2016年1月

第3104号 2016年1月01日号


新春座談会


豊島区が大きく変わる大チャンス
明確な目標もって挑戦 国際アートカルチャー都市へ

 足立 恒例の新春座談会ということで、豊島区の未来について語っていただきたいと思います。まずは子育てについてから。

 高橋 子どもたちに何を残したいかということでしょうが、豊島区は雑司が谷がユネスコの未来文化遺産に認定されたこともあり、地域の伝統文化を子どもたちが誇りとして継承していってほしいと思います。私たち大人も子どもたちが誇りと思える豊島区にしていかなければならないと思っております。私もこの豊島区で生まれ育ちましたが、街が大きく変わっております。そんな中で地域のつながり、絆など変わらないものを子どもたちに残していきたいと思います。また安全安心創造都市ということで赤ちゃんから高齢者まで皆様が安心して暮らしていける街をしっかりと守って子どもたちに残していけるように取り組んでいきたいですね。

 渡辺 私は雑司が谷が未来遺産に認定されたということであらためて重みを感じています。私自身は学校を卒業してもう40年以上この地域にかかわり、地域の方々がこの雑司が谷らしさを残したいという強い思いで街づくりに取り組んでおられる。現在では旧高田小学校の跡地問題など、街づくりの雑司が谷らしさをというのが合言葉のようになっています。歴史的に見ても14世紀の古くから雑司が谷の発展にかかわり、お住まいの子孫の方々もしっかりと街づくりに参加しておりますし、また地域の魅力に気づいた若い人たちが雑司が谷をこの状況で残してゆきたいと話をよくされております。そういった点では、区政のなかでも雑司が谷を100年、200年のちの子どもたちに残していきたいと思います。また今年の新たな課題としては、あらたな道路の整備など街づくりにきちんとかかわっていきたい。同時に区政のなかで大事なのは若い人、女性、子育て世代が安心して住めるそういう区政をやっていくことが大切ではないかと思っております。昨年の暮れにある地方都市が子育て世代を集めていこうと、住宅、教育費無料など公共事業のお金を減らしてでもそういう状況を作ってきて、その結果、編入する人が非常に増えてきたということです。やはりこの豊島区でも、子育て世代が安心して子供を産み育てていける状況をいかに作っていくか、それが区政の大きな課題だと考えております。今年一年全力を挙げて取り組んでゆきたい。

 永野 子供がテーマですが、わたし今まさに子育て真っ最中、豊島区はとても力を入れてやってきたと思いますが、まだまだやっていかないといけない。子育ては未来への投資、総力をあげて、あらゆる世代の方々が地域で子育てする、そういう豊島区であってほしい。また雑司が谷の未来遺産については、日本ユネスコの未来遺産で、これだけ盛り上がっている地域はないですね。地域、行政が一体となって、喜び、盛り上げようとしている。これを子どもたちにつながるようにしっかりと注目して協力してゆきたい。100年後の子どもたちに残したい自然や文化を守ってゆきたい。地域の自然を残すというのは新庁舎の豊島の森にその心が反映されています。子どもたちの未来に残すべきものをしっかり守るということの象徴であるような庁舎になってくれたらいいと思います。


 足立 子育ても地域のなかに重要なものがあり、その地域を活かしてゆくことが大切だということですね。

 永野 新しいものも大切ですが、守っていくべきものをしっかり守ることも同時に大切だなということをあらためて感じました。

 本橋 学校や地域、家庭などさまざまな形で将来を担う子どもたちを健やかに、しっかりと育ててゆかなければならない。豊島区はそういった意気込みに満ち満ちていると思いますね。そういったなかで昨年は大阪のほうで男女中学生の無残な事件が伝えられました。現場では子どもたちを取り巻く環境はとても厳しいものがある。私たち大人が常に子供たちが安全安心でいられるような制度装置を作ってチェックしていかなければならない。豊島区議会としても学校や家庭はもちろん警察も含めて、国ぐるみで子どもたちが悲惨な事件に巻き込まれないような対策を講じてきたつもりで、具体的には意見書という形で可決させていただきました。やるべきことをやっていくということが極めて大切であると思っております。ただ他方で子どもたちにちやほやするのもいかがなものかと、わたしも父親ですから思うときがあります。町の子供たちを見ていておやっとするのが、いわゆる歩きスマホ。昨年も歩きスマホの学生さんが駅ホームに転落するという事故が起きましたが、まだ歩きスマホに規制がなかった時で、豊島区池袋はJR、私鉄、地下鉄など一日の乗降客270万人という大ターミナル、ほかの新宿、渋谷と連携して、歩くスマホにびしっと指導することも必要ではないかと思っております。またスポーツ振興、南長崎に素晴らしいスポーツ公園が出来ました。ラグビーワールドカップもそうですが、スポーツは子どもたちに感動をあたえます。豊島区の子どもたちに何かに熱中してほしい。スポーツの振興で健全な体を持った子どもたちがたくさん育ってほしい。池袋を中心とした街は15年ぐらい前に比べればベビーカーのお母さんにとっても非常に過ごしやすくなっております。地下から上がるエレベーター、エスカレーター設置などとても進んでおります。子育て真っ最中のお母さんにもとても移動しやすい街になりましたね。この流れを豊島区議会としても各会派協力して進めてゆきたいと思います。

