なぜ言えないのか 喫煙とセーフコミュニティ
いま豊島区の来年度予算が区議会で審議されている。昨年のWHOのセーフコミュニティ、またセーフスクールの国際認証をうけて、このセーフコミュニティの理念が予算編成のなかにみてとれる。安全安心の街づくり、そして区民の健康の質を高めることに全力を注ぐことは行政としてこれほど当たり前のことはないだろう。行政、議会の皆さんの健闘と努力を願うばかりである。
ひとつひっかかるところがある。WHOのセーフコミュニティとはもともと人間の健康が第一ではないのか。それを知ったうえで日本で5番目に国際認証を取得した豊島区が、豊島区、池袋の正面玄関ともいえる池袋東口の真ん前、タクシープールのなかに、人目を集めるような大型の喫煙施設を建設する計画があるそうだ。池袋に観光、買い物に来た人々はまず最初にこの喫煙所を目にすることになる。これでいいのか。子供や女性や障がい者が訪れて楽しめる品格のある街をめざしているはずなのに。
練馬や大阪では受動喫煙防止や禁煙推進の条例を用意していると聞く。禁煙を強制しようというのではない。有害であるとはっきりしているものを堂々と認める姿勢にあらためてほしいということだ。とくに子供も目に触れるところに喫煙施設を作るということは、将来の喫煙者を作る事にもつながりかねないし、行政がやることではない。
池袋西口公園にも建設計画があったが、地元の反対でとん挫している。東口では反対の声が聞こえてこない。年々減少する喫煙人口のなかで、喫煙のシンボルともなり得るような副都心池袋駅前の喫煙施設はどういう意味を持つのか。たばこ会社には宣伝・販促で好都合だろうが、池袋が喫煙で世界のシンボルになることはいただけない。WHOセーフコミュニティ認証都市にタバコは受け入れられるものではないはずだ。
昨年の区議会都市整備委員会では「タバコは麻薬じゃないから」と意見が出たが、たばこを個人の嗜好品ととらえる時代は終わっている。区民の代表である区議会区民厚生委員会は、税収と区民の健康をどう考える。これからセーフコミュニティを目指す街のお手本となる意見をお願いする。
禁煙推進に熱心な巣鴨高岩寺の来馬明規住職は「関係者や喫煙所利用者に十分に説明し、早急に喫煙所を廃止するべきだろう。タバコ産業の援助による喫煙所新設は受動喫煙防止・がん対策・青少年育成いずれにもマイナス。結果として国際条約に違反し、反WHO・反セーフコミュニティになる。『豊島区は日本一の高密度都市でセーフコミュニティです。あなたにも他人にも有害なタバコはお控えください』となぜ云えないのか」と、区内関係者、禁煙活動家、WHO関係者に働きかけを続けている。
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