2008年6月

第2770号 2008年6月11日号


地域・おもしろマーケティング大賞
 米工房・栗原米店 池袋本町


 地域・おもしろマーケティング大賞」において、前回と同じく「地域優秀賞」を受賞された「米工房・栗原米店」(池袋本町3-5-11)を訪ねてみた。

 お店は、埼京線「北池袋駅」、東上線「下板橋駅」からそれぞれ徒歩五、六分離れた池袋本町通り商店街の一角にある。首都高速が近くに走っているが、都会の喧騒を感じさせない落ち着いた街並みだ。

 昭和二十三年、先代がこの地で米屋を開業。当時はまだ戦後の焼け跡に、バラックが立ち並んでいた頃だという。現在は長男の栗原博さん(六十九才)が二代目を継いでいる。

 店内はこじんまりとした構えだが、「ささにしき」「こしひかり」「魚沼米」「秋田小町」など、数多くの名立たるブランド米が、玄米の状態で整然と並べられている。店の一角には精米機が置かれ、注文すれば三分の待ち時間で白米にしてくれる。

 精米して直ぐの米は酸化していないので、味はもちろん、本来の貴重な栄養価が保持されるということで、お客の根強い人気がある。最近の売れ筋は北海道産「ゆきひかり」で、「アレルギー体質に効く」とこのほどテレビやインターネットで取り上げたこともあって、近所の保育園などからも注文が増えたという。また、米を材料にした手作りのものも多く置いている。おこわ、切り餅、赤飯など、朝早くから起きて奥様と一緒に作ってるそうだ。長年のフアンも多いそうで、まさに地域に愛されている店だという印象がある。

 しかし、米はなんと言っても重い。ご主人の博さんが「ひとつ持ってみますか?」と、30㎏の米袋を勧めてくれた。ずしりと腕に重さが伝わる。腰に相当の力を入れないと持ち上がりそうにない。「これを毎日、何袋も持ち運ぶんですよ。年を取ったらきついですよ」という。聞けば40歳になる息子さんがいるそうだが、現在サラリーマンになっていて商売を継ぐ意志はないそうだ。「米袋を抱えられなくなったら、この商売も私の代で終わりですよ」と、来年七十歳になるご主人はしみじみと語る。

 いま、シャッター街と呼ばれる言葉があるように、多くの商店が閉鎖や休業に追い込まれている。その多くが後継者不足だ。当店も例外ではないのか。

 だが地域に根ざし愛されてきた店が、また一つ消えていくことは、何とも寂しいことだ。博さんには「力の続く限り頑張ってもらいたい!」、そう願わずにはおられない。(山口)


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