2014年2月

第3023号 2014年2月26日号


高野区長所信表明


 平成26年度予算案について

 一般会計と3つの特別会計を加えた平成26年度の総予算規模は、1,623億9,000万円、対前年度比4.8%の伸びとなり、すべての会計がこれまでで最大の予算規模となりました。

 このうち、一般会計予算は、1,080億8,600万円、対前年度比5.7%の伸びとなり、過去最大であった平成5年度予算を21年ぶりに上回っております。

一般会計予算の主な歳入では、特別区民税が258億2,700万円となり、特別区財政調整交付金は、普通交付金を285億円と見込み、特別交付金の15億円と合わせて300億円を計上いたしました。

 また、地方消費税交付金は、本年4月からの消費税率のアップに伴い、12億500万円の増、30.6%のプラスとなる51億4,600万円を計上しております。

 特別区債は、目白小学校、池袋第三小学校、池袋本町小中連携校の改築が重なったことなどにより、53億3,700万円、94.1%増の発行となりました。起債依存度は2.2ポイント上昇し、4.9%となりました。

 次に、歳出でありますが、人件費と事業費がそれぞれ微増となり、また、投資的経費については大幅な増加となりました。

 人件費については、退職手当の増により、208億2,000万円、1.2%の増となっております。

 事業費については、公債費、扶助費、基金積立金などの減要素がある一方で、新庁舎の関連経費をはじめ、待機児童対策、健康対策等の事業について、積極的な新規・拡充経費を盛り込んだ結果、総額は、698億200万円、2.6%の増となっております。

 投資的経費については、学校の改築が重なったことなどにより、174億6,400万円、27.9%の増となりました。

 歳出の性質別予算計上の状況は以上のとおりですが、平成26年度予算は、154事業、46億円を超える新規・拡充事業を盛り込み、区民の皆さんからの新たなご要望に可能な限り応えた「積極型の予算」となっております。

 また、財源不足を補う「土地の売却」や「財政調整基金の取り崩し」などの財源対策を一切講じない「堅実な予算」ともなっております。特別な財源対策を講じることなく予算を編成することができたのは、平成20年度予算以来6年ぶりであります。  さらには、財政調整基金の26年度末の残高は111億1,200万円と見込んでおりまして、本区にとって、初めて100億円を超える見通しとなりました。26年度予算は、盤石な財政運営に向けて「将来を見据えた予算」にもなっていると考えております。  平成24年度決算は、「経常収支比率」や「公債費比率」などの財政指標が大きく改善された非常によい決算でありました。加えて、今回の平成26年度予算は、「積極型」でありながら、「堅実で将来を見据えた予算」を組むことができたわけでありまして、これまでの財政健全化に向けた努力がこうした決算・予算に反映され、本区の財政構造は着実に改善しており、明るい未来に向けた様々な施策を展開していくために必要な「盤石な財政基盤」を確立しつつあると認識しております。

 しかしながら、今後につきましても、景気の回復傾向に対しましても、決して気を緩めることなく、将来への備えとして可能な限り財政調整基金をはじめとした各種基金の積み増しを着実に進め、健全性・計画性・安定性を一層向上させ、引き続き、持続可能な財政運営に取り組んでまいる所存であります。

 平成26年度の事業展開について

 (1)安全・安心

 はじめに、駅周辺エリア防災対策、すなわち帰宅困難者対策の充実・強化につきましては、「防災対策基本条例」に基づく取り組みを着実に推進してまいります。

 昨年12月、区は、池袋駅に乗り入れる鉄道事業者をはじめ、駅周辺の百貨店、ホテル、大学、寺院など、17の事業所と協定を締結し、約1万人分の一時滞在施設・一時待機場所を確保いたしました。今後もこうした事業所との連携の輪をさらに広げる取組みを推進してまいります。

 また、現在の「池袋駅周辺混乱防止対策協議会」を発展的に改編した「駅周辺エリア防災対策協議会」による池袋駅周辺の安全確保計画の策定に取り組んでまいります。

 この計画では、実践的な訓練の実施など、これまでのソフト対策に加え、新たに情報提供体制の整備や退避経路、備蓄スペースの確保などのハード対策も盛り込み、より効果的な駅周辺エリア防災対策を推進してまいります。

 次に、名簿を活用した災害時要援護者対策の取り組みについて申し上げます。

 昨年末、約8,700人の対象者に対して「災害時要援護者名簿への登録のご案内」を送り、登録の意思確認をいたしました。これまでに1,000人強の方から「不同意」との連絡を受けておりますが、今後、年度末までに合計3回の意思確認の機会を設け、本人の意思に反して名簿に登載されることのないように留意して名簿の整理を行ってまいります。

 また、“障害を持つ対象者”につきましては、民生委員の皆さんに情報提供を行うとともに戸別訪問をお願いし、最終的な名簿登載への確認を取っていただくことを想定しております。  そして、夏頃を目途に町会や消防機関等に対する個人情報の取り扱いについてのセミナーを開催し、地域との名簿共有を実現していきたいと考えております。

 今後、福祉救援センターでの対応など、福祉事業者をはじめとする関係機関との連携協力体制のあり方等につきましても精力的に検討してまいります。

 (2)福祉

 消費税の引き上げに伴う低所得者等への対策として臨時福祉給付金・子育て世帯臨時特例給付金が支給されることになりましたが、本区においても円滑な給付ができるよう鋭意取り組んでまいります。

