2012年1月

第2927号 2012年1月11日号


区民の声に耳を傾け
 信頼される区政の実現
 高野区長年頭あいさつ


 昨年は、内外とも様々な出来事がありました。海外では、ギリシャの財政危機、イタリア、スペインの国債の暴落などの経済危機とこれらに伴う円高による景気への影響に加え、タイの水害やトルコの大地震などが発生し、我が国にも大きな影響を及ぼしました。また年末には、突然飛び込んできた北朝鮮情勢の変化などもありました。

 国内では、何よりもまず東日本大震災と福島原子力発電所の事故、そして相次ぐ台風によって各地に多大な被害が発生しました。特に震災に伴う原発事故の影響は今なお私たちの生活に不安をもたらしています。また十二月三十日には消費税増税が発表され政治への不信も増幅されたのであります。

 一方、区政においては、東日本大震災から浮かび上がった様々な課題への対応をはじめとし、区民の安全安心を守るための対策を最優先に取り組んだ一年でありました。

 まず、一つは、震災対応に関わる取り組みについてであります。

 震災直後から区民生活は、電力危機、放射能汚染、物流の停滞など大きな不安と混乱の中に陥ったため、私は「区民を守る宣言」を行い、改めて二十六万区民の安全安心を守る決意を表明いたしました。

 中でも放射能汚染は、これまでの原子力発電所に対する安全神話が打ち砕かれ、私たちの生活に暗い影と不安を落としています。本区ではいち早く、昨年六月から放射性物質の測定を開始しました。十月からは学校や保育園の給食食材についても、放射性物質の検査を行っていますが、さらに三月末までには区立小中学校全校と公設保育園全園での実施と測定対象の拡大をしてまいります。

 また、都内で局所的に放射線量が高い、いわゆる「ホットスポット」が発見されていることを踏まえ、今月から三月までの間、学校や保育園等で側溝や排水溝などでの空間放射線量の詳細測定を実施することといたしました。

 これまで実施した様々な測定の結果は、いずれも「不検出」あるいは「人体に影響をおよぼさない程度」の低い数値という結果ですが、今後も区民の皆様の不安解消に向け、継続して測定を実施してまいります。

 また、被災地の支援については、これまで延べ百七十二人の区職員を派遣し、また百十二世帯の被災者の受け入れを行ったほか、区民の皆さんから寄せられた約五千七百万円の義援金を宮城県をはじめ交流都市等に提供しておりますが、被災地の復興には、まだまだ多くの時間と労力が必要となりますことから、引き続き行政が先導役を果たしつつ区民の力を結集し、できる限りの支援を行ってまいります。

 次に、区民の安全安心を守る二つ目は暴力団排除の取り組みについてであります。昨年の第四回区議会定例会で、暴力団排除条例を上程し、可決していただきました。この条例は、全国初となる虚偽の養子縁組を禁止する規定などを盛り込んだ先駆的な内容となっています。また、繁華街を抱える本区の地域特性を踏まえ、一昨年には池袋駅西口では駅前広場の大規模改修を行い、ようやくまちに活気が生まれてきましたが、相変わらず目にあまる繁華街における悪質な客引きなどの迷惑行為を禁止するため、生活安全条例も一部改正をいたしました。こうした二つの条例の整備により、豊島区としての暴力団排除に向けた強い姿勢を示し、警察関係とも緊密な連携を図り、区民のみなさんとも協力して、徹底して治安の向上、そして副都心池袋をはじめ豊島区のイメージアップを図りたいと思います。

 さて、迎えました本年、平成二十四年は、昭和七年十月一日に本区が誕生して八十年目に当たる「区制施行八十周年」の記念すべき節目の年であります。豊島区基本計画に位置付けられ、これまで力を入れてまいりました区政の様々な分野をさらに充実させ、本区の新たな一歩を大きく踏み出したいと考えております。

 私は、この節目の年を機に、区民の皆さんとの絆、そして、地域における区民同志の絆をより強いものに育てていきたいと思い、区民の皆さんと力を合わせた手作りの記念式典と記念事業を開催します。お力添え賜りますようよろしくお願いいたします。

