。今回展示しているのは、「富山県五箇山菅沼集落」「京都市嵯峨鳥居本」など29点。「京都府伊根の舟屋」には、海に面して舟を格納する場所が作られた家々が描かれており、道路ができる前は生活に舟が密接に関わっていたことがわかる。また、造り酒屋を描いた作品も6点展示している。千原さんによると、どこの町でも一番存在感のある歴史的な建物は造り酒屋なので、どこに古い町並みがあるかわからないような大きな町を訪れた際は、造り酒屋を探すと古い町並みに出会えるという。NHK連続テレビ小説「マッサン」の生家である広島県竹原市本町の竹鶴酒造や、同じく「まれ」の舞台である石川県輪島市朝市の町並みもあり、ドラマに思いをはせながら鑑賞することもできそうだ。
千原さんは「その地域の木や土を使った建物は生きており、住んでいる人と共生していきます。古くなればなるほど深みや趣を増す骨董品のような美しさを感じ取っていただければありがたいです。絵からその町に興味を持ち、実際に訪れてもらうことが町並みの保存にもつながります」と話した。
【ちはら町並み美術館(巣鴨4-14-10、電話:5394-4170)】館長の千原昭彦さんが全国を歩き描いた全都道府県の町並みの作品が展示されている。開館時間:午前10時~午後5時、休館日:月・火曜日、入館料:500円
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