第43回1000字感想

 今回の感想は随分遅くなってしまいました。先月と同じように何度も読んでいて遅くなったわけでもないのですが、仕事の関係で遅れた。という事にしておきましょう(笑) 今回もいつものように好き勝手に書いていますし、感想になっていないものも多々あります。作者が意図したものと違う受け取り方をしているものも多いでしょう。まぁ読解力の無さがそうさせているわけですから、こいつはこの程度だと思って頂ければいいと思います。多分そんなにヒドイ事は書いていないと思いますが、あまり気にせず軽い気持ちで読んで下されば幸いです。それから私が読んでどう思ったのかという事であり、その作品の良し悪しと相関関係にあるわけではありません。それから私は人の文章を添削出来るほど巧い文章がかけるとは思っておりませんので、作品の書き方に対してのコメントは避ける傾向にあります。私はあくまでもストーリー重視の読み方をしています。

Entry.01『思い上がり』さゆりさん
こういう女性って現代には結構いるんだろうなぁ。なんて思ってしまった。他人を思いやっていると自分では思っていても、それが本当は少し見下しているというキツイ言い方になってしまうかも知れないけれども、そういう感覚になってしまっているというのは、誰にでも在り得る事だ。まぁ結婚を考えた時に、何故結婚したいのかという本来の気持ちを流されないで確認しないのが悪いといえば、それまでではあるが、まぁそれだからこそこういう話しが出来る訳で、テレビのホームドラマみたいでもある。

Entry.02『俺とキリコA〜格闘編〜』フラワー・ヘッドさん
えぇっ?やっぱり続くのぉ? で今回も女性が強いのは何故だろう。まぁ、そういう設定での話しというのも面白いけれども、どうせ女性同士の戦いならば、少しのお色気位が欲しくなってしまう(笑)

Entry.03『あずまよういち』narutihayaさん
読み進むうちに、あずまよういちって漢字にしたら東洋一だなぁ、世界一じゃないところが可笑しいが…。なんて思っていたら、そのままのオチだった。まぁタイトルまでひらがなだから気付けよっていわれればそれまでだけど、こういうのって、やっぱりラストまで気付かない事が重要な気がする。

Entry.04『濠中問答(小説 荘子 其の一)』黒男さん
親友同士だからこその会話であるが、推理物の御手洗潔シリーズを思い出してしまった。荘周の人を人とも思わないような感覚が覚者(天才)と凡人との対比として表れて魅力的だ。こういう話しって好きです。しかしこれは掟破りのシリーズ化に突入するのだろうか(笑)

Entry.05『疑心暗鬼』青野 岬さん
家には雛人形はないけれども、女房はお雛様を欲しがってはいる(笑)もちろん飾るような場所はないから、段飾りではなくて、2体だけの小さな、けれど立派なのが欲しいらしい。

Entry.06『Aマイナー』柏木さん
女のような指を持っているのだから、もちろんツルミさんは男性だろう。いたずらのはずのキスが、長くて甘いのは、主人公の感覚だけで、本当は短いものなんだろうと思いたい。イケナイ世界に足を踏み入れたという感じではないだろうが、なんだか少し不安になった。しかし、Amで終わる曲は納得がいくが、古い私はAm7で終わる曲は許せない(笑)なんだかまだ続くようで不安定過ぎるからだ。せめて、Am7ならばその後はDへのコード進行にしてくれ! それでも駄目ならAmai7で終わるのならば許す(笑)

Entry.07『猫を待つ』満月うさぎさん
死というものへの誘い(というよりはお迎え)の話しのようだが、ラストが判りずらい。というもの、死んでしまったらしい旦那さんがお婆さんを迎えに来たのならば、お婆さんが直ぐに気付かないというのは変だし、すれ違っては意味を成さないからだ。自分には見えなくなった男性が、まだお婆さんには見えるというのも、そういう意味では同じように感じてしまう。

Entry.08『歌わないうた』alumaさん
スプートニク2号で旅立ったクドリャフカの話しをモチーフに創作したのでしょうか? 誰もいない所で寂しく逝ってしまうという悲しみではありますが、ラストで二人の少女としてひっそりとではあるけれども、おだやかに存在するという情景が、歌わないうたではあっても救いがある。

Entry.09『蒼き春』さとう啓介さん
わぁ、悲しいです。青春時代の友人との別れ、しかもそれが死という原因だというのは辛いです。ここはどこでしょう?なんて問題があった時に、場所を探す目的で読んでしまった時には、内容が判らなかったけれども(笑)こんな悲しい話だったなんて、ちゃんと読まなくっちゃいけないやねぇ。

