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第2747号 2007年11月28日号  
三島の新資料展示
 5日から 文化発信拠点「あうるすぽっと」

 文学者「三島由紀夫」の誕生から完結へーー笛吹川芸術文庫新出資料にみる三島文学の流れーー。豊島区の文化発信拠点として期待を集める東池袋4丁目の区立舞台芸術交流センター「あうるすぽっと」で三島由紀夫の新出資料として書「豊饒の海へ注ぐ」や少年期の図画、高校時代使用の教科書などが、12月5日から16日まで展示される。どれも一般公開は今回が始めてで、三島の素顔を知るうえで貴重な資料ばかりで大きな注目を集めそうだ。無料、時間は午前10時から12時まで。
 今回の展示は12月4日から16日、「あうるすぽっと」杮落とし公演・三島由紀夫作「朱雀家の滅亡」上演のため特別展示で、甲府市の笛吹川芸術文庫の厚意により実現したものである.
 展示品は①「豊饒の海へ注ぐ」(書)、②「はな」(少年期の図画)、③「花のあすか山」(同)、④「IRО・IRО」(少年期の造本)、⑤「東洋史概説(白鳥清著)」(高校時代使用の教科書)、⑥「標準独逸文法」(同)の6点。
 26日午後、あうるすぽっとで、高野区長も出席して記者会見が行なわれ、三島研究者の島内景ニ・電気通信大学教授から展示資料の解説などが述べられた。
 【書「豊饒の海へ注ぐ」】三島由紀夫が衝撃的な自決を遂げたのは、昭和45年11月25日だが、その直前の11月12日から17日まで、豊島区池袋袋の東武デパートで「三島由紀夫展」が開催され、54,000人の入場者があった。展覧会場には三島が揮毫した「書物の河」「舞台の河」「肉体の河」「行動の河」の4枚に加えて、「豊饒の海へ注ぐ」という書1枚の、合計5枚の書が掲げられた。
 すでに死を決意していた三島が万感の思いを込めた「豊饒の海へ注ぐ」は、実は2枚書かれていた。展示会場に掲示されたのは、「豊饒の海へー注ぐ」と改行された書だった。会場に掲示されなかったけれども、「豊饒の海―へ注ぐ」と改行された書も、三島の意識では清書であった。その証拠に落款が押されており、展覧会の開幕寸前まで2枚のどちらを掲示するか、悩んでいたと思われる。
 今回、初めて一般公開される、「豊饒の海―へ注ぐ」は、見る者の心を今なお揺さぶる迫力がある。三島はこの書を揮毫した瞬間に、生涯のすべてをかけて追い求めた「豊饒の海」の情景が、ありありと目に浮んでいたことだろう。(島内景ニ・電気通信大学教授)
第2746号 2007年11月21日号  
区内6大学と包括協定
               まずは各大学の紹介講座 
 「豊島区と区内大学との連携・協働に関する包括協定」の調印式が11月19日午後1時30分から、あうるすぽっと(舞台芸術交流センター東池袋2-5-2ライズアリーナビル2階)で行なわれた。引き続き協定による初の事業、「としまコミュニティ大学」の開校宣言を発表された。
 区内には、学習院大学、立教大学、東京音楽大学、女子栄養大学、大正大学、そして来年4月池袋に新キャンパスを開校する帝京平成大学も含め、理系・文系の学部を有する総合大学から専門分野に特化した単科大学までそれぞれ特色ある6つの大学があり、区内に通う大学生は3万3千人にのぼる。
 区では、こうした6大学の特色を生かした連携、学生のマンパワーの活用は、地域活性化の重要な課題であるとし、包括協定の目的は、「街全体をキャンパスに!」を基本コンセプトに、区と区内大学相互が、その人的・知的・物的資源の交流を図り、「教育としま」の実現と豊かな地域社会の創造をめざす基本的な枠組みを定めることにある。
