2008年9月

第2783号 2008年9月24日号


池袋・グランドビジョン
 区議会 高野区長招集あいさつ


 平成20年度第3回豊島区議会定例会が19日、開会された。10月22日までの34日間。初日、招集あいさつのたった高野之夫区長は、「平成19年度決算について」「環境都市づくりについて」「池袋副都心・グランドビジョンの推進について」「「文化政策について」「地域福祉の再構築について」「学校教育について」――の6項目について語った。そのなかからこんかいは「グランドビジョン推進について」を掲載する。

 9月に入り、副都心線の開業から3か月が経過いたしました。

 鉄道事業者によりますと、池袋駅のJR乗車人員は、一日あたり6万人から7万人の減少となっており、このことは、副都心線開通により、駅で乗り換えることなく、池袋を通過してしまう旅客数が増えたことを意味しています。さらに10月には定期券の更新時期を迎えるため、その影響も注視していく必要があります。

 また、民間シンクタンクの調査によれば、和光市以遠の東武東上線沿線では、約4割弱が新宿へ出かける際に副都心線を利用しており、これまで池袋を訪れていた客層の約3割が、「これまでよりも頻繁に新宿に出かけるようになる」と回答しています。

 一方、西武百貨店、東武百貨店の来店者数については、前年同期との比較で同水準であり、むしろ、西早稲田や東新宿周辺からの新規来店者が増加する傾向も見られるとのことであります。

 副都心線開業前には、“池袋・新宿・渋谷の百貨店戦争”など、熾烈な都市間競争を予感させる報道が続きましたが、現時点では、当初危惧されたような影響は見られていません。

 しかし、池袋への来街者の動きは、確実に変化の兆しを見せ始めており、今後とも、強く危機感を持ち続け、「池袋副都心・グランドビジョン」に位置づけたプロジェクトを着実に推進し、都市再生を急ぐ必要があると考えています。

 その第一弾として、2年間にわたり地域の皆さんとともに検討を続けてきた、池袋西口駅前広場の大改修に着手いたします。

 今回の整備では、タクシープールを東京芸術劇場側へ移設するほか、路線バスの運行ルートの変更を行うことで、駅前広場の通過交通を抑制するとともに、これまで以上に“みどり”をふんだんに配置し、バリアフリーにも配慮した歩行者空間を大きく拡充いたします。

 駅前交番についても、拡幅した歩道内に移設することで、安心・安全を守る機能が高まります。年内には工事に着手し、品格ある西口駅前の顔として、一日も早く、生まれ変わった姿をお見せできるよう整備を進めてまいります。

 そして、環境と観光のシンボルであるLRTについても、これまでの調査研究を踏まえ、構想から計画へと、着実に進めてまいります。

 先月26日ですが、「池袋副都心グランドビジョン懇談会」のメンバーや、区議会議員有志の方々とともに、総勢46名で、「池袋の路面電車と街づくりの会」主催による岡山・兵庫のLRT視察に参加いたしました。

 岡山駅周辺には、2.1キロと3.1キロの路面電車があり、一部の車両に「MOMO(モモ)」というLRT車両が導入されています。岡山市では、路面電車の運行会社から直接、経営面や運行上の課題などをお聞きするとともに、髙(たか)谷(や)市長ともお会いし、都市づくりの鍵となるLRTの効果や必要性について意見を交わすことができました。

 そして、兵庫の川崎重工業播磨工場では、開発中の電池駆動路面電車「SWIMO(スイモ)」に試乗し、実用化に向けた技術的課題などを調査してまいりました。

 実際に運行されているLRTを視察し、架線のいらない新型の車両に触れることで、参加された地域の方々や商業事業者の皆さんとともに、LRT整備に向け、歩調を合わせて、新たなスタートラインに立つことができたものと考えております。

 この先、LRTの実現に至るまでには、数多くの困難な課題があると思いますが、その壁を打ち破る力となるのが、副都心再生に向けて結集した地域の力であります。

 早急に、池袋副都心の総合的な交通戦略と、LRT整備計画の策定に着手し、さらに多くの方々と、LRTを核とした再生戦略を共有することで、導入に向けた機運を大きく盛り上げてまいります。

 また、コミュニティバスにつきましても、これまでの調査・検討を踏まえ、西部地域から池袋副都心にかけての地域を想定し、手続きを進めることにいたしました。

 コミュニティバスを、高齢社会における動く公共施設として位置づけるとともに、観光や地域活性化、そしてLRTとの連携も視野に入れながら、平成22年度の導入を目指したいと考えています。

 年内には、バス事業者や交通管理者、地域関係者等の参画を得た「地域公共交通会議」を設置し、運行経路や事業主体、バス車両、そして補助のあり方などについて、具体的な検討を進めてまいります。

 新庁舎の整備につきましては、5月にお示しした整備方針(案)を基に、説明会、パブリックコメントを実施し、このたび「新庁舎整備方針」を策定いたしました。

 今後は、この整備方針に沿って、区民の立場に立った便利な窓口機能や、効率的なレイアウトのあり方等を検討し、旧日出小地区案に基づく具体的な計画づくりを進めてまいります。また、市街地再開発事業に関する都市計画についても、今年11月頃から手続きに入りたいと考えています。

 新庁舎の整備は、施設整備の面だけではなく、あらゆる事務事業やサービス体制を見直し、職員の意識改革を図る絶好の機会でもあります。新庁舎の整備を契機として、さらに満足度の高いサービスと信頼度の高い区政を実現すべく、全力で取り組んでまいります。

 現在、東京都は2016年を目指して、オリンピックの招致活動を展開しています。招致活動は、世界4つの立候補都市の一つとして選定された段階ですが、オリンピックには、多くの人々に希望をもたらし、都市の姿を大きく変える力があります。

 また、世界都市東京全体の都市づくりを考えるとき、個性ある池袋副都心の再生は、私たちの願いであると同時に、東京の繁栄を担う一員としての責務でもあります。

 そこで、東京初のLRTをはじめ、池袋西口駅前広場整備と西口の再開発計画、池袋駅東西を結ぶデッキ構想、環状5の1号線地下通過道路、造幣局周辺の東池袋まちづくり、そして現庁舎の跡地活用についても、2016年の東京オリンピック招致実現を念頭に置き、今後8年のなかで、確実にプロジェクトを実現させることを目標として、池袋副都心の再生に取り組んでまいります。


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