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☆ 
地域社会が親と子の間にある

小山
(コーディネーター)
 でもこれで見えてくるポイントが一つあるのです。結局大人と接するのが、いま親抜きになってしまっているのではないかという部分です。ですからもう少し村と言いますか、町内会と言いましょうか、そんな近所にもいる大人、おじいちゃん、おばあちゃんなどがクッションになってくれて、親には直接言いにくいことをそれとなく隣のおばちゃんが親に言ってくれたりということが、昔、私の子供時代は随分あったと思うのです。しかしいま核家族化になってくると、そういう介在をしてくれる大人の人が非常に少なくなってきたということがあります。それから余計、親子の利害が真正面から、利害などないのかもしれないのですが、うまくいかないのがそのまま増幅されていってしまっているという感じがします。
 子供が育っていく過程で、地域社会の協力というのは随分必要にはなってくるのではないか。いま文部省も随分言い始めていますが、山口さんのところはお父さん、あるいはお母さんでもあれですが、地域社会にはどういうかたちでかかわられていますか。

山口
(パネリスト)
 お母さんは地域社会のことをいろいろとやっています。それはもちろん小学校もずっと区立に行っていて、PTAで知り合ったお母さんなどが近所にみんなずっと住んでいるわけですから、いろいろとプライベートでも付き合ったりとか、学校、どこででも会ったりしますが、私は何もしていません。本当にきれいに何もしていないです。
小山
(コーディネーター)
 もっともお仕事柄、顔が割れているものですから、どこにいらしても大騒ぎになるだろうと思うのですが。
山口
(パネリスト)
 そんな、意外に騒がれないです。
小山
(コーディネーター)
 そうですか。

山口
(パネリスト)
 ええ。平気で「ああ、あの人ね」ぐらいなのです。でもいけない部分なのですが、面倒くさがり屋なので、地域の行事とかそういう......。学校の行事、例えば参観日とかには行くのです。でもそれも仕事を休んでまでは行けないじゃないですか。だから結局空いているときは必ず運動会とか文化祭などに行きますが、その程度です。
小山
(コーディネーター)
 だからますますデータがないから、子供と話が合わなくなってしまう。

山口
(パネリスト)
 その分の知識を子供から直接とか、あとはお母さんから聞くという部分がありますが、自分が直接その現場に行くということは少ないわけです。でもお父さんは日曜日にお休みでも接待があったりとか、自分の都合にいかないことも多いでしょうし、「お父さんは日曜日ぐらい休ませてくれよ」というのもあると思うのです。

小山
(コーディネーター)
 では少し会場に聞いてみましょうか。きょうは本当にお父さんがすごく多いのですが、普通PTAと言いながら、日本のPTAは母親中心になっているのです。父親と先生がいないPTAになりやすいのですが、きょうはすごくお父さんが多いのです。お父さん、お母さん、全員一度に聞きますが、自分は積極的に地域活動、あるいは町内会とかいろいろなお祭りだとか、そういうものにかかわっているぞという方は、どれぐらいいらっしゃいますか。手を挙げてみてください。

 ああ、さすがですね。

山口
(パネリスト)
 きょうここに来ている人だものな。

(パネリスト)
 そう。ここにいらっしゃる人だから、それをやっていらっしゃるのです。
山口
(パネリスト)
 きょうここに来ていないお父さんに、私は聞きたかったです。(笑)
☆ 
学校に来てもらいたい、もらいたくない

(パネリスト)
 うちの父などは小学校時代の父親参観日などがあるじゃないですか。それ以外にはないんじゃないですか。運動会とか......。中学になってからはないです。
山口
(パネリスト)
 来たかったけれど来れなかったんじゃないの。いいほうに解釈してあげようよ。

(パネリスト)
 仕事もあったとは思うのです。でも中学の運動会が終わって家にガチャッと入ったら、父親はいるのです。「来ればよかったのに」と言ったら、「えっ」と言われて。

(パネリスト)
 でも来てもらいたくないという子供もいますよね。
山口
(パネリスト)
 そういう子供、いるでしょう。

(パネリスト)
 うちの弟はそうですよ。
山口
(パネリスト)
 「なんで来るんだよ」と言われるお父さんもいるようですよ。

(パネリスト)
 「絶対に来ないでね」と当日言っています。
山口
(パネリスト)
 それはなぜ?
小山
(コーディネーター)
 そう、そこを聞きたいですね。
山口
(パネリスト)
 なぜ親に来てほしくないの?

