第17回3000字感想

今回は以前にもまして遅かったです(笑)まぁ最近また仕事が忙しくなって、家に帰ってきても何もせずすぐ眠てしまうという期間が結構続いたのも事実ですから、仕方がありません。今回も自分の作品は棚上げして感想を書いています。感想になっていない物や、読み違いもおそらく多いと思います。事実中には作者の意図が理解できなかった作品もあります。ですから作者の伝えたかった物とは違うのにというお叱りも出てくると思います。私の表現力の問題もありますから、私が受け取った気持ちと違うように読み取れるかも知れませんが、まぁ悪気があるわけではありませんので、気にしないで頂きたい(笑)それでは今回の感想も今まで通り、戯言だと思って軽く流して下さい。


Entry.01『ロボット』マーマレード=ジャムさん
走り書きのメモの羅列のような文章が、読者を混乱させようとしているのだとしたら、成功だとは思いますが、私には理解出来ません。文章の中にはせっかく面白い表現があるのに勿体無いと思います。既定の半分にも満たない文字数ですし、3000字バトルでは、やっぱり小説を書いて欲しいと思います。

Entry.02『わたしはがんばる』ようすけさん
これも2000字にも満たない。過去を思い出した主人公が、これから頑張ろうと決意する姿は素敵なものだとは思いますが、設定に矛盾したところもあり、推敲不足の感が拭えません。ストーリーとしては面白いと思いますが、高校進学を悩む主人公というよりも、いやな孤児院を早く出て、高校進学をしない決意を固めていた方が、ストーリーとしては劇的かなぁ、なんて思ってしまいました。

Entry.03『学閥』オキャーマ君さん
現在、最高裁判所の裁判官を辞めて、弁護士になるという事が可能かどうかは判らないが、オチに向かっての展開は面白い。しかし肉というと、筋肉なぞを考えてしまうが、死体から、内臓だけではなく、筋肉も取り去ってしまうのだろうか?変なところで考えてしまった。

Entry.04『リズム』坂口与四郎さん
宮沢賢治の「やまなし」は恥ずかしながら読んだことがなかったが、インターネットで調べたら、めちゃくちゃ短かった(未読の方は是非、青空文庫でも行って読んで下さい)。この作品はなんと3000字にも足りない。目的の「やまなし」は見つからなかったようだし「クラムボン」も見なかったようだ。宮沢賢治の理想郷は無くても、彼らはちゃんと自分の世界を知っているという、現実的なラストが少し寂しい。

Entry.05『シュークリーム盗難事件』遠野 みどりさん
容疑者が出揃ったところで、犯人の予想はついてしまいました(笑)しかしボケという展開になるとは思ってもいなかった。主人公が次女だと思わせるというのは、うまい手だと思います。私は次女が犯人で日記のような形式にして、誰かに犯行をなすりつけるというありきたり?の展開を予想してしまいました。面白い。

Entry.06『メンソール』宙さん
ピンヒールを普段の生活で履く女性というのは、私は好きではありませんが(生活するのに不便極まりない、踵はやっぱり低い方が安全です)余り目立たない存在だった女性が大変身していてそれをを覚えていたという設定にする為に、学生時代には気にかけていたという風にしたのが少し作りすぎのような気がしました。5年も経って会った時に判るというのも出来過ぎだとは思いますが、まぁ小説だからいいのかなぁ?そういう意味では本当っぽくするというのは難しいと思います。一度部屋を出て行こうとした後で、彼女の思いを知ったからといって彼女とキスするというのは、単に男の性が全面に出てきているだけの気もしてしまいました。でも、本当の事だったりして…。

Entry.07『トイ・ソルジャーズ』芋澤扇風機さん
タイトルで、同名の映画を思い出しましたが、話しはもちろん全然違いました。登場人物が日本人らしいという事で、創作であると明記しているようですが、争いの悲惨さが浮かび上がってきて、中々に読み応えがあったと思います。しかし目隠しなしの銃殺刑とか実弾入りが一人しかいないという設定が、なんだか真実味を消しているように感じてしまいました。でもそれだからこそ逆に惨さが現れてはいると思いますがね。

Entry.08『友人達の食卓』Ameさん
夏音がヘテロセクシズムなのかどうか判らないが、ホモフォビアに近い存在ならば、本当に生理的に嫌いと思われる二人が、何故友人として存在出来るのかは、語られている内容からでは、納得がいかない。ついこの間終わった「金八先生」のせいか、この作家は性障害の問題を提示したかったのかも知れないが、ただの友人としてならば、そういう展開もありかなとは思うのだが、夏音が女性として静生を見ているらしい展開になっているから余計にそう思えてしまった。

