2017年5月

第3167号 2017年5月24日号


豊島の財産“モリカズ”
 熊谷守一32周年展開催中


 「熊谷守一美術館32周年展」が豊島区立熊谷守一美術館(千早2-27-6)で6月25日まで開催されている。小さな生き物や身近な自然を独自の眼差しで描いた画家・熊谷守一(1880-1977)の油絵約60点と、墨絵・書など約35点を展示している。

 32周年展では、所蔵作品のほか、岐阜県中津川市に2015年にオープンした熊谷守一つけち記念館から「海の図」「つつぢ」「かたばみにいぬのふぐり」など油絵11点、メナード美術館(愛知県小牧市)から「ざくろ」「群鶏」を借用し展示する。なかでも、特別展のポスターやDMとなっている「牛」は、くすんだピンクを背景に、どっしりと座り込んだ白い牛の後ろ姿を描いたものだ。限られた色彩と明快な線で描かれた牛は、泰然自若とした存在感を放っている。

 熊谷守一の晩年の油彩は、グラデーションや色を重ねることがほとんどなく、花や風景や生き物などモチーフを、色面で描いているように見える。しかし原画を見ると、下絵の細い鉛筆の線が、きれいに塗り残されており、その線からは、熊谷守一が長い年月をかけてとらえた“形”や“ものの見方”がくっきりと浮かび上がってくる。油彩の描き方としては独創的で、他作家にない独特な技法だが、どの作品も瑞々しく美しい。また、70歳以降の作品のほとんどが4号サイズと、油彩としては小さな作品が多く、キャンバスでなく板を好んで描いているのも特徴だ。1度見たら忘れられない印象的な作品が多い。熊谷守一の次女で同館の館長の熊谷榧さんは、「開館してからあっという間に32年が経ちました。亡くなって40年が経っても、皆様から忘れられずにきて、ありがたいことだと思っています」と語った。

 今年は没後40年にあたることから、岐阜・愛知・和歌山で、それぞれ「熊谷守一展」が立て続けに開催されている。12月1日からは、東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園3-1)での大規模な「熊谷守一展」も予定されている。

 【熊谷守一美術館】1985年に私立美術館として開館。2007年11月に、末永くこの場所で作品を見てもらいたいと、次女の熊谷榧氏より熊谷守一作品153点(うち油彩画23点)の寄贈を豊島区が受け区立美術館となった。特別企画展でない期間の常設展示(通年)は1階と2階の展示室で、油絵・墨絵・書など約60点が展示されている。特別企画展中は3階まで企画展示。


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