第3章
 

◆ラッコの食べ物

水族館別 ラッコの餌

 

ラッコは、寒さから身を守るための上質の毛皮を持つ他に、栄養価の高い餌をたくさん食べて、
体温を維持しています。大食漢として知られるラッコですが、体重が40kgのラッコだと、
1日の餌の量は約10kg、体重の約20〜30%(約5000〜6000kcal)の餌を食べています。
これを人間に置き換えてみると、体重が60kgの人が、約15kgのご飯を食べるということになります。
(ちなみに、成人男性の1日のカロリーの摂取量は、約2200〜2500kcal

ラッコがこれほど高カロリーの餌を食べても、皮下脂肪がほとんどないのは、
あまりにも寒い海に住んでいるため、そのエネルギーのほとんどが体温を保つために消費されてしまい、
脂肪として、体に蓄えていく余地がないのです。
その様なわけで、たくさん食べないと体温が下がり、凍えて死んでしまう、ということにもなってしまいます。

自然界でのラッコは、ウニ、アワビ、ハマグリやホタテなどの二枚貝、
カニ、ナマコ、イカ、タコ、魚、ヒトデ、海藻・・・、などを食べているようです。
他の海獣より遅れて海で暮らすようになったラッコは、泳ぎはあまり上手くないので、
イルカやアザラシ、アシカなどのように、魚など動きの早いものを捕まえるのは、あまり得意ではありません。
魚なども食べることは食べるようですが、他の海獣たちの食べ物と同じ魚などを、苦労して捕まえるよりは、
動きの遅いウニやアワビなどを捕る方が、競争者もいないし、消費するエネルギーも少ない、ということで、
食べるようになったと思われます。

では、水族館などで飼育されているラッコは、どのような餌を食べているのでしょうか。
・・・ということで、日本国内の水族館で、ラッコに与えている餌を一覧表にしてみました。
自分で調べた範囲(’99年以降)で、全てを確認している訳ではありませんが、
同じラッコを飼育していても、園館によって種類が様々なのが分かるかと思います。
ラッコの好みや季節により、内容が変わることもあるようですが、イカはどの水族館でも与えているようです。



● 水族館別 ラッコの餌 ● 
餌の説明はこの表の下をご覧ください。(それぞれの園館の公式HPはこちらにあります。)
  
※取消線は、閉館またはラッコの飼育がされなくなったところです。
※餌の種類は、ラッコの好み等で変わってくることがあります。

ラッコのいる水族館・動物園

餌の種類

おたる水族館 

イカ、ホタテ、ウニ、タラ、カニ

サンピアザ水族館

イカ、ホタテ、ホッケ

ひろお水族館

イカ(胴、げそ)、ホタテ(殻付き、または貝柱のみ)、ホッキ貝

浅虫水族館

スルメイカ、アジ(頭とゼイゴなし)、ホッキ貝、ホッケ(皮なし3枚おろし)

マリンピア松島水族館

イカ、ウチムラサキ貝(殻付き、貝柱)、ホタテ  (アジ切り身?)

加茂水族館

イカ、アジ

アクアマリンふくしま

イカ、キビナゴ、タラ、ホタテ

マリンピア日本海

イカ、ウチムラサキ、マアジ、タラ

のとじま臨海公園水族館

イカ、ウチムラサキ、アジ、ホタテ、鮭、タラ

アクアワールド大洗水族館

イカ、ホタテ、甘エビ、ホッキ貝、マダラ、キビナゴ、アワビ、アジ、ウチムラサキ

サンシャイン水族館

イカ、鮭、ホキ、ウチムラサキ、甘エビ、カニ

江ノ島水族館

イカ、ウチムラサキ、マダラ、エビ

鴨川シーワールド

イカ、タラ、ウチムラサキ

八景島シーパラダイス

イカ、(ウチムラサキ(殻付き)?)

伊豆三津シーパラダイス

イカ、サバ、ホタテ

下田海中水族館

イカ、ウチムラサキ(殻付き)、タラ、ホタテ(殻付き)

豊橋総合動植物公園

イカ、タラ、ウチムラサキ、カニ、エビ、ホタテ

南知多ビーチランド

イカ、ホキ(白身の魚)、貝柱(ウチムラサキ?)

鳥羽水族館

イカ、ウチムラサキ(殻付き)、タラ、鮭、エビ

南紀白浜アドベンチャーワールド

イカ、ウチムラサキ、ハマグリ、ホタテ(貝柱)、エビ

太地町立くじらの博物館

イカ、タラ、ウチムラサキ

海遊館

イカ、アジ、鮭、タラ、ウチムラサキ、カニ

須磨海浜水族園

イカ、ウチムラサキ、タラ、アジ、シシャモ

うみたまご(大分マリーンパレス)

イカ(マツイカ)、アジ、ウチムラサキ(殻付き)

マリンワールド海の中道

イカ、ウチムラサキ、ホキ、サバ

かごしま水族館

イカ、鮭、シシャモ、タラ、ホタテ(貝柱)

2014.1 一部修正)



〜餌についての説明〜

イカ・・・スルメイカ
  →内蔵ごと与えたり、胴体・げそ(イカの足)など、切り身にして与えたり、園館によって違うようです。
    内臓には、ビタミンなどの栄養が豊富なので、ちょっと元気がないときなどに、別に与えたりする場合もあるようです。

ウチムラサキ・・・貝(大アサリとも言います)
  →水族館生まれのラッコは、お腹の上で割らずに、貝殻をガラスにぶつけて傷つけてしまうことがあるため、
   最初から貝殻をはずして中身だけを与えたり、殻を少しこじ開けてから与えたりする場合もあるようです。
   貝と貝をお腹の上で割る仕草をするのは、野生のラッコだけのようです。
  →貝はお腹の上で割らなくても、なぜか氷はお腹の上で割るという水族館生まれのラッコもいます。

・・・鮭・タラなどの魚は、切り身にして与えています。シシャモやキビナゴは、そのまま与えているようです。

・・・表の○印の付いているところは、氷を食べるところを見ることができたところです。
      ?印のところは不明、または、あげているかも知れないけど、見ることができなかったところです。
      ラッコは氷が好きなようですが、個体によってその程度は違うようです。
        喜んで食べるものもいれば、あまり手をつけずにいるものもいます。
      また、水が好きなラッコもいるようで、ガラス面の清掃などで、
       落ちてくるシャワーの水を飲んだり、ホースから直接のんだりするラッコもいます。

餌の種類が多い園館では、毎回全部の種類をあげているわけではなく、
給餌の回によって、餌の組み合わせを変えているようです。

ラッコにもそれぞれ好き嫌いがあり、好きな餌を先に与えてしまうと、他の餌には見向きもしなくなったりします。
また、その日のラッコの気分や餌の鮮度などで、前日は食べていた餌を、次の日は食べなくなったりする事もあります。
そんなラッコ達を、ラッコの飼育係の皆さんは、いろいろと努力や工夫をして、
ラッコにまんべんなく餌を食べてもらえるようにしているようです。



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