第1回仮面舞踏会1000字感想 テーマ「祭り」

 今回は仮面舞踏会という事で、今までとは違ったメンバーもいるわけで、尚且つ誰が書いたのか判らない。まぁ今までも作者で判断していたつもりはないけれど、読んでいると、あぁこれはあの人だなぁと判るものも多々あるというのは、やっぱり作風はそんなに急に変えられないという事だろう。で今回は自分の作品は無視して第三者の目で感想を書く必要に迫られているのだが、巧く出来ていないかも知れない(笑)しかし1000字丁度の作品が17作品で残りの8作品がそれ未満というのは、やはり今までの投稿してきた環境のせいもあるのだろうか?

 注意)
 これは感想とは言いながら、作品や小説の書き方に対する批評とは少し違います。私が一読者として作品に接して、ただ単に読んでどう思ったのかという事だけです。ですから私の好みの作品には面白いなどと書いてしまいますし、好みでない作品には嫌いだと書いてしまいます。でも勿論それは私個人の感性ですから、作者の方々にはご理解の程、お願い致します。

Entry.01『ポツンと、星』仮面畑三十朗さん
始めの作品から凄い話しだ。乱暴された女性の心理なんて男の私にはよく判らないが、この作者名と漢字の使い方などからするときっとあの人だろうから、作品も想像の産物であろう。でも私の思い違いで、作者が女性で実際に経験した事だったりしたら大変だけれど…。襲われている時に短い単語というか、目に映る風景だけを連続で書くという手法は、ありきたりとも言えるが、こういう話しにはよく合っていて効果的だと思う。

Entry.02『お祭りの風船』鳳梨酥さん
作者名が読めない(笑)なんだかあっけない終り方で、残念。一体どうなるんだろうと引きこまれていただけにラストが本当にあっけないだけで、終わってしまった。まぁ祭りの後とは確かにそんなものだから、そういうものですといわれれば、そうなのかも知れないが、これは「お祭りの風船」である必要性が湧かなかった。壊れてしまった風船は元には戻らないというシャレだろうか?

Entry.03『太鼓』眞州珂 礼司(ますか れいじ)さん
おぉーっと、これからどうなるんだ! と読者にお任せというラストは少し残念だが、こういう終わり方もいいのかも知れない。「夜這い」は村祭りの時のストレス発散のようなものだったらしいし、江戸時代の初期の頃まではSEXは大っぴらだったらしいから、そういう意味では日本も昔はフリーセックスだったんだなぁと羨ましい気もする。太鼓がそういう事をさせるという発想からすると多分あの人の作品だろう。

Entry.04『もけもけの日』近江米さん
笑った。このバトル自体をパロってしまうという発想には脱帽です。きっとこのバトルもきっと恒例のものとなっていくのでしょう(笑)今から第2回が楽しみになってきた。北海道で薩摩さんなどという名前を付けるというこの作者は多分あの人だと思うのだが、この「もけもけ」などという発想はどうやって出てくるのだろう。感心させられる。

Entry.05『サティ』闇を奏でる者さん
インドのサティという風習は聞いた事があったが、話しは経典を筆写する際の誤りという説になっているが、調べて見たら、火の中に入って神に判決を仰ぐというような事から発生したらしい。これも経典ともいえる叙事詩の中の記述だという事だが、恐らくこの話しの説は、全くの創作なのだろう。しかし何年も続いてきた風習を無くす様に矯正されるというのは、野蛮とは思えても、やはり文化に対す冒涜のような気もする。夫が死んでしまってその後生活を維持する方法がないであろうインドという生活圏ではこれが正しい道なのかも知れないと思うと、少し考えさせらたりもする。

Entry.06『夜』夜さん
知り合いに、バイトで子供向けの服に付けるゾウのキャラクターの絵を色んなパターンで書いている人がいたが、そんな彼女を思い出した。しかも40になろうとしているのに、見た目は会う度に若くなっているようで、少し恐い(笑)途中で切ってしまう文体が少し気になったが、これがこの作者の手法なのだろう、しかし浅草寺の祭りがサンバカーニバルというのは悲しい。私には三社祭りの方が印象が強い。