(パネリスト)
 でも弟なので、ちょっと......。(笑)
関戸
(パネリスト)
 弟はわからないみたいな。
小山
(コーディネーター)
 君自身は来てほしかった?


(パネリスト)
 ぼくですか。ぼくは知り合い、というか親とか身内などに、例えば自分が走っている姿が見られているというのを意識してしまうと全然駄目なので、木の横から見守っていてくれぐらいの。(笑)
関戸
(パネリスト)
 木陰からみたいな。


(パネリスト)
 木陰からちょっとというぐらいなので、一応来て見てもらいたいというのはあるのですが、一番前列で朝から陣取ってとやられると、勘弁してくださいという感じです。

山口
(パネリスト)
 友達同士、例えば「おう、おまえのところの親、あんな一番前で一所懸命応援してビデオ撮っていたな」などと言われるのが恥ずかしいというのもあるのかな。それはないの?
関戸
(パネリスト)
 恥ずかしいというのはあると思う。

(パネリスト)
 あとは、うちの父は結構ラフな格好というのが多くて、弟はたぶんそういうのが嫌なのではないですかね。
小山
(コーディネーター)
 でも運動会にそんな背広を着ている方......。(笑)
山口
(パネリスト)
 スーツを着てね。
小山
(コーディネーター)
 PTAの役員さんは別でしょうが。

(パネリスト)
 そうですね。やはり普段少しだらしないところがあるのかな。
小山
(コーディネーター)
 今井君は運動会などに親父が来るというのはどうでしたか。
今井
(パネリスト)
 やはり抵抗がありました。
小山
(コーディネーター)
 何が抵抗になった?
今井
(パネリスト)
 うちの親父は周りの人間にちょっかいを出すのが結構好きで......。
関戸
(パネリスト)
 何それ。
小山
(コーディネーター)
 ちょっかい? セクハラではなくてね。
今井
(パネリスト)
 全然見ず知らずの友達の父兄などにちょっかいを出したり、お菓子をあげたり、そういうことをやって、あとで話題になる。そうなるとやはりあれですよね。
関戸
(パネリスト)
 わかった。あとで話題になると恥ずかしいから、来てほしくなかったりとかはするかも......。
今井
(パネリスト)
 禍根を残すのです。
関戸
(パネリスト)
 私は小さいころそうだった。
小山
(コーディネーター)
 小さいころはそうだった?

関戸
(パネリスト)
 そうだった。うちの母と父は年が10歳離れていて、普通の友達のお父さんの年齢より、うちのお父さんの年齢がすごく高かったのもあるし、顔が老けていて年よりすごく老けて見えていたのもあって、小さいころだと下手したらおじいちゃんに見えてしまうぐらい老けていて、それが少し嫌だった。というか、恥ずかしいというか。私は一人っ子の割にはお父さんの年齢が高かったから、そういうのは少しある。結構、小さいながらの体裁みたいなのを気にしてしまう。
小山
(コーディネーター)
 でもそれは小さいときでしょう。高校生ぐらいになるとどうなるの。
関戸
(パネリスト)
 高校生ぐらいになったら別に全然。

(パネリスト)
 若返ったとかなのですか。(笑)だって手をつないでいま歩いているぐらいなのでね。
関戸
(パネリスト)
 そう。そういう何か、気にしなくなった。

(パネリスト)
 何かそれを超えるものというか、努力......。
関戸
(パネリスト)
 努力、お互いの。(笑)
山口
(パネリスト)
 やはり努力が必要になるの?


(パネリスト)
 私は高校ぐらいになってしまうと、もう来ないのが当たり前になってしまったので、逆にその来るか、来ないかの話もなかったです。

(パネリスト)
 もしきょういらっしゃったらどうしますか。

(パネリスト)
 きょう、大雨だね。(笑)きょうは雨が降るね。

(以下省略。これ以降をご希望の場合は、 Webmaster まで)
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小山和智プロフィール
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