Entry.09『千鳥が淵の桜』Goldieさん
千鳥が淵の桜は見事ですが最近は見にいっていないなぁ、なんて思ってしまいました。戦時中の男女の関係は確かにプラトニックなものだっとは思いますが、しかし彼を思う主人公の気持ちがなんだか少し小さいような気がします。戦後女性一人で生きていくという難しさを結婚もしないで彼の事を思っていたというからには、もっと激しい思いがあって然るべきだと思うのですが、何だか少し淡白な気がしてしまいました。戦後生まれだからそう思うのかも知れませんがね。

Entry.10『待合室の風景−鼻水をたらしたインディアン−』さかな☆さん
男性と女の子供の連れがいた。という個所で、3人なのかと思った。これは推理物に使えるかもしれない(笑)ラストで主人公の娘が泣くシーンは可愛いとは思うが、待合室の風景という、タイトル通りの風景描写がストーリー展開を期待してしまう読者には少し退屈だ。まだ始めの子供らしい主人公の少し大きな子供に対する視線やその母親に対する視線が厳しいのは、自分の子供が第一で他人の子供は関係ないという、きっとまだ子育てに対しての素人さと母親としての自覚の無さから来るものなのだろう。しかしそれならば風邪をひいている子供が自分の子供に近寄ってくるという状況を黙認するというのは、納得がいかない。なんだか中途半端な母親だなぁと思ってしまう。

Entry.11『絵の無いジグソーパズルT』保田典子さん
段落での1行空けがないせいで長い文章が読み難くかった。話しの展開については、多分理解する必要性はないのだろうが、やっぱり私には、判りやすいストーリー展開が好きだ。不思議な話しというよりは、常道を逸している話しではあるが、この主人公が今後どうなるかの予想もつかない悪魔の出現には、興ざめしてしまった。申し訳ありません。

Entry.12『真実の後味』Lucyさん
女性がこういう別れ話をするのは、本当に別れたいか、彼の気持ちを確かめているだけなのかのどちらかだと思うのですが、別れる理由が、なんだか当たり前過ぎて意外な展開を希望する読者としては、残念です。話しの展開の方法が、手紙のところに来て、始めに書かれている場所で彼女が待っているのは、別れ話をした彼の事なのかと思わせる為の展開だとは思うのですが、なんだかその為だけの日付と時間では余り効果が上がっていないと思いました。

Entry.13『王様の鷹の話』立田 未さん
途中の話しが素晴らしい。登場する女性の語り口調でない所が余計にこの話しを面白くしている。途中の話が1660字という長さではあるが、これをもう少し長くして3000字としても良かったのかとも思えた。

Entry.14『兄弟』海坂他人さん
続き物としての作品と知らずに読んでしまうと、意味不明の作品だ。途中に出現する死んでしまった広海の日記は、唐突過ぎてやっぱり、3000字の作品としては、マイナスだろうが、まぁ良しとしますか(笑)私もこの年になると実家に戻る(帰る)時には「ただいま」とは言えず「こんちわ」くらいのものだし、玄関の呼び鈴を鳴らしても、答えも待たずに上がり込み、「ふん」てな感じで顎をしゃくりながら、のそっと入ってしまう。まぁ、ストーリーとしては、ただ息子夫婦が実家に顔を出して、炬燵で団欒てな感じなだけなのだが、いくつになっても子供だと思っている(事実そうだが)母親の言動や、途中に入ってくる主人公(父親)の想いや回想が、ストーリーを膨らませていて、やっぱり読ませてくれるなぁ、という感じがします。叔母さんで、私が二十歳を過ぎてまで「アイスでも買いな」といつも言ってくれた小遣いの事を思い出します。もちろんイトコは「アイスなんか買う年じゃないよ」なんて言ってましたが…。

Entry.15『動物園のどよめき』西 ふみさん
日本の動物園も少し変わってきていて、都内などのように場所が狭い所でない場所では、動物園もくじゃくの放し飼いなどは結構存在しますし、近くで動物に接するチャンスも多くなっています。まぁ、ゴリラのように大型の動物を群れで飼うような大きな動物園は知りませんが、サルはやっぱり日本でも人気がありますから、見物客も多いですよねぇ。で話しとしては面白かったんですが、ラストでの異国にとけ込めた瞬間だったという感動がなんだか私には、はっきりと感じられませんでした。というのも確かにゴリラ達の行動は興味深かったんですが、それよりもスペイン人の人情家らしいという説明の方が興味が引かれたからでしょう。確かに感動というか同じような気持ちになったという感覚が判ったと言う時点で、とけ込んだと感じるのは当たり前なんですが、それが感動する程のことなのかというと、私にはそうは思えなかったという事です。最近感動が少なくなってきているようです。