 さて、迎えました二十四年度に推進する政策の中で、特に重要な課題と位置付てまいります三つの取り組みについてお話しさせていただきたいと思います。まず一つ目は、今回の震災の教訓と経験を活かした復興を含めた総合的な震災対策の検討であります。私は昨年九月、私を本部長とする「震災対策推進本部」を設置いたしましたが、さらに、災害予防から復興に至るまでの、区の防災の全体像を示す(仮称)「震災対策基本条例」の制定や震災後の都市復興マニュアルに続く、医療、福祉、教育、商工振興など、被災者の生活再建に関する指針となる「生活復興マニュアル」の作成などに取り組んでまいります。

 二つ目は、WHOセーフコミュニティ認証取得への取り組みであります。約二年間、地域の皆さんとともに、準備を進めてまいりましたが、昨年十二月、認証申請書をWHOへ提出いたしました。

 二月二日から四日は、アジア認証センターから三名の審査員が来日し、本審査が行われます。まさにここが正念場であります。豊島区の安全・安心創造都市づくりに向けた意気込みと、今まで進めてきた地域協働の姿を、しっかりと評価していただけるよう努力したいと思います。審査結果は、五月になります。セーフコミュニティの認証取得は、ゴールではなく、新たなスタートでもあります。

 高密都市、豊島区の最も基本的な課題である「安全・安心」を確実に区民のものとし、次の世代に引き継いでいくことこそ、今を生きる私たちの責務であります。また十一月には、「第六回セーフコミュニティアジア会議」を池袋で開催することが決まりました。

 皆様には、この取り組みに、引き続き格別のご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 三つ目は、引き続きの課題であります新庁舎整備の取り組みと、旧長崎中学校跡地の南長崎中央公園の整備、そして旧平和小学校跡地の西部地域複合施設の整備についてであります。

 長年の課題でありました新庁舎建設は、建設地であります南池袋二丁目の再開発区域の解体工事も終わり、二月二日には起工式が行われます。

 本当に長い厳しい道のりでした。約五年かかり、この間様々な課題がありました。一からではなくゼロからの出発でした。建設する資金はなくこれ以上巨額な借金も不可能です。またこの事業は単に庁舎を造るという建設計画に止(とど)まるものではありません。長崎中学校跡の体育施設、西部地域複合施設の建設も平成二十五年度、平成二十六年度と相次いでの完成に向けて進めておりますが、これらは全て豊島区の将来のまちづくり全体につなげていく出発点に成るものでもあります。

 以上三点ほど申し上げましたが、今年取り組まなければならない政策課題はまだまだたくさんあります。さらなる震災に関わる対策や、増加する生活保護世帯対策、商店街・中小企業対策など喫緊の課題への対応をはじめ、やり遂げねばならない重い政策課題の数々はきわめて不透明な政治経済状況の中で、取り組んでいかなければなりません。とりわけ本区は二十三区の中でもきわめて厳しい財政状況にあること、国における「消費税の増税を含めた税と社会保障の一体改革」などが区財政に及ぼす影響について、いまだ不透明な中で、財政状況などを総合的に勘案した上で、こうした課題を解決せねばなりません。議会はもとより、本日お越しいただいた皆様をはじめとする、大勢の区民の皆様のお力添えがあって初めて成し遂げることができるのであります。そのためにも、区民の皆様のお声にしっかりと耳を傾け、皆様とともに、光り輝く「としま未来」への道を歩み続けてまいりたいと思います。

 私は常に「信頼される区政の実現」と申し上げ、これを実行してまいりましたが、残念ながら区民の皆さまの信頼を裏切ることも多くではありませんが、ありましたことは肝に銘じなければなりません。

 昨年は区にとって厳しい暗いニュースばかりであった訳ではありません。たくさんありましたが最後にいくつかお話をいたします。

 地域のまちづくりの商店街の活性化事業、「駒込染井銀座商店街のアートストリートの取り組み」そして「目白通り二又商店会・南長崎ニコニコ商店街による南長崎のトキワ荘協働プロジェクトによるまちづくり」が、東京商店街グランプリの準優勝と優秀賞を受賞しました。また、全国都市の中で豊島区は「安全安心な街」の第二位という、週刊ダイヤモンド社からの発表がありましたのはご存じであると思います。さらに、つい先日の十二月十八日の日本経済新聞紙上で市民の行政参加型都市ランキングで八〇七都市全体で本区が第三位と発表がありました、私たちが考えている以上に私たちの豊島区は先進的な都市として高い評価を得ております。ほこりを持って区政を推進していきたいと思っております。


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