第44回1000字感想

 今回の感想は随分遅くなってしまいました。今回は仮面舞踏会の盛りあがりもあってか読むのが遅くなってしまいました。今回もいつものように好き勝手に書いています。作者の思いと違った読み方をしている場合もあるとは思いますが…。と、もういいでしょ(笑)毎回理由をつけるのも何だか変です(笑)

Entry.01『愛しのメープル様』あめえばさん
水鳥でないらしいこの鳥の足がカエデの葉に似ているとは思えないが、そういう事はどうでもいいと思う。ようはこの話しが何をいいたいかなのだが、「良く考えて行動しろよ」という事なんだろうか? わざわざ鳥を主人公にした理由が判らない。

Entry.02『謀(はかりごと)』さゆりさん
途中の文章がラストを余りにも暗示し過ぎていて、これは予想と違うどんな違った展開になるんだろうと思ってしまったが予想通りで少し残念。

Entry.03『かくれんぼ』青野 岬さん
東芝サイクロン式クリーナー(紙パック不要)なんて出てくると、これはどこまで飛んだ話しになっていくのかと期待してしまったが、こじんまりと纏まってしまった。話しとしては親子の様子が可愛いのだけれども、せっかくの三代目かくれんぼプロを育てる訓練なのだから(笑)もっと弾けても良いかなぁと思った。

Entry.04『夢想』とうみょうさん
始めに出てくる男の描写が長いと思ったら、ラストで出てくる私と同一人物で、途中の話は夢想だったのかぁ。と面白い雰囲気ではあるけれど、この夢想の引きがねになる要因が書かれていないから、場面展開が違和感だけでは少し弱いのではないだろうか? 例えば彼女は白いビニール傘を持っていてそれが電柱の明かりでキラリと光り、刀身に見える等といった何かそういうものが私は欲しい。

Entry.05『初恋』浅田壱奈さん
余りにもストレートで少し照れくさいです。彼女の病気が何であるか判りませんし、薬草を手に入れれば助かるのなら、簡単じゃありませんか。でもそれが簡単だと感じてはいけない話しのような気がします。でも「俺の答えを…」と結論を出さなくても、タイトルが初恋ですから、もちろん彼女にはOKの返事しか考えられません。でも予想とは違う展開への話しになる等という、変った展開の話しの方が私は期待してしまいました。

Entry.06『僕のポピー』下圭さん
何だかさーっぱり判りません。ただ単に思いつくままに文章を書いているだけのような気がしてしまいます。それでもその文章を読んで、気持ち悪くなったり悲しくなったり笑ったり怒ったり、何でもいいから感じられればいいと思うんですが、???というマークしか沸かない。

Entry.07『トゥモローランド』繭さん
うーん。向かい会う彼女は自分の分身だという事は読んでいれば理解出来るから、ラスト(誰もいない車内で…以降)は余分な気がしてしまった。あぁ添削するつもりはないんです。でも例えば、大きくなった彼女が昔の事を思い返して、二十歳になる一日前の彼女に「笑顔でいなさい」なんて言う設定にするのも面白いかなぁなんて思ってしまったものですから…。

Entry.08『離陸。』第一素描室さん
カゴの中の鳥を放すなんて、なんて可哀想な…。と思っていたら笑ってしまった。十姉妹の方が上手だった(笑)。十姉妹というと、赤塚不二夫の「おそ松くん」を思い出すが、昔は言えた六つ子の名前を、今では言えなくなってしまった(涙)

Entry.09『意志のない男』ムーロマチコさん
面白い。始めはせりふだけだったから、又かよ〜っ、と残念がっていたけれど、途中でどんな話しになるのか興味津々であった。ラストのオチには笑った。

Entry.10『クリーム色』日向さちさん
発想が楽しい。クリーム色に対して好きではないという感情がありながら、ラストでは幸せになっていて欲しいと思う女性の心理とでもいうべきものが、果たして主人公は何色なんだろうかと思ってしまった。私は余り派手ではないが少し落着いているクリーム色は好きだ。

Entry.11『マグリットの石』道人さん
500マイルというと800キロ以上だけど、この500マイルというのは一体どういう意味だろう。まさか時速とは思えないが「針は500マイルを越えていた」なんて文を見ると速度なのだろうか? 国産のバイクにマイル表示というのも違和感がある。タイトルのマグリットは画家のマグリットだろうか? だとしたら現実的でない現実とでもいうべき話しなのかも知れないが、実際の地名などが出てきてしまうと、なんともそうとも言いきれない気がする。よく判らない。

