第20回3000字感想

 久しぶりの3000字感想です。今回は誰も感想を書かないみたいだし、何だか小説も書けないんで感想を書いてしまいました。1000字と同じように、感想になっていない物や、読み違いもおそらく多いと思います。作品の中には作者の意図が理解できなかった作品もあります。ですから作者の伝えたかった物とは違うというお叱りも出てくるでしょう。私の表現力の問題もありますから、私が受け取った気持ちと違うように読み取れるかも知れませんが、まぁ悪気があるわけではありませんので、気にしないで頂きたい(笑)しかし今回の3000字は全体的に不作だなぁなんて思ってしまいました。それだけ1000字の方で面白い作品に出会えたという事もありますが、3000字を軽く考えている方も多いのではという思いもあります。それでは今回の感想も今まで通り、戯言だと思って軽く流して下さい。

Entry.01『衝撃の肉うどん』あきぶっくさん
ニヤニヤとしてしまった。どちらかというと私はうどんよりもソバが好きだが、大阪で食べた天カレうどんは美味かった。甘口のたっぷりの牛肉入りのカレーと、さくさくの天ぷらとの相性もぴったりで、コシのあるうどんがもちもちっとして…。あぁ涎が出る。あれも350円位だったなぁ。と感慨はいいんだけれども、これは何がいいたいんだろうか? いちげんさんに見えない様に注文する姿が、今の若者(でもないが)の姿勢(判らないものは判らないと言えない?ちょっと悲しい男性:女性なら聞きそうだ)の優柔不断振りなのか、それとも俺もいちげんさんじゃ無くなったという優越感(ちょっと寂しい)なんだろうか? 本当にそういうお店があるかどうかは判らないが、お店の紹介文みたいな感じがしてしまった。

Entry.02『ミナモ』高橋雄一郎さん
読んでいるうちに、ミナモは医者なのかと思ったり、主人公が創り出した幻想なのかとも思ったのだが、謎のまま終わってしまった。結局私には理解できないままである。主人公の不安な気持ちは伝わってくるんだけれども、それを読者に体験させてどうしようというのだろうか? まぁそういうのもありだとは思うし私もたまに書いたりもするのだが、やっぱりこの中途半端な気持ちはいやだなぁと思ってしまう。

Entry.03『空き領域』ラディッシュ・大森さん
軽いお笑いのキャッチセールスの話という所でしょうかねぇ。まぁ3000字だから仕方がないのかも知れないけれども、なんだか1000字でもいいようなネタだと思ってしった。しかし耳の先端に端子を貼りつけただけで、脳の中から記憶が呼び出せるようになるのは、どのくらい先の話なんだろうか?まぁ早くクーリング・オフでも使ってキャンセルするしかないでしょう。

Entry.04『bQ2』jacoさん
タイトルの意味が判りません。誤字脱字が多くて閉口してしまいます。それから延々とグチを聞かされるのは好きではありません。私は小説が読みたいんです。
とここまで書いてこれじゃあいくらなんでも酷過ぎる感想だと思って、作者のWEBSITEに飛んでみた。この作者はタイトルはつけない主義らしく、交響曲○○番というあの番号と同じ形式を取っているようだ。それから投稿されている作品はどうやら短くしたらしい、というか後ろがカットされていた。ラストの電車や犬のシーンはここには無いが、カットする場合には、やっぱり全体を見なおして、どこを切るべきかを見極める必要があると思う。もちろん大事な文章だから、可愛いのは判るが、推敲という作業はやっぱり大切だし、全然違った印象を持つ作品になってしまうのだ。

Entry.05『声』坂口与四郎さん
戦争あるいは事故かも知れないが、悲惨な目にあった人の体験談という形式を取ってはいるが、老人の悲惨さがなんだか伝わって来なかった。内容は理解出来るし、納得も出来るのだが、平和ボケしているからだろうか、それとも十年という月日を経た話からだろうか、なんだか老人の話は風化してしまっているようで、片耳を失った彼の心情には同情さえも湧かず、冷めた感覚しか持てなかった。

