椎名町に新名所誕生 マンガの聖地「トキワ荘お休み処
手塚治虫、藤子不二雄(A)、藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らのマンガ家が、青春時代・下積み時代を過ごしたアパート「トキワ荘」。そのトキワ荘のあった街、椎名町の散策拠点となる「豊島区トキワ荘通りお休み処」が12月15日にオープンした。
オープンに先立ち、前日14日にオープニングセレモニーが開催された。関係者を招いての記念式典・内覧会のほか、地域に伝承される長崎獅子舞、地元の富士見台小学校の児童によるマーチングバンド部のパレードなどが行われ、地域はお祭りムードに包まれた。
トキワ荘は昭和57年に取り壊され現存はしていない。かねてから地元住民は、トキワ荘でのマンガ家たちの活動を地域文化として継承するとともに、文化資源として全国に発信し、地域活性化を図ろうと、さまざまな取り組みを行なってきた。平成21年4月に跡地近くの区立南長崎花咲公園に記念碑「トキワ荘のヒーローたち」、平成24年4月には跡地に「トキワ荘跡地モニュメント」が設置された。また、当時の最寄り駅でもあった西武池袋線椎名町駅には駅舎改修にあわせ、平成24年11月にトキワ荘に住んだマンガ家やそのキャラクターが壁画として整備されるなど、トキワ荘のあった街・椎名町の文化が地域から発信されている。
最近では、この地を訪れる来街者も徐々に増えてきたが、トキワ荘のあった界隈に散策拠点となる施設がなく、地域より、その設置が強く要望されていた。
今回、地域の要望を受け、トキワ荘通りお休み処が、地元の商店街の空き店舗を活用し整備された。昭和元年築の木造2階建ての商家で、通称「トキワ荘通り」に面しており、トキワ荘に若きマンガ家たちが住んでいた頃にもあったお米屋さんだ。式典では鈴木伸一さん、水野英子さん、よこたとくおさんなどトキワ荘に住んだマンガ家たちがお休み処の看板に一筆を入れる場面もあった。往時の面影を残し、昭和レトロな雰囲気の建物の1階部分にはトキワ荘関連グッズの販売や休憩スペースを設け、トキワ荘のマンガ家の作品も閲覧できるようになっている。さらに、2階には、お休み処の中心的な展示となる「トキワ荘の部屋」を再現した。この部屋はトキワ荘に2人目のマンガ家として入居した寺田ヒロオの部屋をモデルとしている。寺田は、トキワ荘では兄貴分のような存在であった。
これまで、地域の取り組みの中心となってきた「トキワ荘通り協働プロジェクト協議会」の小出幹雄さんは「マンガ文化のルーツ的なトキワ荘の地元に、小さいながらも拠点ができた意義は大きい。全国の関連ミュージアムなどとも連携しながらマンガ文化を世界に発信していきたい」と今後の取り組みについて語った。
区担当者も「今回、トキワ荘通りお休み処の開設に合わせて、地域の要望であったトキワ荘のマンガ家のゆかりの場所に解説板を5カ所設置しました。新しい散策マップも制作しましたので、マップ片手にトキワ荘のあった街を回遊してみてはいかがですか」と来館を呼びかけている。
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