第28回3000字感想

 いやぁ、MAOさんも言っている通り、今回の3000字は大変だ。レベルが高い。何だか段々高くなっていくようで、これじゃぁなかなかチャンピオンは夢だなぁ…。なんて思ってしまいます。まぁそういう人は私にでも投票して下さい(笑)いつものように感想とはいえ、感じたままを書いてしまっておりますし、作品の良さと感想の長さとの関係もありません。怒っちゃヤーヨ。という事でご覧下さい。

Entry.01『花がすみ』さゆりさん
どんな酷い事をされても、それでもやっぱり家族なんだよなぁ。突然現れた弟が家のカギを貸してくれといった時に予想はついてしまいましたが、姉としてはやっぱりそんな事は考えるわけもなく、どんな姿になっていても弟はやっぱり弟だからという話しの展開が妙に説得力がある。まぁ内容が飛び抜けているかといえば、どちらかというとありがちではあるし、話の展開もないのと同じなのだが、ラストの母親への思いやりから出る言葉は素敵だった。

Entry.02『主婦のはつ恋』青野 岬さん
今の時代、例え見合い結婚だったとしても、もちろん恋は経験しているだろうから、タイトルの初恋は、主婦になってから始めての恋という意味だろう。主婦という立場ではあるが、だからこそのプラトニックであるという流れが私には嬉しい。冒頭のどんな季節でも主婦の恋する心は報われないが、嘘がそれをなだめてくれるとでもいうような詩が、読み終わってから余計に趣を持ってきた。いとをかし。

Entry.03『恋愛音痴』りんねさん
読み終わって、始めの説明が少し冗長だったかなぁと思って見直したら、『鍵を返して』から始まっていて、なんだラストの事じゃないかと気付いた(笑)さらっと読んでしまったからだろうが、読みなおしてみると前半と後半では読み易さが違っている。多分説明主体と会話主体という構成がそうさせるのだろうが、読み易さ重視を取っている私には、いつもストーリーの構成を考える時に、おもいきってその構成を壊して、全く違った(読み易さ主体)に考えなおすというのも、良いのかも知れないなぁと思った。これから書く時は少し考えてみよう。

Entry.04『きれい』紺野なつさん
まさか本当に綺麗に変身してしまう話になるのかと思ったが、あばたもエクボ式の結末で少し安心(笑)綺麗だとか可愛いなどという表現とは別に、味わいがあるという表現がある容姿だが、性格などで随分顔付きは変ってくる。この主人公もこれからどんどん綺麗になっていくんだろう。心を満たしている顔は他人が見たって美しい。

Entry.05『春色マジック』繭さん
可愛い。こういう話しっていうのもいいです。今回の3000字は凄いことになってる(嬉)生八つ橋が出てきたところで、いったいどんな展開になるのかと思っていたら、普通の展開でしたが、だからこその作品です。ラストでは幸せになっているらしい主人公というのも好感が持てました。

Entry.06『黒き戦慄』ごんぱちさん
久しぶりの北海道学生時代物だ。懐かしい(笑)登場人物の名前は…。流石に昔の作品を探してまで読みなおそうとは思わないから、同一人物かどうかは判らない(笑)でもやっぱりこういう学生時代の話しというのは懐かしさが漂っていて、読んでいていいなぁと思ってしまう。
カラオケオフ!?で会った時に聞いたら、なにげにシリーズものとして意識しているようだ。登場人物の設定は同じだけれども名前は変えてあるらしい。空猫といい、この北海道の学生物といい、シリーズ物というのも魅力がある。私も何かやってみたいなぁ。と思ったら、私も猫が主人公の奴があったじゃないか?あれ?そういえばあれは昔話シリーズだけど、私の今回の話しも昔話だ。ということは私は昔話をベースにしたものを何かやろうとしているのかも知れない。感想どころか自作の宣伝をしている(爆)

Entry.07『桃姫伝説』自作
いやぁ、恥ずかしい。3000字で書き上げた「桃姫伝説」があまりにも陳腐だったんで、手直しして自分でツッコミを入れてしまいました(笑)しかし子供向けの少しエッチな昔話というのは絵本とか写真付きなら売れるかもしれない(笑)しかし最近下ネタが多い。

Entry.08『太陽 地上』るるるぶ☆どっぐちゃんさん
時事ネタではあるが、面白い。もちろん時事ネタが悪いとは思わないし、戦争が始まってそれに感化され書くという事は、自分の思いを伝えるという意味で正しいことだろう。しかしこの作家はなんだか最近(今年に入ってからか?)初期の頃の作品と少し違ってきている気がする。成長していく姿を見るというのもいいもんだ。

Entry.09『この老桜、咲けとこしへに』伊勢 湊さん
相変らず良い話しを書く人である。もう言うことないから、穴を探すしかない(笑)まず、誤字を見つけた(笑)がこれは可愛い。伊勢さんらしからぬ誤りである。きっと仕事が忙しかったんだろう。冒頭の「あの日、二人の孫をあの」とある後ろの方の「あの」は、
今ある(植え替えられた)桜なのかと勘違いして少し戸惑った。というのも、Qの投稿作品の多くが、始めに現在の事を描写して過去の話に戻るという展開が多いからだろうが、そう考えるとQ投稿の作家のストーリー展開がパターン化しているのかなぁ、と思ってしまった。自分の読み違いであるけれども、これからはパターンを無視する方向を模索していこう(笑)

Entry.10『サイバネーションはニューロの夢を見るか?』橘内 潤さん
このタイトルはもちろん「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という旧タイトルの「ブレード・ランナー」からのものでしょう。ストーリーも考えてみればSFによくあるパターンだなぁと思ってしまうんですが…。やっぱりSFを書くというのは難しいとは思うんですが、オリジナリティが欲しい。そう思ってしまうんですよね。推理小説だって、今じゃ謎解きよりも人間ドラマ仕立てが主流じゃありませんか、あれって結局は謎解きが流行らないからという理由だけじゃなくて、自分じゃ考えつかないという事が原因のように、私は思っています。まぁそれだけ難しい分野であるのに、あまり人気がないというのは、作家にとってみれば大変な事ではあるんですが、SF好きな私としては、こういった昔流行ったSFなんかを書かれてしまうと、どうしても厳しくなってしまう。

Entry.11『島』林徳鎬 さん
冒頭の主人公達のどうにかなるさという考えが、なんだか妙に現実っぽくていいです。途中でいなくなる奥さんが、主人公を食べてしまうんだろうなぁと思わせるラストも、妙に恐いし、喰う為に生きるのか、生きる為に喰うのかといった窮極の選択も、人間として生きられないならどうなるのだろうと思うと、考えさせられてしまう。