Entry.06『夢、あるいは夢の続き』青野 岬さん
自殺の話は嫌いだ。長々と自殺の正当性(自殺するのはこういう理由からだから、必然なんですという主人公の考え)を述べられてしまうと、なんだか落ちこんでしまう。こういうのはただの夢であって欲しい。ごめんなさい。

Entry.07『地震女』オキャーマ君さん
ありがちではあるが、なかなか洒落たオチで面白かった。報道という特異な環境に翻弄される主人公の姿は横道のような気もするが、話を膨らませるには仕方がないかも知れない。

Entry.08『陽だまりの色』橘内 潤さん
おぉ、面白い。この猫が陽だまりなんだというような前半部分で終りにして欲しかった。引越し後の白い猫の出現で、夜にだけいついている猫の孤高の姿との対比をしたかったのかも知れないが、私には余計に感じてしまった。猫がいたから狭いアパートも暖かく感じられたという前半部分が、弱くなってしまう気がする。

Entry.09『チョコレート・サマー』Ameさん
「死の殻」はもちろんニコラス・ブレイクの最高傑作という人もいるくらい有名だが、私はまだ読んでいない(笑)確かパイロットが犠牲者だという話は聞いているから、そのパイロットがチョコレートを投下するのだろうか? ちょっと読んで見たくなった。自殺という私の苦手な話ではあるが、何にでも意味を見つけようとしないで、そんな事もあるんだとそのまま受け入れる大切さは確かに必要だなぁと思えた。

Entry.10『猫弾きと街灯詩人』羽那沖権八さん
タイトルを見て、宮澤賢治を思い浮かべた。話もなんだかそんな感じがする。SFというよりはファンタジー色が強いが、設定が面白い。しかしまるでQBOOKSのバトルのような話だった。「なんだこんな話、全然面白くないぞ」と感想を書かれれば、「なにくそっ」と一生懸命努力して話を書いていく。そのうち偉くなって見返してやるんだと息巻く作家の心意気が嬉しい。私もがんばらなくっちゃね。

Entry.11『乗合バスにて』紺詠志さん
ロボット物ではない(笑)しかしこの語り手が女学生達に何をいったのか不明というのも、読者の想像を掻き立てて面白い。パーティ用のドレスか何かを華やかに着て、ニコニコと笑いながら、小言を言われたので不気味だと思われたのだろうか。女学生が何を言われたのか気になってしまった。

Entry.12『銀の栞を持つ男--ある管理者の手記』津島修一さん
近未来、書物は不要だと焼いてしまうという映画があったが、書物は生き物で、読破する事で沈静化させる。図書館といういわば書物達の無法地帯に住み、彼らの攻撃を防ぐ為の仕事をしているという設定が面白い。どうやら焼いてしまう事は禁じられているようだが、この頃の書物は焼却するなんて事は出来ない意思を持ったロボットのようでさえある。しかし銀の栞を持つ巨人さえ読み違えるという誤りを犯すのだから、私だって間違えるのだ(笑&安心)読書(書物)よ永遠なれ! しかし主人公が書いている文章も又、書物となって暴れるのだろうか? こういう人達が文章を書くというのも恐ろしい。

Entry.13『ヘテロ』るるるぶ☆どっぐちゃんさん
話としては性意識が通常の人とは違う結婚適齢期?の女性同士の他愛もないような話で、私から見ればたいした事件さえおきてはいないんだけど、これは性に対する問題提議なんだろうか? 私には登場する彼女達の性意識(片方がヘテロで、もう片方はヘテロもしくはレズ)なんていう区別さえつかない。性に対する意識とか理解が足りないからだろうが、そういう意味ではもう少し丁寧に、こういうものさと解説して欲しいとさえ思えた。多分、子供なんて生みたくないという薫さんがヘテロであるとは思うけど、ユウちゃんは不明。