『続タイムマシン』
 俺の理論の説明は本当に解かり易かった。勿論俺が俺に説明するのだから当たり前だろう。俺はマシンの使い方と理論を理解し終えると、別の世界の俺を殺し、一番大型のタイムマシンで、奴が来たという3年後に死体を送り付けた。だが、ここで疑問が出てきた。
 時間だけが移動するのなら、動いている地球にへばり付いている我々も、時間の経過と共に移動している事になる。となるとこのマシンは時間の移動だけでなく、空間の移動も一緒に出来るという事ではないか?そうでなければ、時間移動をすれば宇宙に放り出されてしまうに違いない。
 うまくいけば、この時代のまま、どんな所にも神出鬼没に行ける事になる。早速おれは、20年勤めた会社を辞めマシンを研究し始めた。

 あれから3年研究したが分かる訳もなかった。実際に理論は分か
っても部品がどんな意味を持つ物かも理解できないのだ。

 だが幸せは向こうからやってきた。3年前から送り付けられた死体のマシンには、その機能が付いていたのだ。道理で大きかった訳だ。死体は別のマシンで又3年後に送った。そしてマシンを自転車の荷台に取り付けた。
 車だと大き過ぎて全体が移動できないのだ。バイクにしようとも思ったが、燃料が無くなったら終わりだし、走れる道があるとは限らない。マシンを使ってマウンテンバイクを失敬し、空気入れやパンク修理材に、簡単なキャンプ道具を積み込んで用意は整った。後は銃だけだ。

 日本で銃を手に入れるのは大変なのは判っている。外国に行って準備するしか無い。銀行の金庫から夜中に盗んだ金を使って、正式なルートでハワイに飛び、観光客相手のガンシューティングで、腕を磨いた。金はいくらでもあったから、どんな銃でも練習のし放題である。それまで苦手だった英会話も日常会話程度なら通じる様になった。
 しかしここで考えた。もう50を超えたこの年齢で、一体どうやって今後の生活を謳歌すべきなのか?タイムマシンはあっても、身体にはもうガタが来ている。

 よし!過去の若い俺を裕福にして若いうちに何でも出来る様にし、タイムマシンを譲ってやることにしよう。さっそく俺は金や貴金属
を大量に持ち出し、過去の俺の親に金をたっぷりと分け与え、生活を楽にしてやった。俺が生まれると直ぐに、俺に教育を始めた。向学心と向上心を植え付けられた俺は何でも経験し、素直に育った。

「さあっ、タイムマシンはお前の物だ」