第38回1000字感想

 実は今回は早い時期に、一読した際の感想を書いていたんですが、仕事の関係もあって2度目読み?が遅れてしまい掲載が伸びてしまいました。今回も今まで通り、好き勝手に感想を書いています。中には判らないと書いている読解力の無さを提示してしまっているものもあります。作者の意図したものと違う受け取り方をしている場合も多いと思います。まぁ読解力がそんなにあるわけではありません。ただ年をくっているいるだけかも知れません。ですからあまり気にせず、軽い気持ちで読んで下されば幸いです。感想の長い短いに他意はありません。

Entry.01『計算可能』蛮人Sさん
実は私も計算とまではいかないが、数を数える話を書こうと思っておりました。線路のかね?が鳴ってから遮断機が動き出すまでに16回。動き出してから閉まるまでが13回。駅の改札につくまでの歩数が2734歩なんて、ずーっと数を数えてる男の話なんですが、先を越されてしまったという感じです(笑)しかしこの話は計算可能な事なんてあるもんかという別の話になっているようでもあり面白い。

Entry.02『前略 齋藤先生』ユキコモモさん
手紙風にするという、あの「姉さん、事件です」の分類なのだろうが、先生を慕うという反面、何故か主人公がこの話の後、壁の中に入ってしまった理由のようでもある。やっぱりこれは事件です。

Entry.03『治療法・万歳!』羽那沖権八
お茶の間クッキングかぁ。しかし笑った。種痘と酒盗で、確かに聞いただけじゃぁ判らない。美味い。いや巧い。

Entry.04『ソースのある食卓』橘内 潤
軽いありふれたオチだけれども、笑ってしまった。こういう味を加えるソースというのは小説ならではだなぁと思う。

Entry.05『シェルブールの雨傘』るるるぶ☆どっぐちゃんさん
タイトルから受ける、せりふも全て歌というミュージカル映画とは違った印象だが、シェルブールはビデオ屋さんの名前だろうか?

Entry.06『メール巷間』自作
ひぇーっ。メールを打つのに音なんかしないぞ!

Entry.07『強がり』さとう啓介さん
トイレから始まるシーンでびっくりしたが、明るい感じが楽しい。牛乳のシーンでは、とんねるずの番組を思い出してしまったが、描写される女性の笑わせるための顔をやってみたが、そんなに面白くなかった。これはきっと可愛い女性がやるから面白いのだろう。

Entry.08『少女』RIVER FILEDさん
始めの主人公の心情から、爽やかさを表現する話に切り替わるのはいいとは思うが…。主人公のイヤな奴というイメージが拭い切れない。まぁそんな男でも成長していい男に変身するのだろう。今は空でも見ていなさい。

Entry.09『夜明けのキリン』青野 岬さん
夜明けのキリンかぁ。と情景が浮かぶ。始めの「あの頃」という思い出話にしては、ラストが妙に今起こっているようで少し違和感があった。しかし最近は流石に徹夜作業は身体が持たない(笑)

Entry.10『神様の憂鬱』黒男さん
横光利一の名前くらいは知っているが、彼の作品は読んだ事がない。小・中学の時に読んだ家にあった日本文学全集には入っていなかった(笑)これは「日輪」を読んでいると又違った味わいがあるのだろう。これを機会に読んでみようかとも思う。しかしこの作者は前回はシェークスピアだったのを考えると、次は誰なのか期待してしまうが、嘘と本当が入り混じった本当っぽい話ではなくて、まるっきりの嘘の話も読んで見たい気がする。

Entry.11『明日へ』Makozさん
小学校の先生も粋な事をするなぁ、とは思うが、設定としてはありがちかとは思う。でもラストの一行だけでは、何だかただの郷愁に浸っているだけで、明日へという意思としては弱い気がした。

Entry.12『ホットドッグスタンド』林徳鎬さん
悪意を自覚していてやっていないとしたら、恐いが、やっぱりそれは美味しいとはいえないだろう。夕刊の三面記事の紹介という形を取っているが、ナミゲーターの役としての最初の話ならば、途中は、ホットドッグスタンドの男の言葉で進めても良かったと思った。

Entry.13『バスドライバー・5』有馬次郎さん
踊らされやすくて、目立ちたがりやのドライバーは楽しいが、その楽しさにはアクが感じられなかった。もっともそんなものは無くてもいいとは思うんだけど、自分の作風のせいか少し物足りなく感じた。