Entry.07『白秋の初恋――空には真赤な雲のいろ』小林少年P太郎さん
あぁこの読みなれた文体を見ると、やっぱり誰だか判ってしまうというのは、作者の特徴が良く出ているという事だろう。私の嫌いな(笑)死が入っているけれどもやっぱり雰囲気を大事にしている作家なんだなぁと今更ながらに思った。でも全然違う人だったりして…。

Entry.08『祝祭都市』饕餮/トウテツさん
作中に出てくる鰻丼は作者名を暗示しているのだろうか? などと作品とは関係ない違った読み方をしてしまう(笑)始めから「だれがじゃ!」などというツッコミが出てくるのには、笑ってしまった。カーニバルに仮面を付けて色をつけるというお祭りとしての楽しさが溢れていて、このバトルを十分楽しんでいるのには好感が持てた。

Entry.09『奥さまは弁財天』上杉りょんさん
テーマがお祭りだからだろうか、何だか不思議な感覚の話しが続いて楽しい。私はこういう系統が好きだ(嬉)七福神の紅一点である弁天様のご開帳というのも、違った意味で可笑しいが、彼女は元々外国人?だから国際結婚だなぁ、なんて考えてしまった。

Entry.10『綿飴』永遠のスワンさん
生命維持装置を止めてもらうなんて事が依頼して出きるとは思えないから、きっとこれは心の中に住んでいた昔の彼の事を忘れる事にしたという比喩なんだろう。そういう意味では、彼を大切にしようと決断した彼女のこれからが、聞こえない花火とニセモノの雲との味わいとなっているのだと思うのだが、それならやっぱりもう少し明るくてもいいのかなぁ、と思ってしまった。

Entry.11『シ的小説』TETORAさん
テーマとの関連性としては少し弱い気もするが、始めの女性がSMAPの中居君が演じている女性(名前は忘れたが)を思い出してしまった(笑)あんな女性が本当にいるかどうかは判らないけれども、前半と後半の対照的な違いが面白い。ラストの「あなたの部屋も…」は好き嫌いがあるだろうが、一読者としては、もっとドキっとするような直接的な表現でもいいかなぁと思った。

Entry.12『祭りのあと』ギンコさん
小学校に入ったばかりらしい娘の前で、「女房は男を作って逃げた」というような事を果たして言うだろうか、もし言ったのだとしたら、それはやはり夫の責任感の無さからのものなのだろうと思ってしまった。これがもし作者がワザとそうしているのだとしたら、ただの男同士のキズの舐め合いという話しではなく、違った見方も出来てしまう。ラストでガラス玉が鳴る音でさえ、そんな男を笑っているようでさえある。

Entry.13『母の浴衣』キューティー・ハニーさん
母の思い出がいつしか母代わりの大切な姉となり、母に甘えるという肉親としての感情が、女性に対する目となってしまうという想いは、思春期の男が経験することなんだろうが、こういう形で書かれてしまうと、やっぱり気恥ずかしい。多分これはあの人の作品だと思うのだが、彼女?のこういった作品は、私にはやっぱり少し照れくさい。

Entry.14『春の喪祭』七志田 ヨウさん
「墓所に私がいる…」という所で、あぁこの主人公って死んでいるんだなぁって判ったけど、これは何も隠す必要性はないから問題ない。それよりも彼岸へと先立つ主人公が、父母へ暖かい言葉をかけてやれるというのは、死の悲しみではなくて、これからも仲良く暮らしてねと元気づけているようで、なんだか嬉しい。

Entry.15『こどもの日』早奈 優さん
いくつになっても、親にとってみれば子供は子供だし、子供にとっても親は親である。当たり前の事だけど、家族という絆を大切にするという話しは、なんだか嬉しい。便りがないのが元気な便りなんて事をいうけれども、やっぱりどんな顔でも見せておくのが、親孝行というものだろう。そういえば、最近実家に帰っていない。

Entry.16『祭の花火』山門春風さん
戦争で受けた攻撃を花火の様に綺麗だと感じるのは、本当は別の意識のどこかの事であって、実際には悲惨な体験なんだと想うけど、それを実際の花火と比べ、あの花火とは違うと言う老人は、戦争で無くなった仲間でも思い出しているのだろう。そんな事は全然書かれていないけれども、何だかそんな感じがして、この老人の花火への執念というか情熱が、戦争への想いとなって表れていると言う話しは面白い。

