展望台に無線局開設 区制80周年記念で公開運用 サンシャイン60
サンシャイン60最上階の展望台で、豊島区のアマチュア無線愛好家による無線局の公開運用が10月13日・14日の2日間行われた。
最近は携帯電話やインターネットの普及により減少してきてはいるものの、自前の無線機とアンテナ1本で世界と交信できるアマチュア無線には根強いファンが多い。豊島区内にも約200局のアマチュア無線局があるが、そうした無線愛好家が実際に集まる場はほとんどなかった。今回の公開運用は、区制施行80周年を記念し、一堂に会し交流を図ろうと、上池袋在住の平野幸男(コールサイン:JA1BTS)さんが実行委員長となり、普段活発に交信している愛好家中心に声をかけ、企画・実現に至った。また、サンシャイン60展望台での無線局公開運用は、区制施行60周年の際にも行われており、実に20年ぶりの復活開催となった。
2日間での参加は38局。持ち寄った無線機で各自のコールサイン(呼出符号)を使い、交替で交信を行った。参加者最高齢は79歳、実行委員長の平野さんも74歳で…戦後まもなくの、各家庭にまだ電話もなかった頃からの筋金入りの愛好家たちが顔を揃えた。「最近はあまりやってないからなあ」と言いながらも、無線機の前に座った途端、マイクを握りっぱなしの状態に…そうしたベテラン愛好家たちの登場に加え、80周年記念でサンシャイン60展望台からというめったにないロケーションが重なり、局公開の発信に次々と交信のコールが集まり、2日間にわたり402局との交信が記録された。
今回の公開運用にあたり、サンシャインシティは会場提供のほか、QSLカード(交信認定証)の発行にも協力。無線愛好家にとっては、このカードを集めることも楽しみの一つ。リニューアルしたサンシャイン水族館から60階ビルを見上げる図柄に80周年記念のロゴマークが配されたカードは今年4月に7500枚作られ、すでにメンバー個人局の交信でも活用されているが、今回は海抜250mを超える展望台が2日間限定の基地局となるとあって、各地の愛好家の注目を集めた結果となった。
昨年の3.11東日本大震災では、携帯電話等の通信回線がパンク状態になったが、災害時等の非常通信手段としてアマチュア無線の有効性が見直されてきている。
今回の公開運用の中心メンバーであり、地元町会長も務める上池袋在住の中川眞之介(コールサイン:JA1GDM)さんも、「せっかく国が認めている電波を活用しないのはもったいない。アマチュア無線は無線機とアンテナさえあれば交信できる、そういうローテクも大事にしなければ」と語っていた。
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