2009年2月

第2801号 2009年2月25日号


文化を中心に都市づくり
 高野区長、区議会招集あいさつ


 平成21年度第1回豊島区議会定例会が20日、開会された。会期は3月27までの35日間。初日、招集挨拶・所信表明に立った高野之夫区長は、「平成21年度の施政方針について」「平成21年度予算案について」「平成21年度の事業展開について」「新庁舎整備について」の4項目について語った。その中から施政方針と、新庁舎について(要旨)紹介する。

平成21年度の施政方針について

 区財政においては、昨年12月の段階において、都区財政調整交付金29億円の減をはじめ、急転直下41億円もの財源不足が明らかとなり、これからの区財政の運営は新たな危機に直面することになったのであります。

 しかし、こうした時こそ原点回帰、初心に立ち帰って、これまで進めてきた改革の方向を改めて見定めることが大切であります。改革とは、そもそも危機に直面し、それを乗り越えることによって鍛えられるものであり、これまでの「未来への改革」の成果を踏まえ、地域の総力を結集して危機に立ち向かう気概こそが、私たちに求められているのであります。

 平成21年度についても、「区民生活の安心」と「明日への活力創造」を大方針として掲げ、「未来戦略推進プラン」に位置づける政策を展開してまいります。

(文化創造都市づくり・新展開)

 先月1月30日、豊島区は、これまでの文化政策の取り組みが評価され、昨年度から文化庁が創設した「文化芸術創造都市部門」における長官表彰を受賞いたしました。

 昨年度の横浜市、金沢市、近江八幡市、沖縄市に続き、平成20年度は、札幌市、兵庫県篠山市、山口県萩市、そして東京からは初めてとなる豊島区の4都市が選ばれたものであります。

 豊島区は、池袋副都心をはじめ、区内の各地域に豊かな歴史と誇るべき文化資源を持つまちであります。駒込、巣鴨、大塚、目白、雑司が谷、そして長崎地域など、個性ある“地域ブランド”が響き合う姿を目指すことで、必ずや「住みたいまち、訪れたいまち」として、飛躍的な成長を実現できるものと確信しております。

 「池袋副都心・グランドビジョン」や、総合的なまちづくりを目指す「地域ビジョン」、そして日本一の高密都市から挑戦する「環境都市づくり」、さらには平成21年度最大の区民イベントとして位置づける、1万本の「植樹祭」についても、“文化の力”をもって地域再生を成し遂げようとする挑戦にほかなりません。

 私は、“文化の力”とは、芸術やアートの領域にとどまるものではなく、心豊かに生きるための「人間力」、地域の絆とアイデンティティを深める「地域力」、そして、新たな価値を生み出す「創造力」という三つの側面を持つものであると考えています。

 これらの力は、それぞれが相互に循環しながら、豊かな流れを生み出し続けるエンジンであり、文化を中心に都市づくりをデザインすることで、明日をひらく「経済力」を生み出していく姿こそ、私が目指す未来戦略であります。

(行政経営改革の継続)

 かつてない規模の改革を断行した「行財政改革プラン2004」の取り組みから、はや5年が経過いたします。来年度は、全ての事務事業について改めて総点検を実施するとともに、区民サービスの水準を維持しながら、さらに効率的な施策展開に向けた創意工夫を探ってまいります。また、部局別枠配分予算や行政評価制度、ビルド・アンド・スクラップの仕組み等についても、より統合的なシステムを構築すべく、全庁をあげて取り組んでまいります。

 平成21年度予算案の詳細については、この後詳しく申し上げますが、予算編成過程において見込まれた約41億円の財源不足については、現在の区民サービスを低下させないことを大前提として、財源対策に取り組んだところであります。

 今こそ、「入るを量りて出ずるを制す」という財政運営の基本原則に立ち、過去10年にわたる負の遺産を克服する改革から得た教訓を、活かす時であります。

 こうしたことから、今年度末で残高が約60億円となる財政調整基金については、平成22年度以降の不透明な景気変動に備えることとし、一切取り崩すことなく予算を編成したところであります。

 財源対策としては、旧中央図書館売却収入の計上や、起債の活用等を図ったほか、年末には全部局をあげて、事業執行に支障のない範囲で、約4億5千万円の経費縮減に取り組んだところであります。

 しかし、それでも財源不足の解消に至らなかったことから、やむを得ず、一般財源負担が大きな施設を中心に、大規模な施設整備や改修事業の着手時期を1年から2年延期することといたしました。具体的には、大明小学校跡地における生涯学習センター、平和小学校跡地における西部地域複合施設、そして勤労福祉会館と南大塚ホールの大規模改修が主な対象であります。

 また、平成21年度の新規・拡充事業についても、過去2年間、25億円を超える規模を確保してまいりましたが、約12億円程度にまで絞込んでおります。全体の規模は抑えておりますが、一層の選択と集中を図りつつ、将来を見据えて着実に推進すべき事業については、メリハリをつけて財源を配分いたしました。

 その中では、区独自の福祉施設における雇用対策や、都の緊急雇用創出補助金を活用した事業を含め、経済状況を踏まえた生活支援策として、31項目の事業・施策を位置づけ、約2億円を計上しております。

 なお、国の定額給付金と子育て応援特別手当につきましては、既に1月から専管組織を設置して準備を急いでおり、今定例会の補正予算として約40億円を計上しております。膨大な作業を集中して行うことになりますが、4月中旬には、対象世帯へ申請書を送付できるよう、全力で取り組んでまいります。

 さらに、土地開発公社に対するいわゆる隠れ借金についても、平成22年度までに解消するという方針を堅持し、今定例会の補正予算として約13億円を償還するとともに、今後も、財政状況を見極めながら、できる限り償還に努めたいと考えています。

 これにより、平成11年度末に872億円だった借入金総額は、今年度末には479億円、さらに平成21年度末には433億円まで減少し、10年間で440億円もの削減を達成する見込みであります。一方、基金残高についても、平成11年度末に36億円だったものが、今年度末で176億円となる見込みであります。

 職員数については、今年4月で約2,130人となります。清掃事業が移管された平成12年の2,908人から773人削減し、平成22年度に2,000人体制を構築するという目標の実現まであと一歩であります。

新庁舎整備について

 新庁舎の整備を含む南池袋二丁目A地区市街地再開発事業は、現在、都市計画手続きの段階に進んでいます。今年8月頃には都市計画決定を予定しており、今後とも地権者の方々と協力して再開発事業が順調に進むよう努力してまいります。

 一方、準備組合では、保留床を取得する事業者、いわゆる参加組合員の選定作業を行っております。今回の再開発事業では、事業リスクを少なくするため、事業資金の主要な負担者となる参加組合員を早期に確定する仕組みを考えており、都市計画と参加組合員を決定することで、新庁舎の整備計画をさらに具体化してまいります。


»» BACK

«« Go to TOP


〒170-0013 豊島区東池袋1-21-11 オークビル 5F
Copyright© 豊島新聞社 2003-2009
トップページ バックナンバー 豊島区の選挙 紙面で見る
区民の歴史
リンク集 豊島新聞について

豊島新聞綱領

本社事務所
〒170-0013
豊島区東池袋
1-21-11
オークビル5F

豊島新聞は
毎週水曜日
発行です

民の情報紙

株式会社
豊島新聞社

豊島新聞
TEL
3971-0423
FAX
3986-4244
情報・投稿
購読申込み
購読料
3ヶ月2,700円