Entry.10『そして誰もいなくなった』sankan4onさん
タイトルだけだと有名な推理小説だけれども、確かにこうやって誰もいなくなってしまうのです(笑)とはいえ、私の家ではゲームは誰もしません。強いていえば、私がパソコン付属のフリーセルをするくらいでしょうか。ラストの意外性という点では、息子よりもゲーム進行が早いなどというオチかとも思ってしまいましたが、こうやって誰もいなくなったというオチの方が、確かに現実的で怖い。しかしこの話しを読んで書いてみたい話しの案が2つも浮かんでしまった。そのうち使ってみよう(笑)

Entry.11『喫茶店』立花聡さん
ミステリー仕立てにしているからだろう、どうなるのかと読む興味を起こさせる。これは大事な事だと思う。1000字にする為にだろう、長い段落で読み難いと感じる箇所もあったが、普段使わない漢字を避けているのには感心させられた。ラストの人違いという結論はミストリーとしては面白くはないのだが、ツバメというなんとも心温まる話しになっていて好感が持てた。

Entry.12『兔月伝説(とげつでんせつ)』堀井安樹さん
1000字だというのに、伝説としてのお話という形で終わらせず、その成り立ちから主人公の境遇そして昔の彼への想いと、目一杯詰め込んでいるからだろうか、話しのピントがハッキリしない感じがした。Q書房の投稿作品にもいえるのだが、少しだけの内容を広げるという書き方(文学っぽいのかな?)とストーリー重視で、話の展開を優先させるという2局に分岐する傾向にあるようだ。私はもちろん、ストーリー展開の面白さを狙っているから、この作品に近いと思っているが、そういえば私の作品も明確な意思表示がない作品が多いなぁと考えてしまった。

Entry.13『夜に沈む』日向さちさん
タクシーに乗った男に運転手が聞いて、疲れている風の客の理由がぼそっと「人間関係」と答えるCMを思い出した。私はもちろんお風呂は好きだ。その日の疲れが取れるようで、思わず「はぁーっ。極楽ごくらく…」と言ってしまいそうになるが、身体を洗わなくてもいいから、湯の中でぼけーっとしていたい。しかしそんなお風呂が、夜の重さを感じて泣き出してしまう程疲れているという感覚はラストで「そういう夜が、たまにある」という少しだけの救いでは救われないほどに、主人公の辛(つら)い状態がわかる。こういう話しというのは、救われないからこそいいのだろうし、猫の声や鼻血などという、現実っぽい表現をしているからこそ、主人公が味わう恐さが見える気になる。こういう話しは好きではないが、面白い。ただこれが本当の今の作者の気持ちだとしたら悲しい。「ガンバレ」という声援は頑張っている人に対して失礼だとは思うが、こういう作品を読みたいと思う人だっているはずだから、早まったマネはしないように。

Entry.14『Good bye,BOY』川辻晶美さん
なんだか久しぶりに川辻さんの作品を読んだような気がする。こういった一般的でない世界を表現するというのは、そういう世界を知らない読者(もちろん私も含む)の多い中で、興味深い題材ではあるが、その中でよく判りやすく書けるなぁと感心してしまう。ラストでの「やだ。女みたい」というせりふや、自分の事を「僕」という主人公が、女性になりたいはずなのに、やはり自分では男だと自覚しているという、なんとも悲しい性がいいです。

Entry.15『瀬戸際』戸田一樹さん
サイレンを鳴らして走っている救急車に乗っているのが彼女だという話しなのかと思っていたら自分で、しかも意識は既に身体を抜けているというのには驚いた。

Entry.16『2055 Death』藤政 慶さん
実は私、昔こんなの書きました。という事であんまり新鮮さを感じなかったんですよね。もっとも私のは死刑じゃなくって、自殺なんですが、死ぬ何秒かの間に、何百年もの長い理想の夢を見て終わるというものでしたが…。実はそれもある作家の作品を自分なりにアレンジしたものでした。その元ネタは死刑だったんです。凄く残酷な夢を一瞬で見させて、いうなれば一種のショック死を迎えさせるというものでした。外からみれば一瞬でも本人には長いながーい時間の拷問のようなものだという話しでしたが…。まぁ、同じようなことを考える人はいるのだという事です。だからといって、面白くなかったのかといわれれば、そうではないのですが、死刑の方法を自分で決められるという点は気にいりました。

Entry.17『つまらないもの』ごんぱちさん
うーん。このオチはつまらないです。あっ!つまらないオチだからつまらないものなのか。うーん、やられた、のか…!?下の作品を読んでいたら、「詰まっていないってつまんない」なんていうのが出てきた。何も入っていないというのもありかも知れない(笑)