Entry.14『私の友達』悠花さん
何がいいたいのか判らなかった。まるで詩を読んでいるようにも感じる。あくまでも主人公の「私ひとり」として書かれているという話からすると(ラストでも「私は…彼と手をつないで…家路へと向かって」となっていて、私達ではない)彼氏がいても、風と友達と思っている寂しい存在、ひとりぼっちだと感じているという話なのかなぁとも思う。

Entry.15『ラヴアンドピース はっ 醜男が』青山達哉さん
軽く書いた文章のように感じさせる文体だが、何故か軽さが感じられない。始めの方では古い文体を使用していると思ったら中盤から今風、古いか? 現代風の口語体になっており、酔った感じは表現されているし、文章も酔っ払っているようにも感じはするんだけれども何故か読んでいて酔えない。

Entry.16『熱帯夜』卯木はるさん
セックスなんて、好きな相手ならば、どんなに下手だって良いっていいますから、きっとこの女性は愛する人を求めながら、恋をしない寂しい人なんでしょう。男にとって、遊ぶ相手としては申し分ありませんが、やっぱり悲しい事だなぁと思ってしまいます。熱帯夜なのに、心は冷え切っているというタイトルとの関係も面白いと思いました。

Entry.17『シロのこと』キリハラ キリオさん
お嬢ちゃんと呼ばれるのに、ビールも買える年齢で、全裸の男性を冷静に見ているのだが、シロは何者なのだろうか? 犬なのか人間なのか?「園長」と呼ばれるのは愛称なのだろうか? 登場している人達でさえ地球人なのかもとうかもわからない。不思議だ。

Entry.18『僕はノープロブレムだ』ラディッシュ・おおもりさん
抜かずに10発とは凄い。なんて始めはSEXの話じゃなくて、何かのオチが待っているのかと思ったけど義母とのSEXの話のようだ。で、ラストが判らなかった。「いつか、あいたいね」というのは誰にだろう? 再生された主人公の子供である自分の事なのか?

Entry.19『秘密』さかな☆さん
秘密を孕んで大きくなるお腹というのは面白い。しかし読んでいて何故か他人毎のように感じるのは、きっと語り手がお腹が大きくなる女性ではないからだろう。主人公が女性だったら、もっと困惑感が出て面白かったんじゃないだろうか?

Entry.20『樹と、葉』てこさん
途中まで楽しいフェアリーテイルかと思ったが、マザーグースだった。というのが一読後の感想。樹と葉という一つの身体に別の意識を持つという考えは斬新だったが(だって葉は人間でいえば、手足とは違い、髪の毛のようなもので、離れていっても樹にとっては問題ないような気がする)親子という観点からみると、親の心子知らずという、単純な図式のようにも感じはするが、旅人は本当に通りすがりで、彼らに何も残してやれていないという、他人はあくまでも他人なんだという感じがしてしまった。

Entry.21『帰宅』なぎやまたけしさん
笑った。こういう身近にある事を題材に選択できるというのは、羨ましい。こういうのって柔らかい頭じゃないと、なかなか思い浮かばない。しかし遭難するのかと思ったが、そうなんらずに良かった。

Entry.22『もすこみゅーる』SAKURAさん
行きずりの男に身を任せたくなる女心(いやぁそんなのは都合よく勝手に作った言い訳だぁ)は判らないが、どんな結果が待っていても気にならない程に心が病んでいるというのは悲しい。途中の「─あたしは、あなたに愛されたいのに…」という「あなた」は、別れた又は離れている彼氏のこととも読めるが、そうなると、傷心の女性が傷を癒しているという事なんだろうか? だとしたらもっと、ぱぁーっと明るく発散して欲しい。

Entry.23『勘違い』3月兔さん
笑った。常識的な事柄ではあるが、それを知らないというのと、ラストのお愛想には笑いました。しかし、「おあいそ」という言葉は元々客商売の中の隠語だから、客に対して使う言葉じゃないという店主の勘違いのオチも二重に面白い。

Entry.24『アシンメトリーチャイルド』Ameさん
左右対象のシンメトリーにかけたタイトルだが、タイトルが気になって内容に身が入らなかった。彼女の弟だから、子供じゃないだろうなんてツッコミをいれそうになるが、親子程も違う年齢の弟だから仕方がない。しかし話の内容としては面白い。少し気になったのは、「誰も間違えて居ないと皆言った」という文章だけれど「夜、夜空を見た」というのと一緒です。

Entry.25『僕とミカのことで』アナトー・シキソさん
うーん。こうして話は1話にもどるのでしょうか?しかし「 」部分と【 】部分が微妙にクロスしていて面白い。【 】部分なしで読んだり【 】だけ読むと又違った話になっているではないか。しかし主人公は死んでるんですか? 一体この話はどうなっていくのだろう。