2014年2月

第3022号 2014年2月19日号


豊島区の将来見据えて
 第1回高野区長所信表明


 平成26年第1回豊島区議会が開会、初日14日に招集あいさつ・所信表明に立った高野之夫豊島区長は平成26年度施政方針について、平成26年度予算案について、平成26年度の事業展開について――要旨次のように述べた。

 平成26年度の施政方針について

 第一に、新庁舎整備について申し上げます。この度、新庁舎の業務開始日を平成27年5月7日(木)と定めました。あと447日、1年と2か月余りでありまして、いよいよその日が迫ってきているかと思いますと、万感の思いが込み上げてまいります。

 業務開始に先立ちまして、3月23日(月)に“落成式”を挙行いたします。その後、29日(日)まで“区民見学会”を予定しておりまして、可能な限り多くの皆様に、新庁舎をご案内させていただきたいと考えております。建設工事は着々と進行中で、現在、高層部は37階を工事しており、低層部南側の鉄骨の組み立ても始まりました。エコヴェールも一部姿を現し、次第に全体像が見えてまいりました。今や、区内の各所から、大地に大きく根を張る大木のような、その雄大な姿を望むことができます。

 さて、改めて言うまでもありませんが、新庁舎整備は、本区にとって非常に大きな意義を持つプロジェクトであります。

 まず、新庁舎では、区民の皆さんに最高レベルの行政サービスを提供いたします。

 3階の総合窓口と、4階の福祉総合フロアを、年末年始と祝日を除く345日間開庁し、一年間365日対応するコールセンターを設置するなど、全国にも例を見ない高いレベルの行政サービスを実現いたします。

 さらに、新庁舎は、文化・環境・防災の施策を象徴するシンボルであり、従来の区役所のイメージを一新する施設であります。まず、文化のシンボルとしては、私が陣頭指揮をとって「新庁舎まるごとミュージアム構想」を進めております。現在、壁面や空間を有効に利用した内装設計を詳細に詰めているところでありますが、新庁舎各階に、執務スペースと美術品等の展示が調和するフロア空間を作ってまいります。区が所蔵する美術品や、児童・生徒、障害者の皆さんの作品展示、区の歴史資料の展示などを通じて、新庁舎を作品鑑賞の場、豊島区について学ぶ場としていくことが、まるごとミュージアム構想であります。

 また、環境のシンボルとしては、10階の屋上「豊島の森」とともに「豊島エコミューゼ」が既にシンボリックな存在となっておりますが、さらにこれを十二分に活かしてまいります。このため、教育委員会では、今年度中に「豊島の森」を活用した環境教育プログラムを発表することになっています。

 昨年暮れ、区内の全小学生7,000人に「新庁舎の『豊島の森』にあったらいいなと思うもの」というアンケートを実施いたしました。その中に寄せられた子どもたちの夢やアイディアは、ビオトープやせせらぎを活かした「親子お月見観賞会」「メダカの里親制度」など、大変、夢のある環境教育プログラムとして「豊島の森づくり」に生かされていく予定でありまして、今までにない、環境問題に関する画期的な教育的取り組みであると考えております。

 また、「豊島の森物語」というDVDを作成し、新庁舎を訪れた児童や区民の皆さんを対象に、豊島区の位置する武蔵野丘陵の変化や池袋周辺の緑の成り立ちを、映像を通して学べる場を整え、新庁舎を活用した環境教育に彩りと広がりを持たせてまいります。

 新庁舎は、区民の皆さんにとって利便性の高い「サービスを受ける場」というだけでなく、「区の自然環境や文化・歴史に触れ、豊島区について学ぶ場」であり、まさに庁舎全体が“エコ・ミューゼタウン”なのであります。

 さらに、防災のシンボルとしては、災害時の司令塔機能を一段と高めるため、5階の区長執務室のすぐ近くに、防災・危機管理関連の4つの課を集め、総合的な防災・危機管理体制を整えます。同フロアには災害対策本部室となる会議室も配置しておりまして、緊急を要する事案が発生した際には直ちに災害対策本部を設置し、迅速な対応をとってまいります。

