鎌倉街道をたどる 新庁舎仮囲いに絵図掲示
平成27年竣工の新庁舎建設予定地(南池袋2丁目45・46番地の一部)の仮囲いに、かつての鎌倉街道の絵図「豊島区の鎌倉街道をたどる」が掲示されている。
豊島区を通過した鎌倉街道は、新宿区西早稲田から神田川を面影橋で渡って区内に入り、宿坂を経て、雑司が谷鬼子母神堂の東側付近を抜けて北上したと言われている。今回描かれた絵図では、区内の現在の道筋や様子とともに、鎌倉街道が通っていたと思われる場所を印してある。
制作に携わったのは、豊島区内に居住する画家・郷土史家の矢島勝昭(やじま かつあき)氏(85歳)。矢島氏が鎌倉街道に深く興味を抱いたきっかけは、豊島区の歴史を記した「豊島区史」(編纂・豊島区史編纂委員会、発行・豊島区)との出会いだ。同冊子資料編(三)の中の「若葉抄」(金子直徳著)を読んだところ、旧雑司が谷・高田・西巣鴨の詳細な鎌倉街道の実地見聞が書かれているのを発見。夢中で内容を読み取り、現在の地図地形と対照しながら十数枚の試作地図を作成してみたとのこと。以来、正史に残らない地域の「鎌倉街道」に焦点をあてることで、郷土の誇りとし、区への愛郷心を高めたいという思いから、何らかの形で広く周知できないかと考えていた。
現在、豊島区役所の新庁舎が入る建物の建設工事が進んでいるが、ここは偶然鎌倉街道の名残だと思われる道筋の東側にあたる。建設中は仮囲いで覆われているが、この仮囲いが周知場所として活用できるのではないかという話になり、この度、仮囲いの南西側に建物の施行者である南池袋二丁目A地区市街地再開発組合、及び区と協力の上、自身の研究成果である「豊島区の鎌倉街道をたどる」を掲示した。絵図には散策ガイドとともに、分かりやすく迂回路も示してあり、かつての鎌倉街道を散策しやすいよう配慮されている。
矢島氏は、「豊島区内に鎌倉街道が通っていたということを、知っている人は少ないのでは。地域の歴史を知るきっかけとしてもらいたい」と話している。
»» BACK
|