Entry.12『帰郷』有機機械さん
京都が故郷となってしまった主人公にとっては、親の住む田舎は郷里ではないんですね。いいたい事は判るつもりですが、そういう事が延々と書かれているだけだと、ストーリー重視の私としては面白さが判りません。1000字とはいえ、小説なのだから、作者の想いをそのまま読むというのは好きにはなれないのです。だから私はエッセイが嫌いなのかも知れない。

Entry.13『spring doll』さとう啓介さん
ラストのどんでん返しは面白い。「♪異人さんに連れられて行っちゃうの」かと思った(笑)しかし、さとさんがこんなオチを用意しているとは思いも付かなかった。途中のマッチのシーンは良く聞く話だから、オリジナルではないと思うけど、たまにはこういったオチの話しも書いて下さい。

Entry.14『悔し涙』Ruimaさん
三月さん早く書いてよっていうラブコールですよ、これは。たまに掲示板に顔を出すようだけど、早く彼の作品も読みたいなぁ。で、登場人物が三月でないとした場合の作品だけれども、手馴れているという感じを受けてしまう。それが悪い訳じゃないけれど、なんだかもう少し冒険してもいいんじゃないだろうか?

Entry.15『花のない景色』alumaさん
ストレートな恋文という所でしょうか。私の好みではありませんが、素敵な感じがしました。何を書こうか迷うと昔はきっとこういった恋とか愛とか、そういった話しを書いたろうなぁと思うと、作者の若さが伺えて好感が持てます。

Entry.16『パーティ(狂気)』自作
なんだか話しにもなっていない。自戒。やっぱり今回の投稿は控えるべきだったかも知れない。

Entry.17『運の悪い違反者』ごんぱちさん
面白い。と書いてしまうと何でも得票が悪いらしい(笑)しかし面白いものは面白い。もうプロの作家みたいなもんだから特別感想はいらないでしょう。オフ会お疲れさまでした。私もビックカメラでは、ポイントで買わないで、現金で買ってロハ(古い)にならないかなぁ、なんて思った事もありましたが、当たったためしがない。

Entry.18『雨』林徳鎬さん
何だかまるで詩のようです。一字下げがないからそう感じるんじゃなくて、そんな感じを受けました。雨が相手を区別して落ちるなんて有り得ないとは思うけど、なんだかそういう降り方があってもいいなぁ、と思ってしまった。

Entry.19『24』橘内 潤さん
夢を見るのは男で、現実的なのは女という事でしょうか。もっとも現実的になれない男の悲しさを、女が可愛いと思った時に、その女は恋をしている状態なのかも知れません(笑)

Entry.20『吐き出したモノは飲めばいい』アナトー・シキソさん
この飄々とした文は、やっぱり参考にすべきだろう。声を無くしたという設定で話しを進めるのに、こんな風に書いてしまえるというのは羨ましい。なんでもなかったような態度のお巡りさんとの遣り取りだけで面白くなってしまうという書き方で、私がよくやってしまう駄目な文章も少しは良くなるかも知れない。

Entry.21『鞄の鳥』土筆さん
始めに詩があるせいで、これが只の妄想というか現実ではないと言っているように思えるんですが、だとするとこの主人公は単に、会社に行くのが嫌で女に食わせて貰いたいなぁ、なんて思っているという事でしょうか?よく判りませんでした。

Entry.22『屍骨 闇に消す』藤政 慶さん
ストーリーの展開は面白いと思いますが、ラストで突然出現する麻紀さんは以外性を越えていて、唐突過ぎると思います。途中に伏線でもあれば(あるのか?)面白いとは思うんですが、違ったラスト(例えば、日本中に病原菌が広がっていったとか…笑)でもあれば、又違った作品になってしまうのでしょうが、これは途中を削ってでも麻紀さんとの思い出とかを挿入しないと出来の悪い独り善がりの推理小説のようです。

Entry.23『みらいのなみだ』隠葉くぬぎさん
「未来の涙」というよりは「未来の為の涙」ですかね。明るい未来へ向けての過去との決別の為の涙は、女性に取っては必要なのかも知れないけれど、男は泣くもんじゃない。なんて育てられていると、同情というか、どうしていいやら判らないというまどろっこしさがあります。