 また、区民の皆さんにリアルタイムで防災情報を提供するなど、防災の拠点にふさわしい他に例を見ない最新鋭の総合防災システムの整備を進めてまいります。

 第二に、安全安心創造都市づくりについて申し上げます。

 新庁舎整備とともに、長年の課題であった池袋駅東西連絡通路、いわゆる東西デッキ構想と、造幣局周辺のまちづくりが動き出しました。

 池袋駅の東西デッキ構想は、31年前の昭和57年に当時の豊島区基本計画に位置付けられ、以来、検討を進めてまいりましたが、なかなか実現に至りませんでした。

 しかし、平成23年3月11日の東日本大震災の発生、そしてその直後の池袋駅周辺で帰宅困難者があふれたあの日の経験を契機として、安全に避難・滞留ができる歩行者空間としての東西デッキの有効性について、区及び関係事業者が認識を共有することができたのであります。

 そして、昨年10月にはJR東日本、11月には西武鉄道と覚書を締結し、ついにデッキ予定地での測量及び調査に着手することとなりました。今後、これらの結果をもとに、1日も早いデッキ実現に向けて関係者との協議を進めてまいります。

 また、造幣局東京支局は、平成28年度当初からの、さいたま市での移転操業が確実となり、造幣局地区まちづくりの事業化へ向けたスケジュールが、いよいよ定まってまいりました。

 先般、災害に強く文化とにぎわいを兼ね備えた街づくりを目的とする、「造幣局地区街づくり計画」の中間まとめを行ったところでありますが、中でも特に重要な防災機能の確保については、防災公園が1.6ヘクタール以上と区内最大の公園となることから、ヘリポート、救援物資の集積所、非常用エネルギーの確保などの機能を、この公園内に整備することを検討しております。

 平成26年度には、地域の方々の参加も得ながら公園の基本設計を行うとともに、市街地整備区域を含めた造幣局敷地全体の街づくりを総合的にコーディネートするため、地区計画の都市計画を定めていく予定であります。

 次に、木密地域の不燃化対策の推進について申し上げます。

 東京都による特定整備路線の事業説明会が昨年11月に終了し、いよいよ区が担当する沿道まちづくりを推進する段階に入ってまいりました。昨年9月、3地区の「不燃化特区」追加申請を行いましたが、4月には正式に指定される見通しでありまして、今年度中には整備プログラムを取りまとめてまいります。

 また、東京都の重点整備地域に指定されている「雑司が谷一・二丁目、南池袋四丁目地区」については、不燃化特区・密集事業の導入に向けた調査に入ります。これによりまして、区内のすべての重点整備地域で対策に着手することとなります。

 つい先日、区内の東京商工会議所、商店街連合会、町会連合会、観光協会、産業協会、法人会の6団体と、池袋西地区開発委員会の皆様からなる、「豊島区木密地域不燃化整備推進協議会」から、区民の生命と財産を守るため、木密地域不燃化10年プロジェクトはスピード感を持って推進するよう、強い要望をいただきました。

 皆様のご期待に応えられるよう、迅速にかつ丁寧に事業を遂行すべく全力で取り組んでまいります。

 さて、今年は、東日本大震災から丸3年を迎えます。時の経過の速さを感じる一方で、被災地では、復興が思うように進まず、多くの方々がご苦労しておられます。

 今、何よりも重要なことは、私たちは、被災地のこと、被災者の皆さんのことを決して忘れていないというメッセージを、発し続けることではないでしょうか。

 そうした思いを込めて、来る3月11日、東京芸術劇場において「東日本大震災復興支援プロジェクトinとしま『こころの詩でつなぐ絆』」というイベントを開催いたします。第一部は、区職員、区内大学や西巣鴨中学校サポートクラブによる被災地支援活動の報告会、第二部は小椋佳さん、ソプラノ歌手の森麻紀さんによるコンサートでありまして、豊島区に避難している被災地の皆さんをご招待させていただきます。 また、チケット収入の一部を被災地への義援金に充てますので、コンサートに来ていただくことが支援活動になる、文化と被災地支援が融合したイベントであります。

