視覚障害者一行が巣鴨散策 お世話役は「としま案内人」の皆さん
障がい者にも優しい、もてなしの街、巣鴨――。豊島区内のボランティアガイドとして活躍している「としま案内人駒込・染井・巣鴨」(中川福次会長)が4月12日、船橋市視覚障がい者協会のウオーキンググループの巣鴨散策の案内役をつとめ、目の不自由な皆さんに巣鴨の街を楽しんでもらった。
この日巣鴨を訪れたのはウオーキンググループの14人とその付き添いあわせて28人で、二人一組で行動。案内人からは小河直孝副会長ら8人が案内にあたった。
案内人はお昼前に巣鴨駅でウォーキンググループと合流。駅から真性寺、商店街、そしてメインの巣鴨とげぬき地蔵尊高岩寺を案内。とくに高岩寺では来馬住職の出迎えをうけ、境内の庫裡前広場のベンチに座って、住職から寺の成り立ちや名前の由来などの説明を受けたあと、二班に分かれて洗い観音、信徒会館へ。洗い観音では参拝の順番を待つ間に案内人からの巣鴨名物の塩大福のサービスににっこり。この間も案内人の人たちは、「階段は6段ですよ」「この道は3メートルです」と、目の不自由な人たちに理解してもらうために、勉強会を重ねてきた具体的な説明の仕方で応対。高岩寺では「障がい者」のフリップを用意して人込み対応を配慮した。
この日のために視覚障害の方への対応法を復習したという自ら医師でもある、来馬住職は、「まず名乗る・前から話しかける・ゆっくり話す」を心がけて応対したという。
仏像彫刻と東北復興を祈るこけしが飾ってある信徒会館では、お寺側のはからいで東京こけし会の会員が説明にあたった。ウオーキンググループの皆さんは、中央に特設されたテーブルで、実際にこけしに触れて音を出したり、形や材質を感じて、楽しんだ。会館にはお寺のスタッフはもとより、住職の夫人らの姿もあり、総出の歓迎ぶりだった。この日の記念に、高岩寺から全員にこけしのプレゼントがあった。高岩寺のあとは巣鴨の街を散策して、楽しい思い出を作って帰路についた。
障がい者にたいする案内は今回初めてだったというとしま案内人の小河さんは「来馬住職はじめ皆様に助けられて、無事案内をすることができました。感謝いたします。私たちも今回のことは貴重な体験になりました。今後とも内容はもとより、分かりやすいガイドの仕方に気を付けて、活動を広げていきたいと思います」と。
来馬住職は「こけしを愛でる笑顔が印象的でした。それぞれのこけしの産地・作者は顔・胴の描彩で見分けられますが、参加者のなかには触ってカタチを認識するだけで『これは遠刈田(とおがった)のこけしですね』と言い当てあられる人がいました。當山としても、また個人としても、障がい者にたいして、「やさしい」でなく「平等である」ことを大事にしたい。西洋社会(フェアを大事にし、アンフェアを嫌う)に通じる考えです」と、また「このとしま案内人は、亡くなった伊藤栄洪先生が熱心に育ててこられた会であるとうかがっております。こうして當山で活動していただくのも、縁(えにし)。レガシーを感じますね」と話していた。
「としま案内人駒込・染井・巣鴨」は豊島区の生涯学習・ボランティア団体。平成23年に準備会が立ち上がり、2年の研修期間を経て、同26年4月に発足した。会員は18名、ほとんどが豊島区在住である。おもに駒込(妙義神社、六義園、旧古河庭園)、染井(西福寺、染井霊園)、巣鴨(高岩寺、真性寺、庚申塚)、およびその周辺など案内している。
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