Entry.24『幼女回想』立花聡さん
「次女の一歳の女児」がどうにも気になってしまった。一歳というのは12ヶ月以上の乳児であろうと思われる。もちろん成長には個人差があるけれどもママとかパパくらいならば喋れるのではないだろうか? 次女は女と決まっているし…。とあまり話しとは関係ない(ごめんなさい)こういった乳児に言葉を発っせないだけ(?)の存在としての発想を持たせるという手は面白いとは思うし、私も何度か書いているが(とはいえ未発表ではあるし大人の感情を持っていた)だから余計に発想だけのような気がして残念さが残ってしまった。

Entry.25『瞬間、女は冷ややかな獣になった。』棗樹さん
これはやっぱり殺人でしょう。それも故意の殺人です。出刃じゃなくて、柳刃を選ぶとか肋骨にぶつからないように寝かせるなどといった事を考えるというのは、やっぱり冷静だったんです。と言っても検事ではないから彼女の罪を告訴するわけではありません(笑)しかしこういった冷静でいられる主人公という設定は面白い。スキーカバーがそんなに大きくないとは思うし、巧く全開するような形状というのも出来過ぎのような気もするけれども、まぁそんな事はいいでしょう。面白かったというか恐かった。

Entry.26『空模様』越冬こあらさん
一読した時は、空というのは仲間の名前というか暗号名で、気象を調整している仕事なのかと思ったが、読み直したら本当の空の事であって、主人公はただの調査官なのに空になってしまうという離れ業じゃないかと、こあら氏らしい作品に唸った。流石に変身物もここまで来ると大変だ。冷蔵庫だったりするのには何となくイメージが湧くのだが、空に変身というのではウルトラマンになるよりも凄い(笑)

Entry.27『ややこしい国』まーまれーどさん
面白い作品だと思うのだが、判り難い。言葉の意味が違うというのは、混乱の元だが、それを1000字でやってしまうという冒険には拍手を送りたい。もっとも1000字は冒険の為の作品群であると思っているからこそ楽しいのだけれど、やっぱり日本語としての体裁まで違ってくると、やり過ぎのように感じてしまう。

Entry.28『夏を夢みる翼』カピバラさん
夢を追いかけたい者にはその手段がなくて、その手段を持っている者には、それが出来ない。世の中皮肉なものです。こういう泰然自若とした作品にあうと、なんだかほっとするのは年を取ったと言う事でしょうか?

Entry.29『今日を日記にしてもたぶん題名はないけれど』伊勢 湊さん
タイトルが長いっす(笑)確かに面白い趣向だけど、これからも長いタイトルを続けるなんて言わないでね。新幹線に乗っていく小さな温泉宿でうどんが美味しいところって何処ですかねぇ。東京からならば近場ですますとしたら、伊香保かなとも思うけど、遠出をして道後温泉なんていうのもいいなぁ。そういえば四国には行った事がない。最近家族で温泉にも行かない(涙)

Entry.30『鳥』るるるぶ☆どっぐちゃんさん
空を埋め尽すほどの鳥ならば、辺りは暗くなるけれども、まぁそんな事はいいとしよう(オイ)ヒッチコックの鳥は恐かったし、私自信も昔カラスに襲われたことがある(笑事ではないのだが…笑える)襲ってきたのはハシブトガラスで、雑食である彼らは恐らく自分のテリトリーを守る為に人間(しかもその時は何故か男性だけだった)を襲うのだろうと思われた。通勤途中にある彼らの巣の近くを通ると、なんと急降下してくるのだから、たまったものではない。本当に垂直に降下してくるから吃驚である。一度などは後ろから頭をこずかれ(足で蹴られた)恐怖のあまり動けなかった。と自分の話はこれまでとして(笑)作品の方だが、そのヒッチコックにも匹敵する恐さだ。なんだか綺麗な感じの作品になっているし、ここに住む人間は楽しんでいるようだが、そこが又恐い。だって途中に出てくる「二人が飛び降りた」というのだって、彼らは鳥に食べられてしまうという事でしょ? 生ゴミが無くなるなどという比ではない。今回の作品は映画の恐さと合っていて、久しぶりにタイトル通り(映画も)の作品だった(笑)