 これまでも各大学と個別的に連携を進めてきたが、今回の協定締結により、6大学と区の一体的な連携が図れるようになり、区と6大学それぞれの特色やノウハウを活かしあうことによる相乗効果が期待される。協定に基づく初の連携事業として「としまコミュニティ大学」を開校するほか、今後協定に基づいて設置する6大学との協議会において、具体的な連携事業の展開を図っていく。
 調印式典では、高野之夫区長が「個性豊かな知的資源と人材を有する大学の存在は、豊島区の教育と文化のシンボルであり財産でもある。また、『文化と品格を誇れる価値あるまち』の実現に向けた政策を進めていく上でも大切なパートナーである。協定締結により、区民には大学をより身近に感じてもらい、学生には街全体をフィールドとして学習・研究活動ができるように、豊島区がコーディネーターとしての役割を果たしたい」と挨拶。また、各大学長からメッセージが語られた。学習院大学福井憲彦学長は「大学は、地域社会との関係を設計することが求められている。今後は大学間、大学と区と密接に連携を進めたい」と語った。また、立教大学大橋英五総長は「学生は地域の文化を背負って人格形成され、社会に出る。それぞれの大学の文化性・思想性を大事にしながら、6大学の連携で、違う文化性に触れることにより、学生の人格をより豊かなものにしたい。今まで以上に区・他大学と連携し、研究・教育できることを期待する」と挨拶があった。
 「としまコミュニティ大学」は、「人づくり」「活動づくり」「地域づくり」のための総合的な学びの場。個人の知識習得に終わるのではなく、学びを通じて人と人とがつながり、活き活きした地域社会づくりにつながる「地域自治力」を培う。さらに、地域を変えていくリーダーの育成をめざすものだ。
初めての講座としては、12月から連携大学「紹介講座」を実施する。紹介講座は、5つの大学を会場に、各大学の特色を活かした講座、コンサート、キャンパス見学に加えて、学生食堂で学食を体験できる。内容は以下の通り。受講料は無料、学食は自費。(日時、学校名、講座名、定員)
 ▽12月5日13時~15時=大正大学=大正大学の歴史・人・学び=50人▽同7日14時~16時=立教大学=ツタとレンガのキャンパスで学んでみませんか=60人、▽同8日12時30分~15時=東京音楽大学=みんなで楽しむ古楽の響き=150人、▽同11日11時30分~14時=女子栄養大学=食事がつくる健康生活ー四群点数法の実践=60人、▽1月19日10時から12時=学習院大学=当世ブランド事情―商品のブランドから地域のブランドづくりまで=50人(帝京平成大学の紹介講座は池袋キャンパス開校後に行う)。
第2745号 2007年11月14日号  
"映画の大塚"復活へ
          
大塚シネマプロジェクト

 再び大塚に映画館を、と映画ファンの夢を実現する大塚シネマプロジェクトが始動する――。映画によって大塚の文化資源の発掘、大塚の魅力と賑わいの創出を図るため、地元9商店街の商店会長を中心に、(株)豊島にぎわい創出機構や池袋シネマ振興会の協力のもと、大塚シネマプロジェクト実行委員会が結成された。大塚は以前、映画の撮影場や映画館があり、多くの映画ファンが訪れ、賑わいを見せていた。当時の映画館は、大塚の文化資源であり、大塚の魅力の発信基地だったことからこのプロジェクトが生まれた。
 まずは南大塚ホールを活用し、年間4回以上の映画を上映することを計画。今年度については、プレ上映として12月15日と2月23日の2日間の上映を予定している。12月15日(土)には、映画「しゃべれども しゃべれども」をDVDで上映する。この映画が上映されることとなったのは、豊島区内の都電沿線や雑司が谷にある鬼子母神の境内での撮影シーンがあることや、映画の内容が二つ目の落語家の人間模様ということが今回上映する理由となっている。年4回の「南大塚ホール落語」の開催があり、大塚周辺には落語家が多く居住していることから、映画とセットで落語も楽しめるように工夫。映画は午後の部(14時から)と夜間の部(18時から)の2回に分けて上映し、それぞれの回の終了後に、真打ちの林家久蔵(落語家)さんの落語が楽しめるという趣向だ。
