「文化」と「都市再生」 区議会定例会高野区長招集あいさつ
豊島区議会(吉村辰明議長)の平成20年第1回定例会が15日開会、初日の高野区長の招集あいさつで来年度の事業展開の中から、とくに文化と都市再生についての要旨を掲載する。
文化
平成20年度は、東京都がオリンピック招致活動を本格化させる年でもあり、こうした流れの中で、文化・芸術事業を展開することで、全国、そして国際社会に向け、『演劇の街・池袋』を発信してまいります。
これまで、「にしすがも創造舎」のNPO法人「アートネットワーク・ジャパン」が、文化庁の支援を受けて開催してきた「東京国際芸術祭」ですが、来年度からは、新劇場「あうるすぽっと」や東京芸術劇場などとも連携するかたちで、「国際舞台芸術フェスティバル」として、大きく発展させて開催する予定であります。
区としても、「アートネットワーク・ジャパン」とともに、積極的にフェスティバルの成功に向けて力を尽くしたいと考えています。
今年20周年を迎える「池袋演劇祭」では、「あうるすぽっと」開館1周年を記念して、ジェームス三木氏の脚本・演出による「池袋 わが町」を上演いたします。将来的には、豊島区からのオリジナル作品として、友好関係にある市町村との提携公演が実現できるよう、検討を進めてまいります。
また、文化を機軸としたまちづくりに向け、地域ブランド創出支援事業を引き続き展開いたします。
目白地区では、4年目を迎える「目白バ・ロック音楽祭」との連携を一層深めるとともに、「学習院椿の坂」の電線地中化や「ライトの小路」の景観整備に向け、設計に着手いたします。
駒込地区では、旧丹羽邸と興銀社宅跡地に整備する広場を「桜の回廊」で結ぶとともに、マップの作成やフォトコンテストを行い、地域の皆さんとともに、「染井吉野」発祥の地であることをアピールしてまいります。
そして、来年度からは、旧長崎町地区についても、取り組みを広げたいと考えています。
「熊谷守一美術館」や「アトリエ村資料室」、「峯(みね)孝(たかし)作品展示室」、さらには「トキワ荘」など、固有の文化圏を形成してきた経緯を踏まえ、美術文化資源を活用したブランドづくりの方向を検討いたします。併せて、「池袋モンパルナス」の命名者であり、詩人、画家としても、名高い小熊秀雄作品の収集を進めてまいります。
優れた芸術に触れる機会を提供する「子どものための文化体験プログラム」では、江戸川乱歩の代表作「少年探偵団」を戯曲化し、演劇の上演やワークショップ等を実施いたします。
なお、旧平和小学校における新複合施設の整備ですが、池袋駅西口の郷土資料館の移転を含め、西部地域における文化施設の拠点として、さらに一年をかけ、担うべき機能のあり方について検討を深めたいと考えています。
また、今年11月には、全国でユニークな活動を続けている図書館や博物館などに呼びかけ、日本の図書館を元気づけるための「図書館サミット」を開催いたします。国立国会図書館をはじめ、各方面との連携を図りながら、活字文化の維持・発展のために、自治体や図書館に何ができるかを議論したいと考えています。
都市再生
サンシャイン・シティが誕生してから30年、東京芸術劇場は18年、そして今年6月14日には、東京メトロ「副都心線」が開業し、池袋副都心は、新たな都市づくりの展開を強く求められています。
池袋副都心の再生が目指すところ、それは、自らの個性を活かすことで、東京における存在感を発揮するものでなくてはなりません。
都心部や新宿、渋谷などに追いつくという、今までの発想ではなく、人が住む副都心、駅を中心とした比較的コンパクトな姿、みどり豊かなグリーン大通り、大学や専門学校等の教育機能や個性ある劇場の集積など、自らの強みと可能性を伸ばし、「人と環境への優しさ」を追求することで、他の副都心には真似できないような都市再生を進めてまいります。
そして、そのトータルビジョンと今後10年における戦略を描くのが、副都心再生の「新・ルネサンス構想」であります。
新たな構想では、東西南北の一体性確保を基本として、デッキを含む駅空間の再生、駅前街区の再開発、造幣局の開発、新庁舎整備、そして通過交通を排除した歩行者空間とLRTの整備など、再生の鍵を握るプロジェクトの姿を示すとともに、CO2削減やヒートアイランド対策、さらにエネルギー供給の側面からも、環境と共生した都市再生の全体像について、お示ししたいと考えています。
そして、懸案となっている「都市再生緊急整備地域」の指定を得ることで、民間投資を呼び込み、民間事業者との協力による「総力戦」の体制を築いてまいります。東西デッキについても、秋頃には、具体的な整備計画を策定し、シンポジウムを開催いたします。
大塚駅周辺整備については、若干工事が遅れているものの、南北自由通路の完成まであと2年となり、次なる課題として、南口の地下駐輪場や南・北駅前広場の改修計画に取り組んでまいります。さらに、向原で補助81号線とつながる都電沿線について、魅力ある緑化と景観づくりを検討いたします。
椎名町駅周辺整備についても、国の「駅・まち一体改善事業」を活用しながら、駅舎改善をはじめ、鉄道を横断する自由通路、椎名橋下空間を活用した駅前広場、駐輪場などについて、平成23年度の完成に向けて整備を進めてまいります。
また、いよいよ3月20日から3日間、サンシャイン・シティの展示ホールにおいて、「第1回 としまものづくりメッセ」を開催いたします。
印刷、機械金属などの主力産業、戦前から続く知る人ぞ知る老舗企業、職人の“技”と“心意気”を受け継ぐ伝統工芸、未来へ伸びるIT産業など、区と産業関連団体が力を合わせ、一年をかけて構想を練った成果を、是非ともご覧戴きたいと思います。
区内の産業は、驚くほど多彩で、エネルギッシュであります。このメッセが、ものづくり産業と街づくりとの新たな共存を考える契機となるよう期待しています。
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