「熱狂の日」音楽祭を聴く
この音楽祭の正式名称は ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン という

今年のゴールデンウイークも終わりの6日土曜日に有楽町の東京国際フォーラムで、モーツアルトの音楽を聴いた。
これはその時の感想だ。

この音楽祭そのものについては、近年マスコミ等でも盛んに取り上げられており、ご存知のファンも多いことと思われるので
ヘタな解説は省略する。
今年は「ALL Mozart program」 というのが大きな特徴だ。

「モーツアルト生誕250年」という年でもあり、多くのファンでにぎわった。

色鮮やかで情報量の多いパンフレット表紙の一部。

中には5月3日から6日まで4日間にわたり5箇所のホールで行われる約270回に上る演奏会のスケジュールや演奏家の名前が細字でびっしり書き込まれている。

この中身を見て、お目当ての演奏会のチケット予約をすることが出来る。

私は最終日、昼間の2公演を2月初旬に予約したが、聴きたいと思うものはほとんど売り切れだった。

この音楽祭がこんなに人気があるとは…正直、予想外だった。

会場周辺


会場の東京国際フォーラム

上は国際フォーラム、「ガラス棟」一階内部  構造体がきれいな曲線とガラスで出来ており美しい。
出演者の一人であるピアニストのアンヌ・ケフェレックがガイドブックの中でこんな事を言っている。

   「まず会場の建物が素晴らしくて驚きました。
まるで現代のカテドラル(大聖堂)みたいで、大きな船のようでもあり…云々」


下は左がコンコースからガラス戸越に見た「ヨーゼフU世」と名づけられた展示ホール、
右は外の「ネオ屋台村」、 広場で一休みする人々。



聴いた音楽
日中、二つのコンサートを聴いた。詳しくは上記の日程表の通りだ。会場は異なっていたが、同じ建物の内部なので移動は簡単だ。
まず、12時15分からメーンのhallA(アマデウス)で行われた「レクィエム」を聴いた。お目当てはスペインから来たバルビオ合唱団だ。
いずれも3歳以上であれば幼児の入場もOKだ。
13時過ぎに終了し、13時30分からhallB7(ダ・ポンテ)で行われた「ピアノ協奏曲第22番」その他の演奏を聴いた。
以下に私なりの簡単な感想を述べておきたい。

@レクイエム
出演は井上道義氏指揮の東京都交響楽団、4名の独唱者はソプラノがオランダ人その他はドイツ人だっただが、お目当てはスペインから参加したバルビオ合唱団だ。演奏そのものも、きりっと引き締まった好演だったが、合唱部分はバランスも良く美しかった。
メンバーは80名程度だが、近代的で爽快なモーツアルトだったような気がする。
この曲は数多く演奏され、名指揮者のCDも沢山あるが、概してドラマチックなものが多い。この演奏はすっきりしてよかったと思う。
演奏会場は通常のコンサートホールの2倍近くの約5000人もの聴衆を収容できる広さがあったが、8分どおり埋まっていた。
子供連れの人々もかなり見受けられたが、静かで雰囲気は上々だった。

Aピアノ協奏曲その他
ソロはフランスのヴェテランピアニスト、ベネテイエだった。素晴らしい演奏だった。流麗かつ繊細なモーツアルトだった。
女性指揮者が登場した香港シンフォニエッタはややおとなしい感じで、レベルかに言うとわが国の同規模のオーケストラと比較すると、
やや音の輝きが不足しているように感じた。このホールは800名ほどの収容能力しかなかったが満席だった。

「音楽祭」人気の秘密
この音楽祭はフランスのルネ・マルタン氏が1995年にスタートさせたとのことだ。
そして2004年まではフランス(ナント)並びにスペイン、ポルトガルなど周辺で開催されてきた。
昨年(2005年)から東京も開催地の一つに選ばれた。
1995年当初は2日間40公演だったのが今年は5日間270公演にまで発展してきた。

今後も毎年開催される予定と聞いている。日本公演のチケットの売れ行きは極めて良いらしい。
これはわが国に限ったことではないが、クラシック音楽は斜陽で、特に若い聴衆は増えていないと云われている。
にもかかわらずこの音楽祭のチケットの売れ行きは驚くほどよい。プロの音楽家が予想外??と驚いているのだ。
わが国を代表する指揮者の一人である井上道義氏が公式ガイドブックの中でこんな事を述べている。

「昨年は大成功だったね。理由は東京国際フォーラムというまとまった施設の存在があるね。それにしてもあれだけの人が音楽祭に集まるということに気がつかなかったのは、我々音楽界の人間の不明を恥じないとね(笑)中略
いかに普段のコンサートが何も考えずに売られているのかということを思い知らされたよ。
この音楽会に来た人々は普段クラシックを聴いていない層だったのだ。 その人たちまで宣伝が行き届いていたというのが驚きだね。新しいお祭りだったんだな。其れがよかった…」以下略

これが総てだと思った。 これは「クラシック音楽のお祭り」なのだ。
しかも超有名な演奏家は出演していないかもしれないが、実力者ぞろいであり、演奏の質は高い。。 来年も是非聴いてみたい。

思い描くプランは、まず期間中2日はこれに費やし、その内最終日は夕方のコンサートを聴いた後、緑に囲まれた野外のしゃれたCAFEでWINEか何かを傾け、食事を取り、満ち足りた気分で夜の部を楽しむという趣向だ。