 料金は、会費として1day会員券が1回800円で、まとめて購入する4回分のファミリー会員券は3千円となっている。また、財団友の会、小学生、9商店街の指定された店にあるフルカラーチラシを購入時に提出した場合は、さらに割引となる。フルカラーチラシが置いてある店は、(財)としま未来文化財団のホームページに掲載されている。
 大塚シネマプロジェクトの実行委員長であるサンモール大塚商店街振興組合長の荻村和一郎氏は、「映画を通して、大塚の住民と映画ファンのふれあいの機会をつくり、大塚の活力創出の契機としたい」と期待している。また、池袋シネマ振興会の永田会長は、「大塚は豊島区の映画発祥の地であり、住民が中心となって映画を復活させ、魅力あるまちづくりにつなげて欲しい」と述べている。
会員券の購入は、通常の入場券と同じで、各地域文化創造館の窓口や区民センター2Fで受け付けている。問合せは、南大塚地域文化創造館(電話3946―4301)まで。
第2744号 2007年11月7日号  
池袋西口駅前広場の整備
     検証実験意見交換  ユニバーサルデザイン
 老朽化した池袋駅西口駅前広場をユニバーサルデザインの視点を入れた整備改修を行うため、障害者、高齢者、ベビーカー使用の母親等約30名参加による検証実験と意見交換会が10月31日に行われた。
 池袋駅は1日の乗降客数、約260万人を数える日本で第2位の大型ターミナル。駅前広場は、東京芸術劇場、池袋西口公園野外ステージなどのイベント会場の玄関口でもあり、多くの来街者が利用する重要な公共空間である。
 しかしながら、昭和43年に戦災復興土地区画整理事業により整備され、その後、昭和62年に歩道や植栽などの整備を行ったものの40年以上が経過し、景観的、機能的にも多くの課題を抱え、昨年度から地元駅前商店街や町会、NPOによるワークショップを開催し、区では地元意見を取り入れて、今年度に実施計画案を作成する。
 池袋駅西口駅前広場の改修工事は約8,900㎡。タクシープールを含む駅前本体部分が約5,400㎡、バスターミナル部分が約3,500㎡。この日は障害者、高齢者、ベビーカー使用の母親らがそれぞれ7、8人の4つのグループに分かれ、道路の勾配や段差、歩道の幅員や誘導サインなどについて、1時間ほどの街歩きにより確認しあった。その後、東京芸術劇場に場所を変えグループごとに結果をまとめ、発表、意見交換を行った。
 主な意見として、歩道については、でこぼこが車椅子にひびき歩行しにくい。でこぼこのため点字ブロックと区別がつかない。幅が狭い。車輪がはまる。人が多く歩きにくい。段差については、ベビーカー使用者からは横断歩道で段差が多くて渡りきれないとの意見があった。また、案内板について、全体的に案内板が少ない。角ばった柱は間違ってぶつかった時に危険なので、丸まった柱にスポンジつきの設置や地下出入口付近には音声ガイドがあれば良いなどのアイデアが提案された。他に多目的トイレ、休憩用ベンチの設置などの要望もあった。
 障害者からの意見では、視覚障害者と車椅子利用者で歩道の段差について意見が異なった。視覚障害者にとっては、段差、勾配が歩道と車道を区別することに有効であり、車椅子利用者やベビーカー使用者にとっては、勾配がかえって歩行しにくい点があげられた。
区はこのの検証結果を参考に、さらには警察、JR東日本等と協議を進めて、実施設計に活かし、20年度には工事の一部着工をめざす。

2007年11月