 また、去る2月6日には、区民センターで「非核平和イベント」を開催いたしました。これは、「日本非核宣言自治体協議会」が毎年開催している研修会の一環として行われたもので、本区が共催いたしました。全国で300近くに上る非核都市宣言自治体の連携による事業が、区内で開催されたことは、大変名誉なことであったと考えております。田上富久長崎市長の挨拶に続いて、被爆体験講話、基調講演が行われ、平和の大切さを考える貴重な機会となりました。本区は、東日本大震災を決して忘れず、非核都市宣言都市にふさわしい、平和で安全・安心なまちづくりを進めてまいります。

 第三に、文化とにぎわいの発信拠点の整備、池袋副都心再生について申し上げます。

 現庁舎地の跡地活用をどう計るかは、池袋副都心の再生、文化とにぎわいの創造に欠かせない重要なプロジェクトであります。

 現庁舎、公会堂、区民センターの3敷地と、それらとの連携を図る中池袋公園は、「まちのにぎわいを呼び、魅力と回遊性を高める」拠点として整備いたします。

 その指針として策定いたしましたのが、新庁舎と現庁舎をあたかもダンベルの両端のように位置づけ、池袋東口エリアの将来の姿を示す「現庁舎周辺まちづくりビジョン」、そして文化創造都市の新たなシンボルとして整備する「(仮称)豊島区新ホール基本計画」であります。

 新庁舎が完成した後、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて現庁舎地の活用をスタートさせることとなる今こそ、街を変える最大のチャンスであり、この機を逃せば、池袋副都心の再生はあり得ないと考えております。

 計画では、質の高い舞台芸術や音楽を発信する場となり、また、成人式や小中学校の連合行事など、区民活動の檜舞台ともなる新ホールの整備、そして新ホール・新区民センターと連携した交流広場に生まれ変わる中池袋公園、南北のにぎわい動線を生み出す区道整備、池袋の顔となる新庁舎へのアクセスを担うグリーン大通り、さらには潤いと安らぎの拠点となる南池袋公園や新庁舎周辺の整備など、複数の事業を同時進行させ、新宿・渋谷とは一味違う、池袋ならではの個性あるにぎわいの創出を進めてまいります。

 一方、池袋駅西側は、比較的小規模な建物が密集し、老朽化している建物も多く、災害時には課題を抱えております。そのため、平成19年より地元の方々が中心となって西口開発について検討を進めてまいりました。

 昨年2月に開発協議会が中心となり、まちづくり構想(素案)を作成しておりますが、11月には、まちづくりの協力者として大手デベロッパーを迎えることになりましたので、今後は、多くの来街者が安心して回遊できる西口の実現に向けて、より具体的な検討段階へと進んでまいります。

 そして、いよいよ3月末には、これら池袋東西の各種事業の要となる、現庁舎地活用に関する「事業者募集要項」を公表いたします。

 昨年の7月以降、現庁舎地が持つポテンシャルやまちづくりの方針をアピールしつつ、民間事業者への聞き取り調査を重ねてまいりましたが、このヒアリングを通して、リーマンショック以後の不動産市況の回復の遅れや建築コストの高騰など、厳しい社会経済状況の中にあっても、数多くの民間事業者の現庁舎地活用への進出意欲を高めることができたものと確信しております。

 事業者募集要項の公表後、8月末までを提案の受付け期間とし、11月頃には優先交渉権者を選定したいと考えております。そして、新ホールや借地権に関する優先交渉権者との協議を踏まえ、平成27年の秋頃には“定期借地権設定契約”を締結し、平成30年度末には事業者の活用計画が完成するよう取り組んでまいります。

 なお、募集要項の詳細につきましては、最終的な確認を行ったうえで、今定例会の最終日にお示しいたします。第四に、福祉について申し上げます。

 まず、待機児童対策について申し上げます。

 本区は、待機児童対策が大きな行政課題として取り上げられる以前から、計画的に保育施設の整備を進めてまいりました。その結果、保育希望者を認可保育園で受け入れている割合は、現在23区中で上から5番目という高い水準にあります。