 区内では5万人を超える対象者がいるものと推計しておりますが、広く区民の皆さんに制度の周知を図り、申請漏れが生じることのないよう進めて参ります。

 そのため、26年度は時限的に担当課長を配置し、保健福祉部、区民部、子ども家庭部はもとより全庁的な連携のもとに十分な対応を図ってまいります。

 次に、生活困窮者に対する支援について申し上げます。

 先の臨時国会において「生活困窮者自立支援法」が可決成立しましたが、この法律の趣旨は、増加しつつある生活困窮者に対し、生活保護に至る前の段階で適切な支援を行うことにより、自立の促進を図ろうとするものであります。

 本区は、平成27年4月の法施行に先立って、26年度にモデル事業を開始し、支援プランの作成や支援機関の相互連携による“自立相談支援事業”、貧困の連鎖防止を目的とした生活困窮家庭の“子どもへの支援”に取り組み、相談支援員としてコミュニティ・ソーシャルワーカーを活用する本区ならではの仕組みを構築したいと考えております。

 平成27年4月からは、(仮称)自立促進課の設置を予定しておりますが、26年度には準備担当組織を設置し、円滑な事業実施体制の構築に努めてまいります。

 次に、コミュニティ・ソーシャルワーカーの拡充について申し上げます。

 区民の抱える悩みや相談ごとが、高齢化の進展と合わせて一層複雑化しております。また、ネグレクトにつながりかねない子どもをめぐる課題なども懸念される中、セーフティネットの結び目となるコミュニティ・ソーシャルワーカーの存在意義はますます高まり、民生委員をはじめ区民の中にその活動が広く浸透しております。

 現在4圏域内の区民ひろばを拠点に配置しておりますが、26年度にさらに2圏域の拡充を図り、27年度以降早い時期に最終目標である8圏域全てで配置を行うとともに、関係機関、団体との連携を強めながら新たな事業開発や仕組みづくりを進めてまいります。

 (3)健康

 昨年4月に施行した「歯と口腔の健康づくり推進条例」に基づき、昨年5月以来、「歯と口腔の健康づくり推進計画」の策定について検討を重ねてまいりました。平成26年度は、この計画に基づいて、あぜりあ歯科診療所に「在宅歯科医療相談窓口」を開設し、デジタルレントゲンシステムを更新します。

 また、教育委員会においては、「歯と口腔の健康に関する教育プログラム」を策定し、区立小・中学校、幼稚園において、歯科衛生士の講話、位相差顕微鏡を活用した細菌の観察、全小学校における給食後の歯みがきなどを通じて、むし歯や歯周疾患の予防を図るなど、総合的な取組みを推進してまいります。

 (4)子育て・教育

 本事業は、認証保育所を利用している方の経済的負担を軽減するため、一定額を補助するものでありますが、 この度、補助内容を大幅に拡充することといたしました。

 これまで2区分、上限2万円の補助となっておりましたが、区分につきましては4区分に細分化して、補助対象者の範囲を拡大いたします。また、上限額を2万円から4万円に倍増することといたしました。

 思い切った拡充を図り、保護者の皆様の要望に応え、子育てしやすい環境を整えてまいります。

 次に、教育について申し上げます。

 まず、「豊島区いじめ防止対策推進条例」の制定について申し上げます。

 昨年6月、「いじめ防止対策推進法」が成立し、10月には、「いじめの防止等のための基本的な方針」が策定され、社会全体でいじめの問題に対峙する基本理念や体制が整えられました。東京都におきましても、今年度中に「東京都いじめ防止基本方針」、「東京都いじめ防止条例」が策定される予定であります。

 本区は、一昨年9月、私と教育長の連名でいじめに関する緊急アピール「人に優しく、思いやりにあふれるまちにしよう」を発表し、いじめは絶対に許さないという断固たるメッセージを児童・生徒や区民にお伝えしてまいりました。

 本年は、さらに、国や都の動向と軌を一にして、いじめ防止の条例化を図る意思決定がされたと報告を受けております。現在、教育委員会では、「いじめ防止対策方針策定委員会」を設置し、条例化に向けた作業を鋭意進めております。条例化に当たっては、学校・家庭・地域の方々、そして、何より児童生徒が論議を尽くし、反映していくことが重要ですので、丁寧な意思形成過程を経(へ)るよう支援してまいります。

 次に、学校改築について申し上げます。

 本年8月に竣工予定の目白小学校は、基礎工事が終わり、躯体工事が精力的に進められております。また、池袋第三小学校と池袋本町小中連携校は、基本設計が終わり、実施設計もほぼ固まりました。今後、本年4月からの池袋第二小学校に続き、順次、既存校舎の解体工事に取り掛かります。

 そして、平成26年度は、巣鴨北中学校の「建替えを考える会」を立ち上げ、町会やPTAなど地域の方々との協働によって、共に学校改築を考え、地域のまちづくりと連動するよう検討を進めてまいります。

 学校改築にあたりましては、地域の皆様のご意見に誠心誠意、耳を傾け、英知を結集して、時代のニーズに対応した、21世紀を担う子供たちにふさわしい、学ばせたい学校、地域の誇れる学校を建設してまいります。


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