2011年1月

第2882号 2011年1月1日号


2011年は大きな発展の年
 新春座談会
 新庁舎建設、セーフコミュニティ
 「区民の皆さんが主役です」


 足立 豊島区の皆様、明けましておめでとうございます。豊島区を代表する各界の皆様で新春座談会ということで新年に当たっての抱負や豊島区の未来を語っていただこうと思います。

 はじめに豊島区役所新庁舎について高野区長からお話を伺いたいと思います。

 高野 いよいよ永年の懸案であった新庁舎建設が事実上スタートします。新しい豊島区の目指す姿が新庁舎という形で現れます。これは区民サービス、防災、あるいは環境、文化を取り入れたなかで、21世紀に相応しい建物を作ろうということで、けして豪華なものを作ろうというのではなく、区民の皆様に大いに活用していただける、豊島区のシンボルになるような庁舎を目指しております。本当にここまで来るのに永かったですね。新年早々から素晴らしいスタートが切れると思っております。

 足立 区議会としてはいかがですか。

  新庁舎に関しましては12月に定例議会があり、三分の二の議決をえて位置変更条例が可決されました。これによって大きく新庁舎建設に向けて動き出しました。永年にわたる懸案でありました新庁舎整備が新たな幕開けを迎えたわけであります。区民の皆さま方にこういったご報告が出来てうれしく思っております。現在の庁舎は昭和36年から使用され、もう50年が経とうとしており、この間、職員の増加などさまざまな懸案がありました。本庁舎を含めて窓口が7ヶ所に点在するなど区民の皆様にご迷惑をおかけしてきましたが、これが新庁舎整備により1ヶ所で事足りるようにな素晴らしい庁舎、区民の皆様に喜んでいただける新庁舎が平成26年度末に実現する運びとなったわけです。区議会としても大変喜ばしいことと思います。

 足立 町会連合会も新庁舎建設推進の立場で永年活動してこられましたが。

 中村 ようやっと念願の新庁舎建設に目途がつき、区民にとって安全安心の城が出来ると喜んでおります。これを契機にますます安全安心の街づくりに力を入れてもらいますよう期待いたします。

 足立 区民、議会、行政が一体となって取り組んできた新庁舎建設に目途がついたということはとても明るいニュース。どのような建物になるのか、とても注目されています。環境、健康、区民サービス、防災など含めて、新庁舎が出来ることによってどのようになるのでしょうか。

 高野 新庁舎建設にあたって一番の課題はきびしい経済情勢、財政であります。こんななか、新しいものを作るという雰囲気ではないんですけど、この豊島区は永い間、莫大な借金を背負ってきましたが、その借金も三分の二まで返すことが出来、わずかですが貯金も出来、ある程度、財政も安定してきたところです。庁舎建設のために貯めてきた基金も全てゼロになっています。これ以上借金を増やしてはいけない財政事情の中で、区民の永年の要望である新庁舎を作り上げていくには、創意と工夫で行財政改革を進めてきた教訓を充分に生かしながら区民の皆様の理解をいただく庁舎建設であらねばならないと思っています。それがまさに大前提であると思っています。そんな中で現在の庁舎のある土地を50年の定期借地権で資産活用、議会で位置変更条例の承認をえ、まさに区民の皆様に税金の負担をあおがないで、その地域を市街地再開発事業として、ただ庁舎を建てるということでなく、地元の方々と一緒に再開発していく方法をとりました。低層階に庁舎、高層部に住宅という、おそらく全国で初めての試みです。本当に区民の皆様のご理解のおかげでようやくここまできました。

 庁舎は区民の皆様のお役に立つものでなければなりません。一階の一部にはかなり広いスペースで区民ひろばセンターを設けまして、災害の時には対策本部として、また普段は区民のみなさんに自由に使っていただけるよう考えています。3階から9階は機能的な庁舎、10階には特色である屋上庭園として雑木林「豊島の森」を作って環境教育に役立てます。あわせて住宅部も太陽光エネルギーを吸収するような21世紀の建物に相応しいものになるよう、区民の思いが詰まっているそんな夢のある庁舎にしたいですね。また周辺の街づくりのきっかけとなり、面的広がりのある街づくりにつながる庁舎にしていかなければいけないと思っております。

 足立 区長の新庁舎建設への熱い思いが伝わり、明るい期待が持てますね。すぐに効果が現れるものではないでしょうが、未来の豊島区のためにきっと役立つものになってくれるでしょう。ヨーロッパの街づくりのように、目先にとらわれず将来を見据えて取り組んでいくべきでしょう。