 さらに、昨年、待機児童対策緊急プランを策定し、小規模保育などにより約300名の受入枠を整備することといたしましたが、この緊急プランは、概ね順調に推移しており、平成26年度当初には250名の受入枠の増加を達成できる見込みであります。

 しかしながら、新たな施設を整備するたびに待機児童が増えるという「潜在的待機児童問題」にも直面しておりまして、本年4月における認可保育所の入園希望者は、昨年と比べて222名増加しております。予想を上回るペースで希望者が増えているのは、こうした問題の表れであると分析しております。

 また、子ども・子育て関連3法の施行により、今後、短時間勤務でも保育園に預けることが可能となりますので、更なる入園希望者の増加が予想されております。

 加えて、小規模保育や保育ママは、0歳児から2歳児までが対象であるため、施設を卒園した児童が再び待機児童にならないための対策も必要になってまいります。

 こうした様々な状況に対応するためには、この間進めてきた緊急的な対策に加えて、5歳児まで保育ができる認可保育所の整備をバランスよく行っていく必要があると判断いたしました。

 そこで、今後の方針として、保育計画・緊急プランの実施と並行して、私立認可保育所の整備により300人から500人程度の定員枠拡大を図ることといたしました。

 スピード感を持ってさらに待機児童対策を推進し、平成29年度までに待機児童ゼロを達成すべく、組織の再編も含め、積極的に対応してまいります。

 次に、特別養護老人ホームの整備状況について申し上げます。

 千川小学校・旧中央図書館の跡地を活用した2か所の特別養護老人ホームの整備につきましては、公共工事の入札不調が相次ぐ中で心配された施工事業者も、昨年末に決定し、それぞれに無事、着工の運びとなりました。

 旧千川小学校跡地の福祉施設は、来年の春にはオープン予定であります。また旧中央図書館跡地の施設も来年春頃には完成し、夏前にはオープンする見込みとなっております。これにより、約200床の受け入れ枠が確保されることになりますが、平成26年度は、課長ポストを設置して体制強化を図り、2つの運営法人とともに円滑な入所調整に向けて取り組んでまいります。第五に、豊島区ブランドについて申し上げます。

 まず、ブランドの一つ、ソメイヨシノでありますが、3月3日から新たな52円切手の絵柄がソメイヨシノに切り替わるそうであります。また、さくら小学校、巣鴨北中学校で今月、ソメイヨシノの植樹を行うほか、4月には、日本さくらの会の桜まつり中央大会で、発祥の地をアピールしてまいります。

 今年は、5月の“新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館”の開催に合わせて、JR東日本が「駅からハイキング 豊島区芸術散歩~池袋モンパルナスの面影を訪ねて」というイベントを開催いたします。池袋駅から立教大学などを経て、熊谷守一美術館など、区内の文化資源を巡り歩くコースが予定されていますが、「駅からハイキング」は、毎年、大変な人気を博しておりまして、官民協働で区のブランドを発信してまいります。

 また、今年で7回目となる「としまものづくりメッセ」では、「梟」と「桜」のオリジナルフレーム切手が発売されます。豊島区のシンボルである梟、ソメイヨシノなどを生かして、今年も、あらゆる機会をとらえて区の魅力を発信してまいります。

 なお、平成24年11月に都内初のインターナショナルセーフスクールの認証を取得した朋有小学校では、3年に1回の再認証に向けて動き始めています。

 さらに、26年度には、区内2校目となるセーフスクール認証取得に向けて富士見台小学校で活動を開始する予定であります。

 平成26年度は、豊島区ならではのオンリーワンの魅力を高め、10年後20年後を見据えた、“住みたいまち、訪れたいまちづくり”を推進する、大きな一歩を踏みだす年と位置づけ、以上申し上げました5つの施政方針を着実に推進してまいります。


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