池袋のヤミ市を検証 芸術劇場など10会場でスタート
池袋の戦後の新たなる出発の起点となったヤミ市を検証する企画展やイベントが9月14日から池袋西口の東京芸術劇場など10会場で始まった。主催は「池袋=自由文化都市プロジェクト」実行委員会(豊島区・東京芸術劇場・立教大学)。
昭和20年4月13日、城北大空襲は池袋を焼き尽くした。戦後、焼け野原となった池袋には「ヤミ市」と呼ばれるマーケットがつくられ、復興や人々の生活再建を支えてきた。かつて池袋は、立教大学、自由学園など自由教育の地盤があり「自由文化都市」の先進性を伝統としてきた。人はヤミ市を自由市場と呼んだ。ヤミ市の根底に深くに流れていたのは、この自由への思いである。池袋西口には昭和30年代までヤミ市が存続した。この企画は、戦後70年の節目の年にヤミ市という歴史のターニングポイントと戦後日本が歩んできた道と自由文化都市・池袋の未来を考えるものである。
14日13時から、東京芸術劇場でオープニングセレモニーが行われ、高野之夫豊島区長は「ヤミ市がなければ現在の池袋の発展はなかった。戦後70年の節目にヤミ市に改めて光をあてたすばらしい企画」とあいさつを述べた。
14日から22日まで、同劇場5階ギャラリー1の「戦後池袋-ヤミ市から自由文化都市へ-」では、ヤミ市のスケッチ、ラジオ音源、カストリ雑誌などで当時の世相・文化を紹介するとともに、戦後池袋の記憶と未来を語るギャラリートークが毎日行われる。同ギャラリー2の「戦後池袋の住人・江戸川乱歩が視た世界」では昭和9年から終生、池袋に住み続けた乱歩が撮影した映像フィルムの上映や乱歩邸にある普段立ち入ることができない土蔵内の書棚の大型パネルなどを展示している。同期間中には、立教学院展示館(立教大学内 メーザーライブラリー記念館2階)で立教学院の戦中・戦後の姿を近隣の様子と合せて紹介する「戦中・戦後の立教学院―西池袋の変化とともに―」、旧江戸川乱歩邸(立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター)では、おもに戦後に発表された作品の特別展「旧江戸川乱歩邸特別公開」も開催している。
18日から20日には池袋西口公園で「ヤミ市風 自由市場」としてホッピー祭りが開催される。地元飲食店も協力し飲食テントを出店するほか、ヤミ市が鉄道各社による物資運搬等に支えられたことから、区の友好都市も物産を持ち寄って出店する。会場では昭和懐メロステージ、歌謡のど自慢なども行われる。
この他にも区立郷土資料館や自由学園明日館などで展示、関連イベントを開催しているので、池袋を歩きながら、戦後の大衆エネルギーに触れる多彩な企画を楽しんでみてはいかがか。詳細は実行委員会HPやパンフレット、広報としま特集版8月号などでお確かめください。。
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