第20回1000字感想

新世紀の第一回目という事でしたが、私は残念ながら忙し過ぎて参加できなかった。会社に缶詰状態でしたからねぇ。正月も会社にずーっとおりましたから、作品を読む時間も余りありませんでした。悔しいです。というわけではありませんが、今回も感想を書いてしまいました。最近感想の書き方が変わってきたような気もしますが、新世紀を意識しているわけではありません。

○Entry.01『天に還る』かわばたさん
少女の自殺と現実世界で見えることがらが、実は天使に戻る為の行為だったというオチは、お正月にはちょっと悲しいです。一般の人から見たら、完璧に高校生が飛び降り自殺をしたという事ですからね。話しとしては、3000字くらいで、もう少し少女が天使であるという証拠が表現出来ていれば、タイトル通り天に還るんだという事が感じられて幸せな気分になれたんじゃないかなぁなんて思いました。

○Entry.02『神々の闘い』時空門奴さん
なんか正義がどうの、神の為の闘いがどうのと、読みたくないテーマだなぁと思っていたら、そういうオチか、安心した。ポーンやビショップ・ルークなんかの動きが判れば、もっと面白かったかも知れない。でも白って先手だと思ったけど、チャンピオンがずーっと白だったというのも変だなぁ。

○Entry.03『動物性素材』RIBOSさん
ちょっとこのギャグだけでは物足りない。ラストの諺はいらないんじゃないでしょうか?

○Entry.04『二千一年の願い』ゆーこさん
ラストの光はなんだろう?まだ願いが叶うという暗示だろうか?とにかく願いが叶っているんだから、御利益があったんだろう。全然関係ないけど、正月のテレビで「ツァラストラはかく語りき」をバックに「20001年宇宙の旅」と聞こえて出てきた景品が「ウチユの旅」の温泉旅行だったのには笑った。

○Entry.05『グロレッツ』有馬次郎さん
独身で40才なら普通のOLではないけれど面白い。しかも結構可愛い感じの女性らしいではないか。豪快さが楽しいが、話しの構成をもう少し変えても良かったかとも思った。徐々に空かされるタメ子女史の力量が、少しまどろっこしく感じてしまったからだと思う。タイトルは、消臭ガムのクロレッツから来ているんだろうか。それとも、レッツ「グロ」からの洒落だろうか?だとするとグロ度?が低すぎる。

○Entry.06『落葉坂』さとう啓介さん
1000字で風景描写や心情を表わすのは大変だと思いますが、これは成功してるんじゃないでしょうか。書いていた手紙が投函されるかどうかは判りませんが、心温まる感じがします。そういえば今年も田舎に帰れなかったなぁ。

○Entry.07『らっきょ漬け』ぱんちさん
不条理な世界感を出す場合に、主人公の視点からばかり追っていて、しかも前後の脈絡が不明だと、何だか判らないと云われてお終い。というのが判る作品なんだろうか?

○Entry.08『瑠璃色の記憶』要目凛さん
瑠璃色の記憶というのは、海の中の記憶という意味なんですね。だけど何が言いたいのかが判りません。ただこういうお話ですというだけならば…、海ってすごいなぁというだけの話しならば、この感動らしきものに対しては共感できません。

○Entry.09『笑い顔』竹原 秀さん
主人公達の狂気は感じましたが、読んでいて気持ちのいいものじゃありませんでした。もっとも人間を止めようとしているんだから当たり前か。

○Entry.10『四十九里浜 五十九里浜!』関口大和さん
ひとつひとつの言葉の意味は判るつもりだけれども、だから何なんだといわれると、判らない。最近こういった傾向のものが増えてきた様な気がするけど、おじさんには理解し難い。でもギニーピッグはさすがにまだ見ていない。見たいとも思わないけどね。

○Entry.11『痛めた羽の癒ゆるとき』羽倉諒さん
語りかけというのは、面白い手法だとは思いますが、語られた者が動いて初めて話になるんじゃないんでしょうか?あと200字ちょっとあるんですから、語られた者がどう対応するのか書けば随分違った作品になったと思います。

○Entry.12『刀にまつわる言葉。』刀さん
刀にまつわる言葉だけど、使い方が違う個所が何箇所かあるのが残念ですし、ここまでやるんなら辞書でも調べて、もっと言葉を出して欲しかった。アイデアは面白いとは思いますが、これじゃ本当に付け焼刃です。厳しい人には、おっとり刀で駆けつけられて刀のさびにされますぞ。

○Entry.13『一週間』BEANさん
毎日を意味もなく、ただのんべんだらり(古い)と生活しているのは止めましょうという事が言いたいんですかねぇ。

○Entry.14『大きな繰返しの中で』古達龍ニさん
挿し話よりも短い文章には、さすがに感想が書けませんが、敢えていうならば、繰返しに見える様な事でも本当は少しづつ違っているんですから、貴方の生き方を子供に引き継いではいけません。子供の思う通りに育てるべきです。っていう風に見当外れの事を言い出してしまいそうです。