  やはり環境に配慮した庁舎の建設が区民から望まれております。また環境教育が進む中で新庁舎がシンボル的なものであるならば『環境庁舎』として建設するのもいいですね。私も議会で発言させてもらいましたが、50年で壊れてしまうようなものでなく設備の更新も含めて100年持ちこたえられるような、そういった面でも環境にやさしい庁舎になるようにしていかなければならないと考えます。

 足立 なるほど。区民の目線ではどのような要望があるでしょうか。

 中村 建築に関しては区長はじめ区側からこまかなところまで説明を受けています。新庁舎ではこれまで考えられないようなサービスが受けられるものと期待しています。

 足立 そういう期待に充分応えて行政には温かくて、住みやすく暮らしやすい区民サービスをしていただきたい。商店街としては池袋という大繁華街との結びつきは容易でしょうが、近隣の商店会との付き合い方をどうなるのかが不安。地元商店街の活性化ということも行政のほうでも充分に考えていただきたい。ファミリー世帯の増加につながる街づくりを進めて欲しいですね。

 高野 今回の庁舎移転というのは環5の1という新しい幹線道路が出来るというのにあわせて、将来を見据えたしっかりとした再開発をしようということから始まっています。学校跡地を生かして庁舎を移動し、住民の方々と一緒になって街をつくっていく、住む人を大切にした街づくり。全体に回遊性を持たせるというのがコンセプトになっています。池袋の街を変える、そうすれば豊島区全体が変わっていく、そんな思いです。

 足立 新庁舎を起爆剤として、その夢を豊島区全体に広げていただきたい。そうすると今掲げているセーフコミュニティのさらなる推進が欠かせないですね。

 高野 豊島区は大変厳しい財政の中でも個性ある街づくりを進めていこうと、文化事業に力をいれ、『文化芸術創造都市』として文化庁から表彰され、また『環境都市』にも正面から取り組んできましたし、『健康都市』『教育都市』として街づくりを進めております。街づくりの究極はなんといっても安全安心であります。そういう意味、世界で認証しているWHОのセーフコミュニティの認証を得るべく挑戦しています。これも全力であたりたい。

 足立 今までのものを生かして新しい街づくりですね。議会の対応はどうですか。

  いまセーフコミュニティの認証を受けているところは十和田市、亀岡市、厚木市など全国で三か所。豊島区はそれに次ぐ東京都では初の認証にむけての取り組み。素晴らしい目標を掲げてもらったと思います。意識改革だけで街が大きく変わる。これに立候補したことはすごく有意義なことであると思います。区民の意識を変える大きなうねりを作り出すことにつながります。一番大切なことは地域住民の力、中村会長はじめ町会が今までやってきたことをさらにネットワーク化して見守っていくということでありまして、特段新しいことをやるということではない。地道にやってきた地域活動を横に広げていく活動なので、充分に認証に値すると思っています。10年前の池袋の状況と今を比べれば一目瞭然です。以前、池袋は暗い怖い汚いと揶揄されていましたが今はどうでしょうか。非常に人気の高い地域になり、住みよい街のランキングでも高い評価を得ていますからね。地域住民の努力の賜物。WHОの認証を受けることでさらに魅力が高まると確信しています。

 足立 大変心強い意見で頼もしい。ものでどうこうじゃなく心の問題ですかね。

 中村 豊島区に129町会ありますが、安全安心の街づくりに各町会長を中心に活躍していただいております。みなボランティアで力を尽くしているところでありますが、如何せん、町会の高齢化が進んでいる。若い人はどうしてもNPOなど違う団体に目が向いているんですね。なんとか街づくりに興味を持って活躍していただきたい。町会活動に積極的に参加してもらいたいですね。また地域づくりには商店が欠かせない。買い物難民という言葉もあるように商店街は生活の基盤なんですね。我われも商店のみなさんが繁栄できるように力を惜しまないつもりですが、商店の方々の努力もお願いしたいところです。高齢者にとって近くで買い物が出来ないというのはつらい。商店の皆様に一層の工夫をお願いしたい、よろしく。

 足立 以前から機会を捉えて商店会と町会の意見交換の場を設けようと考えておりましたが、まず町連の方々と区商連で地域の問題など語る会を設けてゆくようにしたい。我われ商店も地域と密接につながった関係を築いて住みよい街づくりに貢献していくという事が繁栄につながると考えております。行政、議会の後押しもとても重要ですので、ぜひお力添えをお願いしたいですね。新年は商店会、町会が一体となって地域の問題解決にあたっていくように活動していくようになるでしょう。それが高齢者対策にもつながっていくと思います。