 足立 小さいうちに体を鍛えることはとても大事。元気に長生きするには子どものころの生活が大切。体育の豊島、スポーツの豊島っていうのもいいですね。

 村上 いま各会派の幹事長のお話をうかがって、子どもたちにどんな街を残したいか。豊島区はセーフコミュニティ、またセーフスクールの認証を得て、その地域地域でしっかりと街づくりが進んでいると思います。また危険ドラッグなどに染まらないような環境づくり、客引き行為の禁止など、繁華街でもあっても子どもたちにとって楽しい街、親子が進んで遊びに来られる池袋がいいんじゃないかと私は思っています。それによってお子さんからお年寄り、とくに女性が怖がらない街、安心して繁華街でお食事のできる環境が大切であると思っております。基本は本橋幹事長がおっしゃった通り教育にあると。子どもたちにきっちり注意のできる大人でありたいですね。とくに大人がしっかりしないと。

 足立 各幹事長のお話をうけて、区長の考えをお聞かせください。

 高野 昨年はこの豊島区にとって本当に激動の年でありました。区議、区長の統一地方選挙、さらには東京23区で唯一の消滅可能性都市など。だけど人口は着実に増えておりまして、昨年は28万人を超えるなど、何か相反するような。若者にも人気のある街としての位置づけも。さらに都市再生緊急指定地域、2020年にむけて国際力を高める経済特区をめざすなど、そういう中で新庁舎が完成。新庁舎の10階に豊島の森を造りました。これまでの豊島区の自然を生かして、山も川も、空き地もないという高密都市の中で、子どもたちがどういう豊島区を望んでいるかということをこの豊島の森で、子どもたちが見学に来て、川があって緑があってのなかで、我われが過去と未来をつないでいること、将来を見据えて、どういう豊島区を作っていこうとしているのかということを明確に伝えていきたいという思いです。

 足立 そうですね、豊島区は山も川もなく、緑も少ない。近隣の自治体の緑にふれられるという状況をつくることも必要ですね。子どもたちの体を鍛えるためにも緑にふれる機会を増やしてほしい。学校教育のなかに取り入れるのもいいですね。つぎに女性に優しい街づくりについて。

 本橋 どういったものが女性に優しいのかは永遠のテーマでしょうけど、高野区長が話されたなかで、豊島区は消滅可能性都市としてある意味烙印を押されたわけで、ただ高野区長のコンセプトは、ピンチをチャンスに変えるということで、F1会議を立ち上げ、女性の意見を取り入れて様々な施策をうったことは、議会の側から見ても、すごいなという感想です。ここで吸い上げた意見は、かなりの予算をつけて実現に向かっています。女性に優しい街づくりはとても大切と思っています。昨年の経験ですが、ベビーカーを押しているお母さん方がバスに乗ってまして、皆の邪魔になるような場所に赤ちゃんを乗せたままおいていたものですから、車内の雰囲気が異様に悪いんです。なぜなのかベテランのお母さんに聞いたらこのようなところでは赤ちゃんをおんぶするか抱っこするのが当たり前だと。子育ての女性に対する優しさとは、ほんとに深遠なテーマですね。このあとの女性幹事長のご意見をしっかりと聞かせていただきたい。

 高橋 豊島区が消滅可能性都市に名前があがったということで、区民の皆さまからも心配されましたが、豊島区はそれを契機として色々な施策を打ち、それが高い評価をうけるにいたりました。私は若い女性からの、私たちは税金は払っているけど、豊島区から受けるサービスは少ないという声をうけていろいろな施策を提案してきました。女性には出産などさまざまなライフステージがあります。それぞれのライフステージにあわせて、どれだけ切れ目ない支援、多様な施策があるのか。豊島区に住んで子育てがしたい、また仕事がしたい、そう思っていただける街をどうやって作っていくのか。そこにこれから力を入れていかなければならないと思っております。待機児童対策をはじめとする子育て支援、教育、またファミリー世帯が住み続けられるような家賃助成の拡充などいろいろありますが、私どもも女性の意見をしっかり聞きながら女性に優しい、選ばれる豊島区づくりにしっかりと取り組んでいきたいと思います。

