モールアルトを聴くと 病気が治る?


★BGMはモーツアルトの「アヴェヴェルム コルプス」で演奏時間は約3分です

CDコレクションのなかで一番数多い作品はモーツアルトのものである。
このことは前回述べたとおりだ。

CDの数にして約80枚余りだが曲数にすると190曲に上る。(オムニバスCDを除く)

但し、彼の膨大な作品の数から見るとホンの一部でしかない。彼は35年の短い生涯にナント700曲以上の作品を残したといわれている。

いずれも個性的な作品と云われ、この天才作曲家の作品がキライだという人は世界中探しても殆どいないだろう。大好きなモーツアルトとその反対に聴きたくない音楽などについて雑感を述べてみたい。

「モーツアルト論」を読む
非才浅学な者が知ったかぶりしてモーツアルトのことを書く、などという大それたことは考えてもいない。
だが少しカッコウだけつけると、天才に関する「著作」についてということになるだろう。

モーツアルトに関する著作はたくさんある。伝記はともかくとして、まだ学生の頃、評論家の
小林秀雄氏の「モオツァルト」という短編を読んだことがある。これは氏が残した批評美学の集大成とも言われている傑作だが、正直言って難解であり、当時一体何を言わんとしているのかさっぱり分からなかった。この作品を最近また読み返してみたがやっぱり難解だ。
これが発表されたのは1946年(昭和21年)7月のことでだ。当時は戦争直後の混乱期でクラシックの演奏はおろかレコードもろくすっぽなかった時代である。そんな中で氏は楽譜を読み、数少ないレコードや文献を基にして素晴らしい論評を展開している。勿論氏が若い頃から研究したデータの集大成をこの年に発表したものだが、環境は最悪であるにも拘らず、深い理解と洞察力に驚くばかりだが、これをよく読むとモーツアルト像がおぼろげだが浮かんでくる。小林氏はモーツアルトの音楽の真髄は「かなしさ」だと述べている。

数年前に「アマデウス」というアメリカ映画を見た。

これは冒頭に出てくる第25番のシンフォニーの出だしとともに、かなり評判になったモーツアルトの伝記映画だ。彼の日常の奇態な言動や生活ぶりなども出てくるが、表面的には確かにその通りであったらしい。一説によると彼は何時も女性の尻を追い回し、赤ワインをがぶ飲みし、いつも奇声を発していたという。つまり見かけは作品からは想像できないキャラクターだったらしい。天才肌の人はフツーの人と全く異なるのは当たり前のことだ。生み出される作品とは何の関係も無い。

もう一つだけ著作についして感想を述べてみたい。
それは確か2〜3年前に「音楽の友」社から出版された「モーツアルトは宇宙」と云う本のことだ。
著者は音楽学者で国立音大学長の海老沢敏氏で、この中味も結構難しかった。
ところどころ理解できる個所だけ拾い読みした程度だが、面白かったのは「モーツアルトの音(ニ短調P協奏曲の音)、短調のモーツアルト、、モーツアルトの死(レクィエムの世界)」等の中味だった。また、この著作には前記小林秀雄氏の批評を、15歳のとき読んで感銘したことや、映画アマデウス等についても興味ある内容が綴られている。
やはり、短調で書かれた作品の素晴らしさと述べているが、モーツアルトの音楽を「宇宙」こと言い表したのは至言だと思った。正に宇宙のような果てしない広がりや神秘、幽玄、といったものを感ずる。