Entry.17『アルゼンチンホール』アルゼンチンさん
笑った。新鮮な感じがした。ツッコメよと言いたくなる所を、誰にもツッコませないで、そのまま疾走するというのは面白い。今度私も使わせて下さい。

Entry.18『夏の夜の夢』香菜阿音(かなかいん)さん
悲惨だ。「なぁいいだろ? やらせろよ」なんて言葉をかけていれば「いいよ」と言って出来たかもしれない兄妹のセックスだけど、彼らの間に無かった会話のせいで、こんな風になってしまうなんて悲しい。安手のAVの話しでなく、こういった悲惨な運命にしてしまうというストーリー展開も良いなぁ。

Entry.19『ブラックパーティ』匿名仮面さん
こういう話しの展開は好きなのだが、なんだかありきたりな話しのように感じてしまった。それから火を着けるではなく、点けるのでは? と変なところで誤字が気になった。しかし朝まで殴り合いという事は、バトルロワイヤル形式だから、クラブから出ていけるのが、何人もいるという設定も気になった。こうまで気になるのは、きっと私の書く話に似ているからかも知れない。

Entry.20『あふれたカケラ』薄氷の導き手さん
タイトルであふれているのは、この少女の夢なのだろうか?近所の叔父さんの家(とはいえ若い)に遊びに来た姪との関係のようだが、始めは彼女の言葉が余りにもはっきりしていなくて、障害者とか、人間とは違ったモノなのかとも思ってしまったが、ノーマルな話しだった(笑)まだ小さいとはいえ、思春期を迎えたらしい彼女のなんとも可愛い姿が、目に浮かぶ。

Entry.21『天然部活少女』トニ・ボンバイエさん
いいなぁ。日本のソフトは結構強いからテレビでもよく放送されてたまに見るけど、なんとも彼女達の様子は、見ていて気持ちがいい。ソフトなどをしたことがない女性の投球が何故あんなに情け無いものなのかは知らないが、男性顔負けのピッチングをする彼女達の姿は素敵だ。もちろんソフトだけではなくて、何をしていても女性同士の乗りとでもいうべき、何かに情熱をかけている姿は男にはない輝きがあって好きだ。何だか助平なおじさんになってる(笑)

Entry.22『ナーダム』龍馬陳(ロンマーチェン)さん1000字
こういう壮大な感じの話しもいいなぁ。きっと彼女の為に婚約者は、引き出物に綺麗な速く走る馬を送ったんだろうなぁ、なんて考えしまった。地平線の彼方までも見渡せる景色とそこに暮らす遊牧民達。彼らの暮らしは楽ではないだろうけれど、何となく羨ましい気もしてしまう。

Entry.23『詩人と祭司と踊り子と商人』東 是府さん
この作者の話はいつも判らない。と勝手に作者を決め付けている。(笑)という訳ではないが、雰囲気を掴むと、南の島で多分打楽器系の音楽に合わせ踊っている女性達と、少し隔たった所で同じように銃の音がタタタンと打楽器のような音に聞こえて、その音に合わせて撃たれ舞っている男達の映像としての対比がスローモーションで見ると面白いんだろうなぁ…、と思った。

Entry.24『夕日と終り』所沢 久瑠さん
私の苦手な分野の話しだ。彼女との思い出が祭りのように思われて、判れる事になって、それが今では静かになってしまう祭りの後との対比としての表現は面白いとは思うのだが、やっぱり私の苦手なというか、好きになれない話しであった。とはいえこれは個人的な好みの問題だから作者に対しての悪気は一切ない。しかし後ろから2個目の長い文が興味深かった。途中の読点の位置が私とは随分違った付け方だったからだし「どれが主語だ」などと思ってしまったからだ。多分私は違った形で別の文にしてしまいそうだ。

Entry.25『あとの祭り』かすみ草さん
三つの願いのパターンはよくある話しで、どれだけオチが予想と違うかという、読者に対する裏切りというか、ドンデン返しのスッキリ感が楽しいんだけど、この話しの内容について言えば、どこかで聞いた事がある。というか以前テレビ番組のタイトルは忘れてしまったが、原作募集でアニメ放映というのに、似たようなのがあったのを思い出してしまった。話しとしては面白いのだが、やはり私には新鮮さに欠けるという意味では残念だった。