 高野 いま豊島区は高齢者のお力を借りてうまく言っているという面もありますが、世界一高齢化が急速に進んでいる日本としてはこの高齢者の力をいかに地域で活用していくかという事が最大の課題であると考えております。豊島区としては高齢者福祉にまさに正面から取り組んでいかなければならないと思っております。安心して暮らせる街づくりを進めていかなければ。福祉の向上なくして区民の力、地位金力というものはありえない。とくに高齢者対策は最重要課題だと考えております。

 足立 議会としての高齢者対策というものはありますか。

  議会としてというより個人として。地域の人を見守る体制を作っていくことが重要。とくに商店会の人たちの役割が大きいと考えます。昔の御用聞きのように、外になかなか出られない高齢者のところに商店の方が訪問するなど、町会と商店会が協力して見守りをしていくシステム作りも考えられる。これこそがセーフコミュニティにつながっていく。個人情報保護も大切ですが、それ以上に見守りは大切ではないでしょうか。それが弱者保護につながっていくのではないでしょうか。

 足立 プライバシー保護も行政のほうで何とかしていただきたい。民生委員に対するなんらかの手当てなども考えていくべきでは。空き店舗対策の中に高齢者の見守りなど組み込んで商店街の活性化につなげる試みも考えられます。インターネットの活用もありますね。

 高野 豊島区は23区の中でも高齢者の単身世帯が多い。介護という問題もある。高齢者問題は避けて通れない。地域で支えるシステム作りをすすめて、お互いが助け合いながら見守っていくという社会を作っていかなければいけない。地域の方々とともに温かみのある豊島区を作り上げていきたいですね。

 足立 そのためには。地元の町会、商店会に呼びかけてボランティア組織を作っていかないと。地域が立ち上がらないと長続きしません。行政、議会などからその協力のための発信をしていただきたいですね。

 中村 区民ひろばというのがありますね。あそこにはいろいろな地域の情報が集まっています。それを大いに活用していただきたい。世代を超えて人々が集まっていますから、その人たちの相談を受けることの出来るスタッフをそろえておいて欲しいですね。

 足立 トシマテレビの区民ひろば番組『いけいけ夢ひろば』も好評。たくさんの方が出演して、いろいろなサークルを紹介してくれていますね。区民が気軽に集うところとして定着してきていますね。

 高野 区民ひろばは各小学校単位で設けられており、子どもからお年寄りまで幅広く利用され、地域の人たちが運営に関わり地域コミュニティの核にと期待されているところです。地域の問題がそこで解決できる拠点になっていくことが大事でしょうね。そのためにも町会、商店会の協力が必要ですね。

 足立 行政があまり規制しすぎるといけません。利用者、地域の人に自由にやらせないと。行政はそれを支える役を。

 高野 2011年はこの豊島区が大きく変わる年。そんな予感がしますね。

 足立 新庁舎とともに新しい豊島区がますます発展できるように。商業の発展がないと、文化の発展もないですから、区長、よろしくお願いしますよ。

  高齢者福祉について一言。豊島区には終の棲家と呼ばれるものが少ない。特別養護老人ホームの待機者が千名を超えている。よほどの重症でないとは入れない。われわれ区議会議員にも何とかしくれという相談がたくさんきます。役所が施設を建設するには財政からも難しい、民間の活力を活用した施設建設を進めていくべきだとわれわれは述べてきました。ケア付きの民間住宅を整備していかないとこの先大変な問題が起きる。安心して豊島区で生涯を閉じられる環境を作っていかなければならない。

 足立 家族で面倒見られる環境づくりもあわせて行って欲しいですね。

 中村 私は社会福祉協議会のお手伝いをしています。豊島区社協では敬老の日に100歳以上の高齢者に安否確認かねて直接お祝いを届けさせていただきましてが、高齢で元気な方は家族関係もしっかりしているところが多いですね。

 足立 では、締めでひと言ずつ。

 高野 2010年はいろいろな挑戦をしてまいりましたが、2011年は豊島区がさらに大きな発展を遂げる年であるように、区民の皆さんが主役でありますので、皆さんとともに力強くスタートいたしたいと思いますのでよろしくお願いします。

  豊島区議会といたしましても、区民の皆様のご意見を拝聴いたしながら謙虚な姿勢で臨んでまいりたいと思いますので、区議会までご意見をお寄せ下さい。

 中村 今年も区民のために129町会会長さん中心に行政と協働して頑張ってまいりますんで、本年もよろしくお願いいたします。

 足立 商店街としてもさらに前向きに自助努力を重ね、生きてる意義のある一年となるよう頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。


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