Entry.18『フィドル』第1素描室さん
タイトルの「フィドル」って何でしょうか?ヴァイオリンの事をフィドルっていうのは聞いた事がありますが、まさかそれじゃないですよねぇ。離れているらしい恋人という設定が、本当に恋人なのかという疑問さえ浮かぶような、現代的でない関係のように思えてしまいました。というのも遠く離れていた場合に、留守電だけの声では私には耐えられないだろうと思えるからです。そんな状態をずっと続けているというこの不思議な関係が、私には理解できませんでした。それともこれは主人公が勝手に思いこんでいる妄想なのでしょうか? しかしそんな風には私には読み取れません。彼らの関係がわからないという所で行き詰まってしまっているから余計に何が言いたいのか判らないという結果になってしまいます。

Entry.19『手紙』下圭さん
うーん。これは本当に手紙のようです。で手紙の様であっても一向に構わないんですが、この彼女の心情はなんとなく理解出来るつもりでもありますが、だからどうだという、小説としてのストーリーというか起承転結がないんじゃないでしょうか? もちろん起承転結がないという斬新な形式でも構わないでしょうが、ストーリー重視の私には小説だとは思えませんでした。

Entry.20『男のからだは巨大な橋だった』林徳鎬さん
この三角錐ってクラッカーですかねぇ。しかしそうだとしても他の設定が丸っきりわからない(笑)逆に判らないからこその面白さというか、不安定感とでもいうべき味わいがあるんですが、やっぱり私は理解したい。

Entry.21『あい/はーと』橘内 潤さん
人間が死ぬと天使になって、そのまま生き続けるというのは、なんだか恐い気もしますが、そういう設定のように読んでしまいました。死んでしまった彼女は、天使という名の良く出来た人間像になっているようだが、やっぱり人知を超えた、理解出来ない存在になっているという設定を考えてしまうのだが、こういう設定の方が、愛するという事の大切さとでもいうべきものを書こうとした時には、いいのかと納得してしまった。

Entry.22『天下泰平』自作
ごめんなさい。何がいいたいのか全然判らないですよね。山田風太郎の「魔天忍法帖」を読んで感化され、なんだか変革歴史物とでもいうべきものが書きたくはなったんですが、知識もないのに書けないから、こんなになってしまった(笑)って本当は笑いごとじゃない。

Entry.23『胃の中に重いなにかが充満してくる。』アナトー・シキソさん
何回か読んでも、話しの内容が理解出来ないときには、あまり理解しないで感じたままをそのまま受け入れられるようにしているつもりなのだけれども、この作者の話は、いつも理解できそうなのに私には理解出来ない不条理な世界だ。一読して、なんだかドッペルゲンガー現象でもあったのかとも思わせる内容なのに、なんだかそれだけとは言えない何かがあるという感じにさせてしまう。この何だか判らないところが魅力なのだが、やっぱり理解したいなぁ。

Entry.24『黄昏の日々』蛮人Sさん
いいねぇ。人類の終末の話。しかもそこにはロボットと人間が一人という設定で、人間はたそがれている。ひょっとしたらこの後、彼らの生活が一変するかも知れない事件が起こるかも知れないし、このまま朽ちていくのかも知れないが、こういう雰囲気好きです。

Entry.25『ジェルソミーナ ジェルソミオ』るるるぶ☆どっくちゃんさん
今回はフェリーニの代表作ともいうべき「道」のパロディだが、今回の話しもなんだか雰囲気があって良かった。もちろん彼の芸は縛られている鎖を切って抜け出すというあの力技なのだろうが、読み方によっては、キリストがハリツケにされてでもいるような感じさえ受ける。

Entry.26『いつかその日が来たときに』カビパラさん
うーん。嫁と姑との関係というのは、やっぱり他から見ると恐い関係だ。それが実の親子でない分だけ少し冷たくて、そして仕方がないという諦めもある。男としてはこういう話しには気が滅入る。

Entry.27『ソラヲオモフ』伊勢 湊さん
えぇ? 天王星ってハーシェルが発見したんじゃなかったんだぁ。というかこれが創作かどうか判らないので一先ず置いておこう(笑)確かに今の日本は、言われ続けるだけで何もしない国だもんなぁ。とはいえ、他の誰かが変わったとしても、政策が変わるわけじゃないだろうし、逆にもっと危険な立場になるかも知れない。我々サラリーマンは、会社が倒産しないように気をつけながら、定年になっても年金も出ないかも知れないと老後をどうしようかと悩み、もう政府なんかいらないんじゃないかとさえ思いながら節税も出来ずに税金はしっかりと取られ…。なんて事を考えると、もう嫌になってきた。これは楽しい話しでも書くしかない。