○Entry.15『偽神』ハクシさん
申し訳ない。よく理解出来ませんでした。主人公は精神に異常をきたしているという設定なんでしょうか?それともこの世の全てが異常であり、その異常性の中で暮らしているという事なんでしょうか?うーん判らない。

○Entry.16『クリスマスの御予定は?』ショート・ホープさん
句読点が少なくて、はじめの一文が、クリスマスに別れたのかと思った。別れた妻と、クリスマスに会うが正しかった。ラストのポケットの中身はひょっとしたら指輪なのかも知れないけれど、クリスマスの約束は、今年で終わりそうであるのは伝わってくる。伝わってはくるが、何か物足りない。

○Entry.17『青いスカートの女』sucreさん
なんか妙な雰囲気がある。だけど短過ぎる。

○Entry.18『コッペパンの楽園』純田詩露さん
これから何か始まる雰囲気があるが、プロローグ部分のみで終わっているようで残念。そういう意味ではこれで完結した話と考えると、物足りなさを感じる。

○Entry.19『無垢』羽那沖権八さん
話は面白いですが、タイトルを変えた方が良いような気がします。話の展開(オチ)から見ると合っていないんじゃないでしょうか?ラストの羽音は神の御使いが天使だという事なんでしょうか?そういう意味では天使が人類を滅ぼすという設定は面白いかも知れませんが、御使いの出現方法からは天使である必要性は感じませんでした。

○Entry.20『不況脱出』吉原 明さん
そんな事はないでしょう。というのはおじさんの意見かも知れないけれど、株式会社の社員というのは、基本的にその会社の株を有するのが基本ですから、社長だって本来は社員の意見で決めていることになっています。だから株主総会にだって社員は出られるんですよね。(建前上だけですが…)でも、こういう選出方法に関しては議員さんの選出に使って欲しいですねぇ。

○Entry.21『死後の楽しみ』川辻晶美さん
動物虐待をしていなさそうな主人公の所に、何故義母は出て来たんですかねぇ。それともラリーに乗り移っているのを主人公が感じただけなんでしょうか?

○Entry.22『贋・・爺』鮭ニさん
相変らずである。異常(異様)な世界が展開されているが、やっぱり意味不明だ。この異常さは3年前に脳を患ったという事で集約されるのだろうか?この爺の目から見た世界なんだろうか?彼の見る世界を描きだしている鮭ニさんの頭の中も見てみたい。

○Entry.23『体言止めの男』しょーじさん
面白い。1000字のお遊び(失礼?)の中では、随分光っています。いやぁ羨ましい。こんなやり方もあるんですねぇ。感想やってて良かった。

○Entry.24『実力主義?』Defaultさん
Defaultさんがダントツ(断然トップ)のトップなんて言葉を使うとは思わなかったが、まぁいいでしょう、カバみたいな先輩がいったんだから。だけどこういう会社に就職して地球人がどういう職種?をしているかを知らないというのもおかしなもんです。もっとも初めての地球人の採用だという
伏線でもあればねぇ。

○Entry.25『LとJの恋』紺野れんさん
確かにT君だけは左手だぁ。(Gも出てくるけど関係なしといってるからいいのだ)キッスの上にはユーとの愛もあるしね。

○Entry.26『鏡の私』川島ケイさん
面白い。鏡の中の自分が違う存在としてあるというのは良く聞く話だし、鏡の中に入ってしまうなんてのもあるけど、鏡の前に向かっている女性の心理が判るようで楽しい作品になっている。

○Entry.27『焚き火』伊勢 湊さん
夜逃げの事を理解しており、お姉さんがくれた焼き石の暖かさが彼女の暖かさを表しているというのは判るんですが、虎落笛(もがりぶえ)なんて難しい言葉が出てくると、子供の思いとは思えなくなってしまいます。もっと子供らしい感じが出れば良かったんじゃないでしょうか。

○Entry.28『届け出』越冬こあらさん
ラストの離婚届と死亡届が恐い。ひょっとしたら離婚して子供も殺してしまうんだろうか?知らない間に奥さんに不倫されていたという話の様な気もするが、男も根に持つと恐いのである。

○Entry.29『きつねの嫁入り』ウエダカホリさん
兄弟としての愛情が、男と女との愛情に変わってしまうというのはちょっと悲しいけれど、話として読む分には問題ありません。自分達の思いも馬鹿しあいなんだと思おうとしている「きつねの嫁入り」が悲しいです。

○Entry.30『あたらしい朝』一之江さん
グラチャンはやっぱり巧い。爽やかな風が吹いてくるようです。今の境遇はあまり良くはないけれど、これからよくなっていくんだよという。心意気が嬉しい。