★ただ私にはモーツアルトの音楽は総てが心地よく聴こえる。深刻な音は何一つ感ずることが出来ない。正に何時聴いても抵抗感が無い最高の「楽しい音楽」なのだ。
確かに死の直前に書かれたといわれている「レクィエム」などには、やや悲しい感情を聴き取れるが、これは未完のまま死んでしまったモーツアルトのことを悲嘆にくれた弟子のジェスマイアーが追悼し、完成させた為ではないかかと勝手に思っている。事実モーツアルトが作曲した前半の部分はいつもの軽快で愉快な調子だ。特にベネディクトゥス(祝されよ)の部分等は聴いているとウキウキしてくる。
私のような俗物にはこのレクィエムは「調子がよくて面白く、美しく、楽しい音楽」にしか感じられない。もともとレクィエムなるものは別に「悲しい音楽」ではないと思う。死者への鎮魂曲だから、気が休まる音楽でBGMにはもってこいなのだ。
フォーレ、ヴェルディ、ドヴォルザーク等いずれのレクィエムも美しく楽しい。何もかしこまって聴く必要は無い。
ま、この程度の感性しか持ち合わせていないということだろう。

作品の数々はどれをとっても素晴らしいものばかりだと思うが、あえて言わしていただければ、いろいろなジャンルの中では「ピアノ協奏曲」が素晴らしいと思う。
特に20番から27番までの8作品はどれをとっても又、何時何回聴いても私なりの新たな感動と新発見がある。いろいろな演奏家のものを聴き比べるのも興味がある。当然BGMとしては最高傑作だと思う。

 つまらないクラシック音楽は多い
「クラシック音楽は堅苦しさや難解だからどうもね‥」と倦厭している人も大勢いる。
そのような方々の気持はよく判る。確かに聴いているのが苦痛になってくるような作品もあると思う。
「現代音楽」と云われる分野だ。
私は特に調性のない音楽、12音技法で作曲された音楽は、カネをくれると云われても一切聴かないことにしている。ただ「うるさい!」としか感じられないからだ。聴くのに眉にしわを寄せ努力するような作品は音楽とは認めていない。全く聴く気が起きず、ストレス以外の何ものでもないと感ずるからだ。
現代音楽は「無意味な騒音」に過ぎず、聴衆無視の作曲家の「独りよがりの産物」に過ぎないと思っている。大衆に聴いてもらえない「現代音楽」作品などを書くこと自体、全くナンセンスだと思う。
とにかく耳障りがよく、生理的にすんなり聴けなければ単なる「騒音」過ぎず、聴いていて楽しく、気分が昂揚し、心地よくならなければ「音楽」とはいえないだろう。
私の判断基準ではメロディが「鼻歌」で歌えないような代物は音楽とはいえないと思う。

どの辺りから「現代音楽」というのかは知らないが、シェーンベルク、バルトーク辺りからだとすると、聴くのはこれら作曲家どまりだ。しかもその中のホンの一部の作品だけしか聴いたことがない。シェーンベルクといっても聴いたのはブラームスの室内楽をオーケストラバージョンに編曲した作品だけだが…この音楽は美しくすばらしい。
その意味で、わが国の代表的な作曲家の吉松隆氏が提唱している「現代音楽撲滅協会」の趣旨は聴衆の一人として大賛成だ。

日本音楽コンクール作曲部門
毎日新聞とNHの主催で行われるこのコンクールは、わが国クラシック界若手の登竜門として権威があるコンクールだ。色々な分野があり、これを聴いていると若手演奏家の質の高さが分かる。
だが作曲部門になると聴衆の関心は殆どない。客席はガラガラだ。オーケストラは空の椅子に向かって一生懸命音を出している。本選会の曲を、ガマンに我慢を重ねて聴いてみたが、わけのわからない全くつまらない現代音楽だった。

★一方モーツアルトやベートーヴェンなど古典派の前後に位置する、後期ロマン派やバロック音楽の一部にも興味がない。バロックではバッハは別格として後はビバルディの「四季」を聴くだけだ。ロマン派となると退屈極まりない大作曲家が結構いる。
一例を挙げると、ブルックナーだ。とにかく冗長で同じ音とパターンの繰り返しに過ぎず、退屈極まりないので、コンサートでついウトウトとしばらく居眠りし、ハッと目を覚ますとまだ同じところを延々とやっている。
全くナンセンスで、つまらない作品が多いと思う。
彼の作品を嫌い、決して演奏しない指揮者もいる。今度NHK交響楽団の音楽監督に就任したマエストロ・アシュケナージだ。(私の思い違いかも知れないが…)
この大作曲家は作品を他人の言われるがままに何度も書き換えたとのことだが、信念の無さがよく現れていると思う。
同年代のマーラーと比較するとその「つまらなさ加減」がよくわかる。マーラーの音楽はメロディが美しく聴き飽きがしない。いつも新発見があり感動がある。