Entry.16『広告打者』羽那沖権八さん
プロ野球はスポーツかと問われれば、私はショーだと思っている。もちろん、選手は身体を鍛え短い選手生命をかけているし、野球というものに情熱を持ってはいるだろう。だが観客という立場からいえば、自分が応援するチームが勝ったとか負けたとか一喜一憂するのは、プロレスを見るのとなんら変わりない。プロはやっぱり商売にしているのだから、ショーとしての位置付けが私は正しいと思っている。登場する東海林氏のプロ根性は立派だし、スポンサーの為に働いているという意識が徹底している姿は見ていて気持ちがいい。しかし20年も続けられるというのは凄いことだ。鉄人衣笠なんか目じゃないぞ。反発するホームランバッターの桑島の、己が道を行くというスタンスも捨てがたい。面白かった。

Entry.17『水よりも濃くて』やす秦さん
一方の会話だけで成り立っているが、私にはこの会話がそれっぽく感じられなかった。結婚前日の父娘(しかも血の繋がっていない。とはいえ、輸血を受けているから血は入っているともいえるが)の会話だが、そりゃあ色々な事があって、感慨に耽っているのは判るが、こういう話しを実際にするのだろうか? 私の知る限りでは無かった。もちろん狭い人付き合いだから、現実はどうか判らない。それから気になったのは、例えば「忙しいのだから」などのような「の」の使い方だが、私はこういう場合「ん」と言ってしまう。これは各人違うだろうが、こういう使い方をして喋る女性を私は知らない。

Entry.18『超人狂時代』自作
面白かったと言ってくれた感想があって、嬉しいです(笑)始めの眉剃りは「空手バカ一代」だし、達磨大師が出てきて、「雨ニモマケズ」と続き…。解説するのはやっぱりダメだよねぇ。でも私しゃ面白いといって貰えればいいんです。

Entry.19『黄色いビー玉』伊勢 湊さん
話しとしては面白いが、夜勤の間に日勤と夜勤の両方の仕事をしてしまうという破天荒な設定にはちょっと無理を覚えた。いくらなんでもビンまで作るというのは、無理でしょう(笑)しかしラムネを入れる段階で返品される可能性の方が高いという事には気付かないのだろうか? 食品に関することだから余計にそういう事にはシビアなはずだし、彼らの仕事はその場では達成感があるかも知れないが、後で大目玉(ひょっとしたら好評かも知れないが)になるという自覚がないという子供じみた、その場限りの喜びでしかないという悲しさが見えて、年を取っても青春なのかなぁ、なんて感じもしてしまう。だが現実的ではない分、これは大人向けのメルヘンなんだろう。そう考えれば面白い。

Entry.20『届かないラブレター』有馬次郎さん
うーん、判り難い。夕立がやんでからの会話が誰が言っているのか良く読まないと難しい。それに白木の心情や判れた理由が書かれていない分白木が泣き出す理由が不明だ。ラストというか冒頭で主人公が手紙を書こうとしているから、きっと白木とは上手くいかなかったのだろうが、子供は白木が引取ったのだろうか? ゆったりした一人旅のようなのでそう思ってしまったが、これはまぁ読者の想像の範囲内という事でいいと思う。ラブレターという物を自分の為に書くという行為には驚いてしまうが、一生懸命走って「自分を誉めたい」と名言を残したマラソン選手のように、自分を大切に思う気持ちからのラブレターなのかと思うと納得がいった。

Entry.21『街』るるるぶ☆どっぐちゃんさん
どういうふうに読めばいいのか判らない。ラストで虫として産まれたという私と、それまでの私は同一人(虫)物のようだが、ここまで擬人化?している前半部分からは、人間から虫に生まれ変わったとも受け取れる。倒れていた男は虫に生まれ変わる前の私だったのかも知れない。人間社会における街という存在を虫の世界としての街という意識と重ね合わせているのかも知れないが、3回読んだが判らなかった。途中の「お前の欲しい物はきっとどこにも無いぜ…」という言葉が、逃げてばかりじゃダメだよといっているようで、印象的だった。