2018年6月

第3214号 2018年6月13日号


小さな生き物や鳥
 熊谷守一美術館33周年展


 豊島区立熊谷守一美術館(千早2-27-6)にて、「熊谷守一美術館33周年展」が開催されている。

 小さな生き物や身近な自然を独自の眼差しで描いた画家・熊谷守一(1880-1977)の油絵約50点と、墨絵・書など約50点を展示している。6月24日(日)まで。

 熊谷守一美術館は、熊谷守一が亡くなるまで45年間住み続けた豊島区千早の旧宅跡地に、次女の熊谷榧(かや)氏が創設した美術館。開館記念日に併せて開催している特別企画展も今年で33回目を迎える。33周年展では、所蔵作品のほか、岐阜県中津川市付知町(つけちちょう)に2015年にオープンした熊谷守一つけち記念館から『立秋の朝』(1959年)、『あぢさい』(1970年)、『朝の富士』(1957年)など油絵10点と墨絵2点、岐阜県美術館からは『百日草』(1962年)、『野菜』(1949年)、『仏画下絵』(1959年)の3点を借用し展示している。そのほか、著書と画集の表紙にもなっている個人所蔵の『牝猫』(1959年)も展示の見どころだ。

 1階には借用や寄託を受けた作品、2階には初期の頃に描かれた油絵、通常は貸しギャラリーとなっている3階には書や墨絵が展示されており、常設展示よりおよそ30点多くの作品を鑑賞することができる。草花や鳥、風景など、若い頃から晩年までの作品を鑑賞しながら、戦前、戦中、戦後を生きた守一の97年に渡る画家としての生涯を追っていける。初期の作品は色合いの落ち着いたアカデミックな作品が多いが、晩年の作品には、対象に焦点を当て、輪郭を丁寧に描き、陰影をつけずに色鮮やかに描いたものが多い。今回の展示ポスターになっている『百日草』は、晩年にあたる1962年(※熊谷守一82歳)の作品。小ぶりな作品でシンプルな構図だが、赤と黄色の色鮮やかな花びらが力強く表現されており、目を引き付ける。

 3月21日までは、東京国立近代美術館(東京・竹橋)で大回顧展「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」が開催され、現在は愛媛県美術館にて巡回展示中だ。5月19日からは、熊谷守一をモデルにした映画が全国で公開されるなど、いまなおその人と作品が注目を集めている。


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