この間「ジャズで聴くクラシック」というCDを聴いた。あるピアノトリオがモーツアルト、バッハ、ベートーヴエン、チャイコフスキー、ショパンなどの作品を気分よくBGMにアレンジしたものだ。うたい文句は「心休まる、おしゃれな音楽で気持のいい時間が流れる云々‥」とあった。聴いてみるとその通りで極めて心地よかった。
私は、家ではどんな作品でもBGMとして小さな音で流す聴き方だが、現代音楽はムード音楽にはならない。
勿論私のような程度が低いクラシックファンだけではなく、もっとちゃんとした聴く耳を持っている人も居り、それはそれで大変結構なことだ。

音楽療法?の効用
ある著名な「健康雑誌」によるとモーツアルトの作品を毎日一定時間聴くと、ナント病気も治るのだそうだ。
確かにモーツアルトの音楽は聴いていると大変心地よくリラックスできる。リラックスするということは健康を保つのに極めて重要なことだと思われる。私自身も心臓疾患(不整脈)を患っているが、大病院の専門医から「規則正しい生活とリラックスすることが大切ですよ」といわれているのだ。だが音楽で本当のビヨーキまで治るというのはどうも信じがたい。
しかし中身をよく読んでみると
モーツアルトを聴くだけで効果があるビョーキとは「高血圧、花粉症、頻尿、ひざ痛、耳鳴り
、難聴」などで、全般的に免疫力が向上しインフレエンザの予防にもなるという。なるほどこれならある程度納得しうる。

執筆者は体験者のみならず医大の先生なども「効果絶大」と述べているのだ。そんなにいい加減なことを紙面で発表するとも思われない。
しかもご丁寧に、その雑誌にはモーツアルトの音楽CDまで付録で付いているのだ。そして音楽療法の効果を最大に上げるための聴き方まで丁寧に解説してある。効果を上げるには私のようなBGMスタイルではなく「ヘッドフォーンを着けて部屋を薄暗くし、毎日午前、午後それぞれ30分づつ集中して聴く」のだそうだ。
これは面白いと思って買い求めた。このCDに収録されている「ビョーキによく効く作品」は次のようなものだ。
ピアノ協奏曲第26番 ニ長調k537戴冠式 第3楽章
をはじめとして「フルートとハープのための協奏曲」「ヴァイオリン協奏曲」などの曲目の抜粋だ。ま、これらのCDはすべてマイコレクションにあるが… まだ試してはいない。 
★関連記事のご紹介  mモーツアルトは音の薬.pdf へのリンク
確かにいずれの曲も大変美しく楽しい曲目で聴いているとウキウキしてくる。「病は気から」ということは事実だ。とすると確かに効用はあると思われる。さらにモーツアルトの音楽を聴くと頭が良くなる?とも云われているが…
 モーツアルトの切手の色々 (すばらしい切手の数々です)


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最近売り出されているCDの中には本当にそれを売り物にしている商品もある。CDの売場にも並んでいるが商品によっては書店でも売られていた。
このシリーズのネーミングは「クラシカルBGM」だ。この中には「くつろぎクラシック」や「胎教にいいクラシック」などという商品もある。網羅されている曲はほとんど持っているので購入してはいないが面白い企画だ。このような商品は他にも沢山ある。
何かとストレスが多い現代人にとってモーツアルトは心を癒してくれるクスリかもしれない。秋の夜長をせいぜいモーツアルトを聴きだめして風邪をひかないようにしよう。(04/10/31)
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