 渡辺 私自身の経験からも、家賃が高くて済み続けられない、多くの人が沿線に引っ越さざるをえない、それが40数年間続いてきているのではないかと。若者、区民、そして子育て世代の女性が安心して生活していける区政をどう作っていくかが大きな課題だと思っております。この間、保育園の増設問題などいくらかの改善は見られております。子育てしながら働けるというにはまだまだ不十分なところがあります。とくに豊島区は地価が上がっていて家賃が高く、子育て世代にとっては大きなネックになっている。ファミリー世代に対する家賃助成は待ったなしの状況です。それに学校の統廃合、地域の人の交流、コミュニケーションにも大きな影響を与えています。学校の在り方、そこに住んで子育てしていく地域をどう作り上げていくかということに引き続いて取り組んでいきたいと思います。

 足立 商業もそうですが、家賃の高さは大問題。個人のうちでも4階ぐらいまで建てられるようになるようになれば、長らく言い続けていますがなかなか実現しない。これからは容積率の緩和が必要ですよ。

 永野 私も7年前に母親になり、大変な思いをいっぱいしました。その頃、調べたのですが区施設に授乳など専用のスペースはありませんでした。そこで本庁舎のなかには作ってもらいました。新庁舎は充実して良かったと思います。区民ひろばにも母乳、ミルクの2種類の授乳室があります。まだまだ改善するところはあります。とくにトイレなど。子育て世代の声はなかなか表に出てこないんですね。まずどこに言っていいかわからない。そういう意味では、豊島区が女性に優しい街づくりとしてこれまで表に出てこなかった意見をしっかり拾っていくというのはとてもいいこと。子育てってって過ぎると忘れるんですよね。

 村上 我われが育ってきたころと今ではまったく違います。だいぶ女性に優しい環境が出来ているかと思ったら、先進国では最低という声もあります。空き店舗対策なども女性を大いに活用して、商人の目ではなく女性の目で、女性の活躍で地域づくりを進めていくのもいいのかなと。女性の目線にたった若い女性や子どもたちが集まれるスペースもいいですね。そういう場所をつくることによって空き店舗対策、地域活性化にもつながる。地域で子どもを育てるような街づくりが必要になってくると思います。

 高野 消滅可能性都市の発表をうけて、すぐに全庁あげて、持続発展可能都市を掲げて大きな展開をしたと思っております。対策の一番は、女性に優しい街をつくること、高齢者対策、地方との共生、そしてこの豊島区が日本の推進力になるーーということ。そのなかでもとくに女性に優しい街、女性が輝く街をめざしていろいろな施策を積極的に進めてきたわけであります。皆様にも大きな関心を持たれ、大きな転換が出来たものと思います。この豊島区、とくに池袋を中心に女性に人気のある街になってきていると思います。それをこれからもすすめていきますが、うれしいことに、なんと新入職員の三分の一が女性なんです。全員がこの豊島区が第一志望。動機を聞いてみると、女性に優しい街づくりをしている豊島区で、職員としてその改革にかかわりたいと。言葉だけではなくそれを行動に移していることが大きな評価につながったようです。旧庁舎あとの新公会堂、となりの区民センターなど街全体で、トイレの問題など女性が不安にならないよう街づくりが必要じゃないかなと思っております。そういう思いで街づくりに取り組んでおります。女性の声が受け入れられる豊島区になってきているんじゃないかなと、またそうあるべきだと確信しています。

 足立 はい、ありがとうございました。新庁舎もそうですが、若い職員が増えてきたっていう話題は希望がありますね。最後に新年にむかって明るい抱負をひとことお願いします。

 高橋 区民の皆さまから住んで良かった、住み続けたいと言っていただける豊島区をつくるために全力で取り組んでまいります。

 渡辺 安保法制に国民運動が始まるなど日本の未来につながる兆しに明るさを見ています。ますます暮らしにくくなっていますが、区民に寄り添った区政を心掛け、道路整備なども住みつづけられる地域を守ってゆきたい。

 永野 今日のテーマでもあります、子どもたちの未来、女性に優しい街づくりをしっかりと進めてゆきます。

 本橋 豊島に住んで良かった、ここで働いてよかった、と思ってもらえる地域のためにも、誇りの持てる地域をつくるためにも、商店街、町会に頑張ってほしい。地域、学校、豊島区、豊島区議会など三位、四位が一体となって取り組んでいきたい。

 村上 夢のある豊島区、これからも輝き続ける豊島区のため、これまでやってきたことの実現に向けて努力していきたい。

 高野 この豊島区が大きく変わる大チャンス。豊島区が目指す国際アートカルチャー都市という明確な目標を持って、東京のなかで、日本のなかで、元気で輝く豊島区づくりのスタートの年です。


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